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  • 2024.02.02

グローバルマーケティングで48か国以上の支援実績。SEOで国内初上場の先駆者が語るインバウンド最前線 | アウンコンサルティング株式会社

コロナショックで消滅したインバウンド需要だが、2023年には本格的に回復し、過去最高の水準を更新。訪日外国人に向けた、販売促進・ブランディング活動が一層加熱している。

活気あふれるグローバルマーケティングの先駆者として、創業25年の豊富な知見を持っているのがアウンコンサルティング社だ。SEO事業で上場した国内初の企業であり、今までに2,000社以上を支援。対応可能な国は48カ国を超え、非認知層〜潜在層への的確なアプローチに定評がある。

フィリピン、タイ、ベトナム、シンガポールにも現地法人があり、海外でビジネス展開しようとする企業を支援(アウトバウンドプロモーション)。海外とのネットワークを駆使して、現地の日系企業や海外ローカル企業の課題にも取り組んでいる。

同社が展開しているグローバルマーケティングは、なぜここまで多くの企業に支持されているのか。その背景には、代表・信太 明が積み重ねてきた地道な分析と、時代のニーズに合わせた徹底的な試行錯誤があった——。

【プロフィール】
信太 明
アウンコンサルティング株式会社 代表取締役CEO
1968年福島県福島市生まれ。早稲田大学経済学部の在学中に大手人材派遣会社で営業アルバイトを始めたことをきっかけに、卒業後はそのまま社員として同社へ入社。その後、コンサルティングファームでの営業戦略・経営戦略の立案や、靴小売企業のマネジメント職を経て、1998年にアウンコンサルティング設立。2005年には東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場。現在は東京本社の他、タイ、フィリピン、ベトナム、シンガポールに拠点を持つ。

高校生で自らのビジネスモデルを志向

信太氏が起業を決意したのは高校生の頃。材木業を営んでいた父の会社を継ぐかどうか迷っていたときに「材木業は時代の流れで厳しいのではないか」と父に助言されたことがきっかけだ。
 
「父と話し合い、将来のことをいろいろ考えましたが、最終的には自分の力で起業することを決めました。自ら商売を営む父を見ていたので、最初から会社員という発想はありませんでしたね。30歳までに起業すると心に誓い、最短でスキルを身につける方法として上京を選択。当時から、在庫を抱えないキャッシュフローの良いビジネスをしたいと思っていました」

東京の大学に通いながらも、営業スキルを身につけるため大手の人材会社でアルバイトを開始。テレアポと飛び込み営業を繰り返し、厳しい業務のなかでも着実に成果を出していく。
 
「入った翌日から1日100件の電話営業で、ノルマも設定されていたので最初は面食らいましたね(笑)。ただ幸いにも、飲み込みの早さと行動力には自信があったので、何とかやり遂げることができました。その流れで同社に入社し、花形だった求人メディア事業部に配属。広告に関する基本知識や、目標を何としても達成するマインドを身につけられました」
 
社内の評価は高かったものの、起業という目標を叶えるため、上司に紹介してもらったコンサルティングファームへの転職を決意。営業のスキルも生かしながら、営業戦略・経営戦略の立案から実行までを行い、経営の知識を新たに身に付けていく。
 
「担当していたのは、当時の東証マザーズ(現:東証グロース市場)に上場していた新興企業です。さまざまな業界の企業様を支援するなかで、やりがいも感じていたのですが、資金面では起業という目標から遠のいていると感じていました」
 
3年間在籍した後に次の環境として選んだのは、靴小売業を営む商社だった。現在は全国にチェーン展開している大手企業だが、当時は靴小売業を展開するグループ会社の経営が上手くいかず、存続が危ぶまれていた。
 
「赤字が続くグループ会社の経営を任せてほしいと、社長に直談判しました。店舗運営の経験はありませんでしたが、それまで培ってきた行動力が評価され、『どうせつぶすなら』と最終的にはオーナー直属の運営本部長として、グループ会社の経営権を一任していただきました」
 
信太氏は、アメリカに渡って独学で店舗運営の方法を学んでいく。現地における商品の仕入れ、人材採用、店舗建設などのオペレーションを基礎から作り直し、苦労していた店舗出店をシステム化。赤字店舗を次々と黒字化し、上場も視野に入れながら会社を成長させていく。
 
「成果に合わせてスピーディーに時給を変動させる仕組みや、店舗資金のセキュリティ強化施策など、あらゆる業務に携わって効率化していきました。当時の仕事で特に思い出深いのは、1996年頃に加熱したハイテクスニーカーブームです。大人気だった『Air Max(エアマックス)』を仕入れるため、私たちも輸入先のアメリカに行き、毎日何百キロも車を運転していました。それを日本で販売すると、たった一足に何千人もの長蛇の列が——。流行と情報の力で、人はここまで熱狂するのかと驚きましたね」
 

SEOの無い時代にアルゴリズムを独自解析

同社の経営をリードしていた信太氏だが、起業するために30歳で独立。「町おこし」のビジネスを始めるが、現実は甘くなかった。
 
「今までの営業戦略立案や集客のノウハウを活かし、自治体へのアドバイスやアンテナショップの経営指導に取り組みましたが、全く上手くいきませんでしたね。実績のない会社に仕事がまわってくるはずもなく、経営資金はあっという間に底をつきました。事務所を維持することも難しく、起業の翌年には地元の福島市に移転しています」
 
再起のきっかけになったのは、以前HPの制作を請け負った顧客からの一言である。「すごく良いHPを作ってもらったのに、誰も見てくれない」という話を聞き、検索エンジンでキーワードを上位表示させることに着目。当時はまだSEOという言葉すらない時代だったが、彼は2,000以上の仮説を立て、緻密な検証を1か月半にわたって毎日繰り返していく。
 
「最初は検索エンジンの企業名の後に出てくる言葉をExcelにまとめることからスタートしました。タイトルタグの文字数はどれくらいが適正か、半角スペースを入れたらどうなるのか、カッコやびっくりマークは半角と全角のどちらがいいのかなど、細かい検証をひたすら繰り返していったのです」
 
最終的には、正しいと思われる150ほどの仮説が残ったという。その後もトライ&エラーを重ね、朝から晩まで100社分の検索キーワードを収集。インターネット上でどのように検索されているのか、1年間のデータをまとめ上げ、その資料をもとに各社へ電話営業を試みている。
 
「東京にマンションを借りて電話営業に取り組んでいたのですが、当時はGoogleが日本に未上陸だったので『検索キーワードが上位に上がるのは詐欺ではないか』と疑われました(笑)。信用してもらえるまで苦労はあったものの、独自解析したアルゴリズムについての仮説はおそらく正しかったので、依頼を受けた企業のアクセス数は何十倍に跳ね上がりました」
 
信太氏の施策は大成功し、SEOのリーディングカンパニーとして他の企業にもその評判が広まっていく。大手企業からの問い合わせが増えるなど、アウンコンサルティングの快進撃は続き、業績は一気に伸びていった。その事業成長は、2002年にGoogle広告(旧称:Google AdWords)が日本上陸したことをきっかけに一層加速していく。
 
「それまでの事業はSEOがメインでしたが、Google AdWordsを積極的に扱うようになってから業績はさらに急増しています。というのもSEOは定額支払いですが、Google AdWordsの場合は広告出稿額の数割を手数料としてお支払いいただく仕組みです。広告出稿額が1億円を超える得意先の大手企業様もいらっしゃったので、業績が2倍、3倍と増えていく要因になりました」

社名の「アウン」は「阿吽の呼吸」が由来とのこと。顧客に対して「阿吽の呼吸で接したい」という、信太氏の思いが込められている。
 
「会社の組織構造や規模が変わったとしても、お客様に向き合う気持ちだけは忘れず、私たちのコアバリューにしたいと強く考えています。成長し続けるビジネスモデルは重要ではありますが、それを支えるのはお客様への真摯な思いです」
 
2005年には、取引上の信用力を高めて採用も強化する目的で、東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に上場。SEO事業では国内初の上場になったが、企業成長があまりに早かったため管理部門の整備が追いついていなかったという。
 
「証券所の関係者からは『今まで上場した企業のなかで一番弱い』と言われたほどです(笑)。その課題を解決するため、上場前後にしっかり時間をかけて、体制を構築していきました。そのおかげで、現在は管理部が強い会社として成長できています」
 

上場後の苦境を乗り越えたアウトバウンド施策

上場で順風満帆に見えた同社だが、2008年にM&Aで失敗したことにより業績が悪化。役員報酬の減額はもちろん、退職者も増えて会社は崖っぷちに追い込まれる。それを打開したのは、積極的な海外展開だった。
 
「海外でも支援できるグローバル企業を目指して、タイ、ベトナムなどに現地法人を設立していきました。ノウハウがなくても諦めず前へ進んでいったことが、苦難を乗り越えられた一番の要因だと思います。円高が極端に進んでいたことも、成功の追い風になりましたね」
 
海外拠点には日本人の所長を配置。日系企業だけではなく、現地のローカル企業も支援しているという。
 
「海外拠点の立ち上げでは、当社の担当者が直接現地に行って不動産会社や人材紹介会社、さらには面接までやって、現地のメンバーを決めるようにしています。また、海外での拠点づくりは段階的に進めることが重要です。最初は営業拠点ではなく、生産拠点にすることを目指し、現地におけるSEOのリサーチや、広告出稿のキーワード調査の役割を担っていく。その結果、海外プロモーションの精度を高めることができます」
 
2020年のコロナ禍でも、インバウンド需要の消滅で同社は大きなダメージを受けるが、日本企業の海外進出やアジアの中でのローカル企業の支援、いわばアウトバウンドプロモーションに力を入れることで乗り切っている。
 
「インバウンド一辺倒では、コロナなどの感染症が影響することで経営が不安定になってしまいます。当社は海外拠点を持っており、アウトバウンドの知見もあるので、安心感を持ってプロモーションを任せていただけると思います。また、アウンコンサルティングはキャッシュに強い会社なので、コロナ禍にも自己資本比率50〜60%をキープできました。不測の事態で揺らぐことのない財務安定性は当社の強みだと思います」
 
アフターコロナの現在においては、従来のインバウンド領域でさらに事業拡大を続けている。国内大手航空会社やレンタカー会社、さらにはテーマパーク運営会社なども支援している同社は、以前より引き合いが増えているという。
 
「2022年は各社とも様子見という印象でしたが、2023年になって本格的に回復したと感じています。特にアジアや欧米の富裕層が日本を訪れることが多く、滞在中に使う金額がコロナ前に比べて1人あたり2割ほど増加しているようです。ただ、インバウンド業界は慢性的な人手不足が課題なので、単価を上げていくことは非常に重要ではないかと。実際に一部のホテルでは、3分の1の客室をあえて稼働させず、利益率を高めるような取り組みも行っていると聞きます」
 
部分的な課題はあるものの、日本のインバウンド需要はコロナ前を超える水準に達し、世界のインバウンド回復をリードしているという見方も。今後も需要拡大は続くのだろうか。
 
「おそらく当面は現状の水準をキープするのではないでしょうか。一度来た方の中にはリピーターもいますし、彼らの口コミで日本を訪れる方もいらっしゃるので、一気に需要が落ち込むことは考えにくいでしょう。また、欧米系の方の場合、1泊で帰ることはまずありません。これからのインバウンド戦略として、1週間ほどの滞在を楽しめるサービスを充実させていくことが大切だと思います」

SEOの世界には、まだ伸びしろがある

同社のように海外拠点と連携しながら、グローバルな視点でSEOを支援している企業は国内でも数少ない。SEOの草分け的存在である同社に、国内と海外のSEOにはどのような違いがあるのか聞いてみた。
 
「日本と世界の各国を比べたときにWebサイトの数がそもそも違います。日本はおそらく世界で20番目ぐらいにようやく入るぐらいのサイト数だと思います。Googleはそれらのサイトから情報収集してくるので、日本と世界では情報のボリュームが圧倒的に違ってきます」
 
また、日本語と英語では1文字あたりのバイト数(バイト文字)にも違いがあるとのこと。英語などは1バイト文字と呼ばれ、文章内で半角のスペースが入るので、どこからどこまでが単語なのか判別しやすい。一方、日本語や中国語などは2バイト文字なので、単語の区切りがWeb上で判別しにくいのだ。
 
「このバイト数の違いが、アジア言語におけるSEO対策がなかなか進まない要因になっていました。ただ、2000年代になるとSEOが進化し、当社のような会社で世界中の言語への対応が可能に。今後はアフリカなど新興地域の人口も一層増えてGDPも伸びてくるので、新たなマーケットへの進出も求められます。世界に目を向ければ、SEOにはまだまだ伸びしろがあると思います」
 
社内では、海外拠点と連携しながらのグローバルな知見共有も行っている。最新の知見をいち早くキャッチアップできるのは、同社ならではの強みだろう。
 
「検索まわりでいえばアメリカに先行文献が多いので、関連する情報を常にウォッチしているメンバーがいます。それらの最新情報は、毎週社内で定期的にシェア。Googleのアルゴリズムも頻繁に変更があるので、リアルタイムに情報を更新していきます」

各メンバーは、海外拠点とも連携しながらフルリモート・フルフレックスで勤務。働く場所や環境に関わらず、公平に評価される体制が構築されている。国籍や性別、年齢なども関係なく、女性管理職の割合は43%に及ぶという。
 
「社員一人ひとりがしっかり成果を出せるよう、あらゆる働き方に柔軟に対応しています。グループワークなど雑談の時間も大切にしており、メンバー同士のコミュニティも充実。一度退職した社員がまた戻ってきてくれることもあり、本当にうれしいですね」
 
今後さらなる成長が期待される同社において、求められているのはどのような人材なのだろうか。最後に信太氏に聞いてみた。
 
「今年創業26年目の会社ですがまだまだベンチャー志向が残っているので、自分から積極的に行動できる方がフィットします。もちろん最低限のマニュアルは社内にありますが、それだけで上手くいくわけではありません。周囲のメンバーとコミュニケーションを取りながら、チャレンジしていくことが必要です。世界を舞台に大きなやりがいを感じられる環境なので、グローバルマーケティングに興味のある方に、ぜひジョインしていただければと思います」
 
取材・文:VALUE WORKS編集部

会社名 アウンコンサルティング株式会社
本社所在地 東京都千代田区丸の内二丁目2番1号 岸本ビルヂング6F
役員 代表取締役CEO:信太 明
事業内容 グローバルマーケティング事業(海外向けSEO、海外向けWeb広告、海外向けSNS広告)
資本金 100,000千円(資本準備金 538,774千円、2023年11月末現在)
設立年月 1998年6月
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