• 求人
  • 2024.01.16

目指すは「誰もが生きやすい社会」求人プラットフォームの運営を通じてダイバーシティ推進の「種」を撒く|株式会社JobRainbow

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは人それぞれの多様性を認識し、それを受け入れて尊重することで個々の力を発揮できる取り組みを指す。もともとは1964年にアメリカで社会的な差別を是正するために年齢・性別・人種などによる一切の差別を禁止する「新公民権法」の施行をきっかけに生まれた概念だ。

D&Iの推進により人材獲得力の強化や離職率の低減、イノベーション創出の促進など、さまざまなメリットを得ることができる。少子高齢化による人手不足や多様なチームが生み出す創造性に注目が集まった背景もあり、日本でも昨今制度としてD&Iを導入する企業が増えている。

そのような状況の中、D&Iの視点から作られた求人プラットフォーム『JobRainbow』の運営や、D&Iアワード、D&I検定などの取り組みを行っているのが株式会社JobRainbowだ。

今回は株式会社JobRainbowでダイバーシティ採用事業部のマネージャーを務める鈴木理紗氏に日本の企業のD&I推進の現状と、どのような想いを持って『JobRainbow』の運営に携わっているのかを伺った。

【プロフィール】
鈴木理紗
株式会社JobRainbow ダイバーシティ採用事業部マネージャー
東京農工大学農学部にて環境公法を専攻。卒業後、大手人材紹介会社に入社。ヘルスケア領域を担当し、主にバイオベンチャー企業のハイクラスな転職支援に携わる。2021年11月、株式会社JobRainbowの人材紹介事業の立ち上げに参画。その後、求人プラットフォーム「JobRainbow」のセールス業務に従事。2023年11月からはダイバーシティ採用事業部マネージャーとして、戦略策定や効果測定など、より幅広い業務に携わっている。

ハイクラス転職支援で芽生えた「多様な生き方を支援したい」という想い

 
ーーまず鈴木さんのキャリアについて伺いたいと思います。新卒でハイクラス転職エージェント企業に入社したそうですが、1社目に同社を選んだ理由を教えてください。
 
学生時代は運動部でのマネージャー活動に力を入れていました。その中でも戦術を立てたり分析をしたりする部門を担当していて、その経験から、組織と人の関わりに興味を持って、大手人材紹介会社に入社した経緯があります。特に、就職先はハイクラスで経験が豊富な方の転職サポートがメインとなる企業だったため、自分の経験値や知見も拡げられるだろうという興味があって飛び込みました。
 
ーー就職先では、具体的にはどのような業務に関わっていたのでしょうか?
 
まだ世の中に出ていない薬を開発してるようなバイオベンチャーに特化して採用や転職の支援をしていました。創業者の思いや研究の特異性、類似した研究がないかどうかといったマーケットを調べて、 伸びしろや企業の魅力を洗い出していました。経営者の目線に立ち創薬フェーズを理解した上で、最適な人材をマッチングすることが求められていたので、正直難易度は高かったです。おかげで得意領域の専門知識が身につき、ビジネスパーソンとしても大きく成長できたと思っています。
 
ーーやりがいある仕事だったと思うのですが、なぜ転職を決意されたのでしょうか?
 
さまざまな生き方や働き方を支援する仕事に就きたいと感じたからです。前職はハイクラスに特化した転職エージェントだったので、エグゼクティブの方を優先的にフォローする必要がありました。
 
ただ私としては「色んな人がその人らしく過ごすことができればハッピーなんじゃないか」という気持ちもあったんです。そんな時にダイバーシティ求人サイトの『JobRainbow』を見つけ、ユーザーとして登録し転職活動をしていました。そこでJobRainbowの人材紹介事業の立ち上げポジションの求人を見つけ、「これだ!」と思ってジョインしました。
 

求人サイト、研修、コンサルなど、多角的なサービスでD&I推進を総合的に支援


ーーそれは運命的な機会でしたね!立ち上げ初期はやはり苦労したのではないですか?
 
そうですね。とても意義のある事業だったのですが、時間とコストの面で見るとなかなか難しい部分もあったので、人材紹介サービスは今閉じている状況です。ただ、ニーズの高い事業ではあるのでまた徐々に再開する可能性もあるかとは思います。
 
ーー人材紹介事業をクローズしてからはどのようなお仕事に携わっているのでしょうか?
 
『JobRainbow』というダイバーシティ求人サイトの運営を通じて、多様性のある採用を推進したいという企業さまと、自分らしく働きたい求職者の方をマッチングできるように支援しています。当社ではD&Iを推進したい企業さま向けに求人サイトの他にも、D&I検定や研修、コンサルなどのサービスを提供しています。「D&I採用をしたいけど何から手をつけていいのかわからない」という企業さまには、コンサルティングや研修サービスをご案内することもあり、総合的にD&Iの推進を支援できることが当社の大きな特徴だと思います。
 

Z世代は収入よりも居心地の良さを求めている


ーーD&I推進の必要性を理解してはいるものの、いざ実践しようとなると躊躇してしまう企業もやはり多いのでしょうか?
 
そうですね。現場が多様な人材の必要性を感じていたとしても、経営層の理解を得られずにD&Iがなかなか推進できないケースは少なくありません。D&Iの意義を理解していただくために、責任者クラスの方に何度もアプローチすることもあります。
 
ーークライアントの上層部から理解を得るために、どういった工夫をされているのですか?
 
まずは当事者のリアルなエピソードを紹介するようにしています。たとえば採用時にカミングアウトしたら、「あなたみたいな人はうちにいらない」とか、「そんな変な人が入ってきたらうちがおかしくなっちゃうから困る」とか、そういったことを平気でご本人に伝えてしまう企業さまも残念ながら存在します。そういった現状を把握してもらうと共に、「まさか御社ではそのような事態は起きていないですよね?」と確認すると、ハッとする企業さまも多いですね。
 
もう一点は、明確な数字としてD&Iを推進することのメリットを示しています。たとえばDDIのDiversity and Inclusion Report 2020の調査結果によると、「業績の良い企業は圧倒的に多様性に富んでいる」といった結果が出ています。経済産業省の調査でも、ダイバーシティの需要によって得られた恩恵として、「人材の獲得」「業績の向上」を上位に上げています。エピソードと数字を併せて紹介しながら、今目先で起きている課題の解決と、ダイバーシティの推進による中長期的なメリットを説明することを意識しています。
 
実はLGBTの方が離職する理由で一番多いのは、「カミングアウトは一切してなかったけれど、どうしても息苦しかった」といったものです。当事者の方がおかれている状況を把握できてないと、全く関係ない施策ばかり打つことになり改善につながりません。
 
逆に、採用が順調に進んでいる企業さまは、D&Iの本質的な視点を企業カルチャーの中に取り込まれてることがほとんどです。D&Iの視点で見た時に魅力的な要素がたくさんあるにもかかわらず、企業さまが自社の魅力に気づいていないことも珍しくありません。せっかく訴求できるポイントがたくさんあるのですから、誇れるポイントを自分らしく働きたい求職者に知っていただくためにも、「ぜひJobRainbowのプラットホームに掲載しませんか」とお話しています。
 
ーー鈴木さまは求職者のリアルな意見にも触れることが多いと思います。今、求職者はどのような志向をお持ちの方が多い印象ですか?
 
もちろん色々なご希望があるので一概には言えないですが、 「安心して働きたい」方が多い印象です。転職や退職の意志を固める理由のほとんどが、心ない何かしらのバイアスによって生まれる、「居づらさ」や「人間関係のハレーション」です。
 
完璧な企業はないけれど、どこかに心のよりどころがある企業を求めていると思います。たとえば人事や経営層などが、「あなたのことを大事なメンバーだと思ってるし、何かあれば言ってね」といったコミュニケーションをしっかりとるとか。そういった姿勢が見えると求職者も安心すると思うんです。
 
株式会社rashisaさんのアンケート調査によると、「年収が50万円低くても、D&Iに積極的でない企業よりD&Iに積極的な企業で働きたい」と約7割のZ世代が回答しているデータもあります。今後人手が減っていく中で、「安心して働ける」職場づくりに重きを置く施策は非常に重要だと思います。
 

採用支援を通じて、D&Iの「種」を撒く


ーー今後の目標についてお聞かせください。
 
まず会社としては「成長」と「働きやすさ」の両輪が回せる「強くて良い会社」になることを目指しています。10年後にはD&Iのルールメイカーと呼ばれていたら嬉しいですね。
 
私たちダイバーシティ採用事業部としては、D&I推進に取り組むための入り口をしっかりと拡げるというのが一番大きな目標です。社会を変えていくためには、「ダイバーシティ推進に取り組む意味なんてあるの?」と本気で思ってしまっている企業さまたちにきちんと説明をして、意識改革を促していかないとならないと思っています。
 
会社の成長のために数字を追っていく一方で、ダイバーシティに関する視点をまだお持ちでいらっしゃらない企業さまに頑張ってアプローチをして、すぐ契約には結びつかなくても、何かしらの変革のヒントを提供したいと思っています。
 
今、当社では「レインボリューション」を掲げています。「レインボー」と、「イノベーション」だったり「ソリューション」だったりを掛け合わせた造語なのですが、まさにこの言葉通りにダイバーシティを推進するための意識改革や施策を提案していきたいです。
 
私たちの事業部は、まだダイバーシティを推進する意義がわかってません人たちに、唯一アプローチできる事業部でもあります。苦労もしますが、そういった意識がないが故に悲しい思いをする人を一人でも減らすためにも、D&I推進の種を撒いていくエバンジェリストになりたいです。
 
ーーお話を伺っていて、鈴木さまは企業側・求職者側両方の視点をお持ちで、双方をとても大切にされていると感じました。業務の中で、そういった点は意識されていますか?
 
そうですね。どちらかの視点のみで良いのであれば、コンサルであったりNPOであったり、また別の色々な方法もあったとは思うのですが、企業と求職者の二者を結びつけて、健全なプラットフォームとして機能するというのがJobRainbowの唯一無二である所以だとも感じています。どちらにも偏りすぎずに進めていくのは難しくもあり、私も含めて全員手探りではありますが、頑張っていきたいです。
 
ーー御社は近々、採用説明会も開催されるのですよね。御社で働いてみたい、と思っている人へのメッセージがあればぜひお願いします。
 
やはり、当社のビジョンである「差異を彩へ」「自分らしくを誇らしく」という理念に共感して頂けるかどうかは重要視しています。また、3つの行動指針として、「課題からはじめる」「人のためになる」「インパクトの最大化」を掲げていまして、先程のビジョンを明確に追うために、この行動指針に沿って、日々自己判断して業務を進めていける方と一緒に働けたら嬉しいです。
 
業務上で必ず前例がない事態に遭遇することはあります。そのとき、ビジョンに基づいて状況を整理して要素に落とし込んで、一旦自分で答えを出せるかどうか、ということはとても大事にしています。採用説明会ではイベントやセミナー開催などの新規事業も含め、ビジョンや行動指針の話や当社の事業についてさまざまなことをお話できればと思っているので、ご興味のある方は、ぜひご参加ください!
 

JobRainbow採用説明会
2024年1月25日(木)18:00〜19:30 オンライン開催(事前申込制)

取材・文:伊藤 鮎

会社名 株式会社JobRainbow
代表者 星 賢人
所在地 〒150-0047 東京都渋谷区神山町5-20
設立 2016年1月
事業内容 D&Iリクルーティングプラットフォーム「JobRainbow」の開発・運営
D&I推進事業「D&Iラボ」の運営
D&I認定表彰制度「D&I A WARD」の運営 等
BACK BACK