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  • 2021.07.09

「キャリアか、育児か」の二択しかない世の中に終止符を。女性が輝ける社会を目指す、ママ経営者の決意 | 株式会社ポータルズ

働く女性の中には妊娠や出産といったライフイベントによって、仕事を辞めざるを得ない状況に直面することがある。産休や育休はあれど、復帰後に仕事、家事、育児と時間に追われる多忙な日々は決して楽なものではない。また、待機児童問題により子どもの預け先が見つからず、働きたいのに働けない。そんなジレンマを抱えている子育て中のママもいるだろう。

そんな中、「女性がありのままで輝く社会を創造する」を理念に掲げるWeb制作会社がある。株式会社ポータルズだ。同社は女性スタッフ25名で運営され、女性目線で多くの顧客に貢献してきた。

自身も子育てをしながら働くことに苦労したという代表取締役・宮内佳緒里氏は、女性が働きやすい環境づくりを大切にしている。働く女性を応援する彼女の源泉は一体何なのか。創業の想いや現在に至るまでの取り組み、今後の展望などについて聞いた。

【プロフィール】
宮内 佳緒里
株式会社ポータルズ代表取締役。1971年生まれ。アパレル、通信業界を経て富山県に移住。山村協力隊に参加し美術館の学芸員として働く傍らで、パソコン教室の講師も務める。その後、結婚・出産・離婚をきっかけにフリーのWebデザイナーに。子育てと仕事の両立に苦労した経験から、「同じような境遇の人に働く場所を提供したい」と社員は全員女性を採用。女性の視点を生かしたデザインとマーケティング戦略を行い、全国の治療院集客に特化したホームページを1000件以上制作。創業以来、広告や営業活動を一切せず、口コミだけで集客を行っている。

震災を機に富山に移住。結婚、出産、離婚、そして独立へ

大学卒業後は百貨店やホテルで有名ブランドの仕事に就いていた宮内氏。阪神大震災で職場がなくなったのをきっかけに、富山県の秘境に移住。村おこしを目的とした山村協力隊に参加し、チベット・ネパールの曼荼羅(まんだら)を飾る美術館の学芸員として働いていた。
 

「移住先は自然いっぱいの山奥。商店が1件あるだけで、他に何もありませんでした。お金がないときには、ラーメンを常備して、周辺に生えている山菜を採り、2週間を過ごすというような生活をしたこともありましたね。休みの日はやることがなかったので、ひたすらインターネットをしたり、パソコン教室の講師をしたりしていました」
 

その後、宮内氏は現地で結婚、出産するも、離婚。幼い子どもを連れて地元神戸に帰ることに。しかし、保育所も、仕事もなかなか見つからず、意を決してフリーのWebデザイナーとして開業。学生時代から最新の家電好きだった宮内氏は、当時は持っている人が珍しかったワープロを扱うなど、機械関係が得意だったそうだ。通信系の仕事時代、パソコン講師時代に培ったスキルはもちろんのこと、Webデザイナーに関する知識はすべて独学で勉強したという。「好きこそものの上手なれ」とは、まさにこのことだろう。宮内氏は「好きなことなので、パソコンに関する勉強はまったく苦になりませんでした」と、にこやかに語る。開業後は、不動産やハウスメーカーのホームページ制作、CMSのシステム構築などWeb関連の仕事のほか、企業からイラスト制作の仕事も請け負った。

フリーランスとして重宝される一方で……


何の後ろ盾もない中フリーランスとして新たなキャリアをスタートした宮内氏。独立当時はWebデザインというスキルの希少性が高いこともあり、仕事が途切れることはなかったそうだ。一方、「フリーランスならではの悩みに直面した」と、当時を振り返る。
 

「とにかく長時間労働に悩まされていました。納得のいくものをつくりたい想いも強かったので、『これで納品しよう』と区切りをつけることもできなかったんです。足元を見られることもありました。値切られたり、サービス範囲外のことを要求されたり。結局、いつも言われるがままに仕事を請け負って、パンクする……。当時は仕事のやり方をよくわかっていなかったので、無理な要求に毅然とした態度で『ノー』と言うことができなかったんです」
 

彼女が悩まされたのは長時間労働だけではない。依頼が多いにもかかわらず、シングルマザーでフリーランスというだけで「仕事やお金に困っている」と偏見の目に晒されることも多かったのだという。特に印象的だったのが、ある商談でWebデザイナーの名刺を渡した時のこと。「ホテル清掃のバイトがあるから紹介しようか」と言われ、大きなショックを受けたそうだ。
 

「まさか自分が周りから哀れみの目で見られているなんて、思ってもいませんでした。だからといって落ち込んでいても仕方ない。今は社会的な信用はないかもしれないけど、いつか必ず娘や両親に誇れるような自分になりたいと思い、法人化を決意しました」

ポイントは女性視点。成果にコミットする、唯一無二のサイトを


2003年、確固たる決意を胸にポータルズを立ち上げた宮内氏。資本金は50万円。社員は0。「一人なのに株式会社にする必要あるの?」と周囲から言われることもあったそうだが、持ち前の負けん気の強さを武器に、事業を着実に拡大させた。2011年からはアルバイトや正社員も雇用し、専門性を高めることにも注力。整骨院や整体院にターゲットを絞ったことで、事業はさらに加速したそうだ。治療院に特化したWeb制作に舵を切った背景について、彼女はこう語る。
 

「当社でWebサイト制作を担当したある整骨院の先生が『ポータルズさんに頼んだらネット集客がすごく増えました』と、おっしゃってくださって。そこから口コミで私たちの評判が広がり、整骨院や整体院からの受注が増えたことがきっかけです。『治療院特化にした方が価値を提供できるのでは』と思い、自社のホームページでも治療院専門であることを打ち出すことにしたんです。おかげさまで、広告での集客や営業をすることなく、紹介だけで事業を伸ばすことができました」
 

同社の特徴は、領域特化だけではない。ポータルズではWeb制作に入る前に必ず顧客の元に足を運び、入念なリサーチを行うことを大切にしている。中には「集客がアップしたあの院と似たようなホームページを作っておいて」と依頼されることもあるそうだが、同じものを作れば同じような集客が見込めるわけではない。院によって立地や環境によって客層も異なる上、得意なメニューも違ってくる。そうすると必然的にターゲットや訴求ポイントは変わってくるのだ。院の特徴を丁寧にヒアリングし、その院に最適なホームページを提案しているからこそ、口コミで広がるような成果を上げ続けることができるという。
 

同社が手がけるサイトが評価される理由はもう1つある。それは、「女性視点」だと宮内氏はいう。
 

「治療院の先生は男性でも、患者さんは女性が多いケースがほとんど。男性には気づけない視点を私たちが補うことで、院の集客につながりやすくなるんです。中には写真や文章だけをもらって、ホームページを制作する会社もありますが、私たちは集客に直結するホームページを作りたい。『ただ作るだけ』の仕事は絶対したくないんです」
 

ポータルズではホームページ納品後、ほとんどの顧客が「ポータルズサポート会員」に加入してくれるという。会員になると専門の担当チームがつき、その後のホームページ運用をサポート。アクセス解析を行なって、改善案を提案したり、定期的な勉強会を実施したりするなどアフターフォロー体制も万全。カスタマーサクセスという言葉が定着する以前から、顧客の成功に当たり前のように向き合ってきたのだ。

雇用形態で区別しない。ライフステージが変わっても働きやすい職場づくりを


地道な活動が功を奏し、ポータルズの取引先はいまや数百社以上に。順調に事業を拡大してきた背景には、女性が働きやすい環境づくりに注力してきた点もあるという。
 

「妊娠や出産などライフイベントがあっても働き続けられるように、フルタイムや時短勤務など柔軟に働き方を変えることができる環境を整えてきました。評価も雇用形態で区別しません。事実当社では、成果に応じて時短スタッフにも重要な役職を任せることもありますし、賞与を支給することもあります」
 

さらにチーム担当制を導入し、誰かが休んでも誰かがフォローできる体制を構築。気軽に休める環境も整備している。
 

「スタッフを2〜3チームに分けて割り振りを決め、担当する会社の情報だけを共有するようになりました。情報はチームですべて共有しているので、お子さんの急な発熱で誰かが休んでも別のスタッフが代わりに対応できます。家庭と仕事を両立しやすい環境づくりに注力した結果、多くの女性社員が当社で活躍しています」
 

もちろん、「何かあった時」しか休めないわけではない。中には「ライブに行きたいから」「新作ゲームを集中してやりたいから」という理由で休むスタッフもいるとのこと。有給の半日消化も可能で、「午前中は仕事をして、午後から休み」という取り方もできるほか、現在は交代で在宅勤務も行なっている。
 

最後に宮内氏に今後の展望につい尋ねると、にこやかな笑顔とともに「平和に暮らしたいですね」という回答が返ってきた。
 

「会社を大きくしたい、という夢が昔はありましたが、いまはここで働くスタッフが気持ちよく働いてくれる環境を大切にしたいんです。もう1つ、私はもともと子どもが大好きだったんですが、いざ自分が子育てをしてみると、とても大変で挫折ばかり。いま思えば産後うつのような状態だったと思います。思うようにいかなくて、悩むことも多かったのですが、仕事で成果をあげ、お客さまに喜んでもらえることによって気持ちが楽になりました。子育てをしていて褒められることはなくても、仕事で成果をあげれば褒めてもらえる。そういう場所があることで気持ちにゆとりが生まれて、子どもにも気持ちに余裕を持って接することができました。そんな自分の経験もあり、同じような境遇の女性に、心を取り戻すような仕事をしてもらえる場を提供したいと思っています」
 

取材・文:中田 優里奈、編集:田尻 亨太

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代表者 宮内カオリ
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