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  • 2023.08.23

ポスティングがデジタル技術で進化。リーディングカンパニーが実践するアナログ・トランスフォーメーション | 株式会社アト

各社でWeb広告に多額の予算が割かれるようになったものの、デジタルの力だけではリーチできない層が存在する。高齢層やデジタルデバイスが苦手な人などには、インターネット経由で情報を伝えにくいのが現状だ。

デジタルマーケティングの課題を解決する手法として、改めて注目されているのが「ポスティング」だ。商圏のユーザーを地域密着で獲得する有効な戦略として、様々な業界で活用されている。

ポスティング業界トップクラスの広告取扱量とスタッフ数を誇るアト社では、オリジナルアプリの開発、スタッフの研修導入、GPSによる位置情報のインポートなど、様々なシステムを構築。クリエイティブ制作にも社内デザイナーがワンストップで対応し、今までに2万社以上の豊富な実績を誇る。

同社の代表・奈須田 洋平氏は、大学時代にポスティングのアルバイトをしていた経験を持つ。その後、どのように創業して業界トップクラスの地位を築くまでに至ったのか。ポスティングのネガティブなイメージを払拭し、信頼を積み重ねてきたアト社の歩みに迫る。

【プロフィール】
奈須田 洋平
株式会社アト 代表取締役社長CEO
1994年早稲田大学法学部に入学。在学中にアルバイトをしていたポスティングの仕事に魅了され、アルバイト先の社員、その後取締役になり大学を中退。2002年独立して、2003年株式会社アトを設立。取締役副社長を経て、2019年に代表取締役に就任。2023年には創業20周年を迎え、業界トップクラスの広告取扱量とスタッフ数を誇る。

ポスティングの悪いイメージを払拭したい


奈須田氏とポスティングの出会いは1990年代にさかのぼる。当時一人暮らしで大学に通っていたこともあり、日払いで収入が得られることに魅力を感じたという。
 
「軽い気持ちでポスティングのアルバイトを始めましたが、どのように配布すればいいのかわからず、効率がかなり悪かったですね。仕事の進め方を教えてもらえなかったので、居住者への配慮など何もかも手探りでした。ポスティング業界は年商1〜2億円の小さな会社がほとんど。働いていた会社もそうですが、仕事のマニュアルが全く整備されていなかったのです」
 
一枚でも多くのチラシを届けるため、効率的に仕事を進める方法を模索していた奈須田氏。その実直な考え方が評価され、営業や現場管理の仕事を任されるようになる。
 
「スタッフ管理を効率的に進めるため、マニュアルの策定や情報を管理する基幹システムの開発に取り組みました。小さな会社だったので、経理も担当してスタッフに日払いのお金を渡すこともありましたね。他にも、会社がリサイクルショップを何店舗か運営していたので、出店計画に携わる機会も。ビジネスの面白さにどんどんのめり込んでいきました」
 
ビジネスに専念するため大学を中退。アルバイト先の会社に入社し、社長と二人三脚でポスティング事業を成長させ、4年後には取締役に昇進している。順調にキャリアを高めていく奈須田氏だったが、その一方でポスティングに対する世間のネガティブなイメージに頭を悩ませていたという。
 
「当時は今よりもっと知名度が低い業界でした。『きちんと配られているのか』、『配られずに捨てられているんじゃないか』などの不安を依頼主が感じることも多かったのです。管理人とのトラブルやクレームも起こりがちだったので、『効果は出るけどやりたくない』という声を広告代理店から聞くこともありました」
 
世間のネガティブなイメージを払拭するため、2003年に新たなポスティングサービスを目指してアト社を設立。そこには、時代の変化を見据えた奈須田氏の展望があった。
 
「当時、個人向けPCの急激な普及でWeb経由の情報収集が進み、新聞離れが起こりつつありました。それに代わる集客手法として、ポスティングが最も有効ではないかと感じました。ポストに投函するシンプルな手法ですが、ユーザーへ確実に情報を届けられる。『すごく効果がある』と様々なお客さんから生の声も聞いていたので、ポスティングをメジャーな媒体にしてネガティブなイメージを払拭したいと考えていました」
 
アト社の名前は「assemble to order(受注組立生産)」という言葉に由来。顧客ニーズに迅速且つ柔軟に対応するという意味が込められている。
 
「広告を意味する『ad(アド)』に似た響きなのも当時から気に入っています。それに短い社名なので、お客さんにとっても覚えやすくていいのではないかと。近年では『Analog to Online』や『Analog Transformation(アナログトランスフォーメーション)』などの意味も込められていますね。完全に後付けですけど(笑)」

圧倒的な集客力を実現する独自のテクノロジー


前職の同僚と共にアト社を立ち上げた奈須田氏。創業と同時に着手したのが、2003年当時主流だったPHSによるスタッフの位置データ取得だ。
 
「ポスティングはいつ誰が配布しているのか、お客さんから見えづらい部分が大きいので、信用力を高めることが重要だと考えていました。それまでのポスティングは、終わった後でレポートが1枚渡されるだけ。それでは、効果がないとき本当に配布したのかどうか疑問に思うのではないかと。お客様に詳細なデータを渡せるのはもちろん、スタッフ管理もしやすくなるので、最優先で位置情報システムの開発に取り組みました」
 
GPSが普及するようになってからは、GPSアプリを業界に先駆けて自社開発。全スタッフにスマートフォンを支給し、配布ルートに間違いがないか確認するようにしている。
 
「GPSログにより3秒に1回軌跡を追ってリアルタイムの現在地情報を把握しています。誤投函を防ぐアラームも設定しているので、配布員の仕事のしやすさに繋がるだけでなく、広告主の不安も解消できるのです」

GPSアプリを活用したログ情報のデモ画面。ポスティングで通った道をしっかり記録している。

配布状況の確認は、デジタルだけにとどまらない。現地のチェックとスタッフからの詳細報告で不備がないのかしっかり確認するようにしている。
 
「配布完了報告が入ると、配布スタッフの管理者が現地へ赴き、乱雑な配布がされていないか、目視でチェックを行います。また、業務終了後のスタッフからは、配布場所や枚数、未投函建物・配布時間をしっかり報告してもらい、過去の実績データと照合することで、作業に不備や誤りがないかを見るようにしています」

また、かつて自身がポスティングで体験した苦労も踏まえ、スタッフの育成体制も強化。3日間の研修期間を設け、座学からスタートして具体的な配布方法まで伝えるようにしている。
 
「過去にクレームが発生した建物の情報をデータベース化し、マップに表記することで管理人からのクレームを未然に防止。軌跡を辿れるスマートフォンを各スタッフが携帯し管理を徹底しているため隅々まで配布することができます」
 
クレームなどのトラブルが少なく、着実な成果につながるポスティングサービスを展開し、創業から右肩上がりの成長を続けていくアト社。他社に先駆けてGIS(地理情報システム)などの統計データも活用。自社情報と掛け合わせた精度の高いデータを駆使していることが、アト社の大きな強みである。
 
「ターゲットの性別や世帯年収がマップ上でセグメント化されているので、ヒートマップの色別で判別できます。また、地理別・業種別にカテゴライズされたデータベースを駆使して、“どこの地域”で“どんな配布物”で“どれだけ効果”があったのかも、すぐに調べられます」

コロナの「巣ごもり需要」が急成長の起爆剤に

アト社のポスティングは、2020年のコロナショックにも動じることがなかった。それどころか、「巣ごもり需要」をさらなる成長の起爆剤にしている。
 
「2020年に店舗型の案件がストップして一時的に売上が落ちたことはありましたが、飲食店がテイクアウトを始めたり、スーパーマーケットがネットスーパーを展開するようになったりしたことが当社の追い風に。売上はコロナ前の125%超を達成しています。業界全体の広告費も伸びているので、ポスティングは社会変化にも柔軟に対応できる集客手法だといえるでしょう」
 
近年では、宅配・デリバリーなど従来のサービスだけではなく、ゲームアプリやタクシーの配車アプリ、さらにはトランクルームの集客などにも利用シーンが広がっている。
 
「新たなサービスを多くの人に知ってもらいたいときに、最初はWebで集客を始めることが多いですが、インターネットをあまり活用しない層もいるので、デジタルだけではターゲットに情報を十分届けられません。そのことに課題を感じ、初めてポスティングを利用しようとするデジタルマーケティングの会社が多いです。ポスティングなら、対象エリアに対する配布カバー率が70%を超え、様々な業界のラストワンマイル問題を解決できます」

また、ポスティングのチラシはしっかりと手元に残るため、購入の意思決定を後押しすることも多いという。
 
「Webの情報はその場ですぐに流れてしまうこともあり、記憶に残りにくい。しかし、ポスティングは紙媒体なので手元に残りやすく、少しでも興味を持ったらテーブルなどにポンと置いておくことができる。そうすると、類似サービスとの比較で優位になり、成約率がWebよりも2〜3倍高まるケースもあります。また、ポスティングはユーザーのリピート率にもプラスの効果が。デジタルよりも他社サービスに変更されにくい傾向があります」

プラットフォーム構想で業界をさらに活性化

アト社では、チラシの配布だけではなくDM・メール便などの“物流”にも対応。東京都・港区の案件では、広告主のコンテンツ制作にも携わり、従来のポスティングではアプローチできなかった、高層マンションなどに住むアッパー層にも有益な情報を届けている。
 
「富裕層の方々に興味関心を持ってもらえるコンテンツを制作し、港区を中心に3万部を配布。コンテンツがしっかりしていないと受け取ってもらえないので、著名な情報誌を創刊したメンバーと一緒に、上質なグルメ・ライフスタイル情報を提供しています。その他にも大型のカタログ案件なども来るので、事業の幅がどんどん広がっていますね。読み物としていろいろな情報を載せられることもあり、今後も内容にこだわりながら取り組んでいきたいと考えています」

また、最近のポスティングでは、一般消費者だけではなく企業へのBtoB配布も増えているという。
 
「大手配送会社の物流コストが年々上がっているので、首都圏であればポスティングの方がコストを抑えられるケースがあります。当社ならクリエイティブの制作までワンストップで任せられるので、『手間がなくて助かる』と喜んでもらえることも多いです」
 
奈須田氏は今後のポスティングについて、どのような構想を抱いているのだろうか。業界の将来性と合わせて聞いてみた。
 
「デジタルマーケティングが世界で主流になっていますが、ポスティングなどのフィールドメディアは、どんなに社会が変わってもなくならないと考えています。今後求められるのは、お客様がもっと気軽に注文できるシステム。いわば、各媒体の垣根を越えたフィールドメディアのプラットフォームが必要です。例えば、ポスティングや新聞折込チラシ、街頭配布を組み合わせて、Web上でいつでも発注できる。そんな仕組みをつくれば、世の中の人がフィールドメディアを活用しやすくなり、業界のさらなる活性化に繋がるのではないでしょうか」
 
フィールドメディアのプラットフォームが実現できれば、受発注のオンライン化でポスティングのさらなる業務効率化が進んでいくという。
 
「現在は対面で営業していますが、新たなプラットフォームを構築することで、お客様がシステム上でGISの属性データを見て、配布エリアを選んだり、スタッフの手配をしたりしながら、オンラインで効率良く発注を進めることができます。それらのケースでは生成AIも活用することで、クリエイティブ制作のスピード感が高まり、全体のコストが抑えられるかもしれません。著作権や権利の問題に配慮しつつ、今後積極的に活用していきたいですね」
 
ポスティングのより良い未来を創造するアト社では、どのような人材が活躍しているのだろうか。
 
「活躍するメンバーのバックグラウンドは多種多様です。ポスティングスタッフでいえば、主婦やアクティブシニア、役者やミュージシャンなど夢を叶えようとがんばっている方々などが、当社を支えてくれています。営業やエンジニアなど他のポジションでも、ポジティブにコツコツ取り組んでくれているメンバーが多いです。ポスティングならではの強みを生かしつつ、デジタル技術も取り入れて効率良く働ける環境が整っているので、ぜひ気軽にジョインしていただければと思います」
 
取材・文:VALUE WORKS編集部

会社名 株式会社アト
本社所在地 東京都千代田区麹町6-6-2 番町麹町ビルディング5F We Work麹町
役員 代表取締役社長CEO 奈須田 洋平
取締役CMO 大越 猛
取締役CSO  飯田 佳弘
取締役CFO  笹原 光太郎
事業内容 ポスティング・DTP・WEBデザイン・印刷等・SP事業全般
資本金 4,700万円
設立年月 2003年6月
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