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  • 2024.05.15

「目指すは次のJA」元K-1ファイターが切り拓く、農業の未来 | クールコネクト株式会社

農業は日本の基幹産業でありながら、近年では農業従事者の高齢化や後継者不足など様々な課題に直面している。こうした中で、新しいビジネスモデルで農業の課題を乗り越えようと挑戦しているのがクールコネクト株式会社だ。

クールコネクト株式会社(以下、クールコネクト)は農業フランチャイズモデル事業・肥料等の販売事業・野菜の流通事業を展開する、まさに「農業の総合商社」。今年3月にはシードラウンドでの資金調達実施、4月からはコンビニや飲食店への業務用野菜配達業の開始など、急速に事業を拡大していっている。

フランチャイズモデル事業を通して自ら生産者を生み出すユニークな機能を持つクールコネクトが目指すのは「次のJA」だ。今後は順次全国展開を見据え、既存の大企業やJAにはない独自の立ち位置を確立しようとしている。

今回はそんなクールコネクトの代表である神戸氏に、起業の背景、元K-1ファイターから農業の世界へ舞台を移した経歴、今後の展望についてなど、様々な話を伺った。

【プロフィール】
神戸 翔太
群馬県前橋市の出身。格闘技の本場であるオランダで武者修行を経て現地でプロデビューを果たす。K‐1ファイター引退後の、2017年に(株)NEO KICKを創業、代表就任。2019年AGARU groupを設立し代表就任、農業未経験からの新規就農を経験。2023年2月クールコネクト(株)を設立し代表に就任。

生産から流通まですべてを網羅する「農業の商社」


ーーまずはクールコネクトさんの事業概要について概要をお聞かせいただけますか?
 
当社は「農業の商社」のような会社です。農業フランチャイズモデル事業、肥料等の販売事業、収穫できた野菜の流通事業を主に行っています。
 
ーー貴社は今年3月にもシードラウンドで資金調達を実施されています。野菜の生産・流通事業などを行っている企業は他にも多くあると思いますが、その中でもクールコネクトさんの独自性はどこにあると思いますか?
 
主に3点あると思っています。1つ目が代表の私自身を含めメンバーに農業経営の経験があること。2つ目が群馬を拠点に据えて周囲の農家や生産法人と連携が取りやすいこと。そして3つ目が肥料の流通や農業フランチャイズモデル事業などの農作物以外の売上を作れていることです。また、生産から流通までを一手に担える体制を持っていることも他の農業ベンチャー企業との差別化になっていると感じます。
 
ーーなるほど。農作物以外の売上も確保したビジネスモデルを持っているのはとても強みになりそうですね。
 
はい。私自身農業の生産法人AGARU group(現在はクールコネクト傘下)を設立したのですが、やはり農業のみで売上を作るのは厳しいと感じました。農業は準備にも時間や費用がかかりますし、作物が安定して収穫できるようになるまで数年必要です。そこで、ただ単に野菜を作って売っているだけでは駄目だと痛感しました。
 
ーー神戸さん自身のその体験が、貴社の立ち上げにつながったのでしょうか。
 
それはあります。生産法人での失敗を通して、もっと包括的なビジネスモデルはないかと模索してたどり着いたのが今の形です。一旦は生産法人を畳もうかとも考えました。ですが、せっかく培ったノウハウや流通網を無駄にしてしまうのはもったいないので、それらを提供できるサービスを提供してみようと動き出したら反響がかなりあったんです。そこで、当社を立ち上げて生産法人はグループ化し、現在の事業形態になりました。

独自の流通網で、安価かつ迅速な野菜配達を実現


ーークールコネクトさんは今年4月から、関東圏で飲食店やコンビニ等に業務用野菜の配達を開始されたとのことですが、サービスを始められたきっかけは何だったのでしょうか?
 
似たようなサービスを提供している農業ベンチャーは他にもあったのですが、当社のほうがより高品質なサービスを提供できるのではと感じたからです。
 
当社は生産と流通、両方の機能を持っています。契約農家の方々や市場などから仕入れたものを流通させることもできるため、通年で相場より低価格で野菜を提供できます。加えて当社では規格外野菜も取り扱いしています。安価で採れたての野菜をすぐにお届けできる点も優位性になると考えました。
 
ーー規格外野菜も取り扱っているとのことですが、需要はかなりありますか?
 
需要は充分あると思います。消費者の方は「安いほうがいい」と思っている人が多いですし、規格外であっても品質に問題はありません。むしろ迅速に配達できれば新鮮な状態で提供することも可能です。農家の方も「これは市場に流通させられないから持っていって」といった感覚なので、野菜を無駄にすることなく安価に販売できるのはとてもよいことだと感じています。
 
ーー確かに規格外だからといって、気にする消費者は少なくなっている印象がありますね。その点でもクールコネクトさんのサービスは魅力的に感じます。まだ始めたばかりのサービスですが、関東圏以外にも展開していく予定はありますか?
 
まずは関東圏で取引先を増やしていく予定です。たとえば今度関西で展開するとなったら、そちらに拠点が必要になりますし、そこでフランチャイズ農家の方々を増やしていくところから始めることになりますね。ですが、いずれは拡大していきたいとは考えています。

K-1ファイターから、農業の世界へ


ーー神戸さんのご経歴についても伺えればと思います。もともとはK-1ファイターだったということで、驚きました。
 
そうなんです。格闘技は5、6歳ぐらいからやっていて、群馬で中学校を卒業してから格闘技留学でオランダで修行していました。そこから23歳頃までプロとして活動していましたね。ただ、次第に「何か他のことをやってみたい」という気持ちが抑えられなくなり。群馬県に帰り、知人の経営者から借りた資金を元手にパーソナルジムを始めました。それが経営者としての経歴の始まりです。
 
ーーそうだったのですね。ジム経営は順調だったのですか?
 
ジムは5店舗ほど作ったのですがコロナ禍とぶつかり景気も悪くなってしまったので、ジムはすべて売却しました。ただ、ジム経営の頃から別事業として農業に着手してはいたんです。先ほどお話した生産法人AGURU group(現 株式会社農業)を2019年から始めていました。
 
ジムを売却した後は生産法人に専念しようとしたのですが、やはり生産だけでは簡単に収益はあげられませんでした。そこでフランチャイズモデル事業を考え、現在に至っています。
 
ーージム経営の頃から農業に着手されていたとのことですが、農業業界を選んだ理由や背景があればお教えください。
 
もともと自分の祖父が田んぼなどを持っていて、農業とは近い環境で育ってきた経験は関係していると思います。また、就農人口の減少や高齢化は問題になっているので、若年層の自分がトライするにはよい市場だと感じました。
 
そこで設立した生産法人では最初から農業に詳しい仲間を集めていたので、農業経験自体がなかった私も農業の基本や農作業、管理、事業の拡大の仕方などを学ぶことができました。生産法人だけでは事業を軌道に載せることはできませんでしたが、そこで得たノウハウを活かすことで当社のビジネスモデルが確立したと思っています。

目指すは「次のJA」。生産者を増やし、農業の未来を切り拓く


ーー実際に農業に関わる中で、見えてきた課題はありましたか?
 
まず、新規就農者が定着しないことですね。そこに関しては、自治体側に問題があると感じています。農地を借りる場合、大抵は自治体を通じて借りなくてはいけません。ただ、若者が参入したり、全然農業に関係ない会社が参入したりしようとすると、自治体によって受け入れ方がかなり異なるんです。実際、そういった新規参入者に対して否定的な対応をしている自治体もあります。
 
また、農業を始めたい人は多いのですが、「どうはじめていいのかわからない」という方も少なくありません。農家の方は協力的で、聞けば色々と教えてくれるケースがほとんどです。ただそれらのノウハウを新規参入者に提供できるスキームがないことも、農業への参入障壁の高さになっていると感じます。
 
ーーそれらの課題を、まさにクールコネクトさんのフランチャイズモデルでは解決できる形なんですね。
 
はい。当社のフランチャイズモデルでは、当社が所有している農地に業務委託契約をして入っていただくので自治体との交渉などは必要ありません。加えて、当社のノウハウや流通網を提供できますし、ある程度成長したら当社からは卒業して独立した農家としてやっていけるようにサポートをしています。
 
ーーそれは新規就農者にとっては心強いシステムですね!クールコネクトさんは「農の未来をつなぐ」というビジョンを掲げていらっしゃいますが、具体的には今後どのような展開を考えていますか?
 
目指すところは「次のJA」です。自社はすでに小さい農協みたいなもので、そこに加えて自分たちで生産者を作り出す機能を持っています。だからこそ、さらに全国規模で事業を拡大してJA規模の機能を持ちたいです。
 
ーーなるほど。「自ら生産者たちを作り出す」機能はやはり強みですね。
 
そうですね。農業フランチャイズ事業はすぐに売上がでるモデルではありません。だからこそ、JAや大企業はわざわざ手をつけない領域だと思います。当社のような小回りの利く中小企業だからこそ、実現できるモデルだと考えています。JAもやはり生産者の減少を課題に感じているようなので、私たちが解決できたらと思っています。
 
ーー今はそのために動いているところですか?
 
はい。ただ、私ひとりの力では限界があります。複数の資金調達をして上場することによって、いろんな人を巻き込んで事業を大きくしたいと思っています。そういったことは得意なので(笑)。

経験・スキルは不問。上場に向け、共に駆け抜けよう!


ーー上場を目指す上で、どのような人にジョインしてもらいたいですか?
 
今は営業のできる人に来てもらえればとは思っていますが、何よりも「明るく、元気に働ける」人に入ってほしいですね。ビジネススキルや業務は誰でも後から覚えることができますが、性格的なものって変わらないじゃないですか。明るく、元気に仕事に取り組める人なら、あとからスキルは身につくと思っています。経験やスキル面より、人柄を重視したいですね。
 
ーーありがとうございます。では最後に、クールコネクトさんにジョインしたいと思っている人に対してメッセージをお願いします。
 
当社で働くことで、農業ベンチャーとして上場する瞬間に立ち会えるかもしれません。事業の大きな成長を体感したい方はぜひご応募ください。また、ストックオプション制度も取り入れているので待遇面でも魅力的だと思います。「次のJA」を目指して一緒に事業を大きくしてくれる方をお待ちしています!
 
取材・文 伊藤鮎

社名 クールコネクト株式会社
設立 2023年2月
資本金 300万円
本社 東京都千代田区神田和泉町1-6-16ヤマトビル405
※高崎駅近くに移転予定
群馬支社 群馬県伊勢崎市連取町3060-9

営業所 群馬県伊勢崎市連取町3080-1
TEL 0270-33-9191
従業員 21名(パート含む)
事業内容 農畜産物の流通・農業FC事業
グループ会社 株式会社農業(生産法人)
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