コラム

【職場のハラスメント対策】パワハラ、セクハラ、モラハラなど各種ハラスメントの定義と適切な対処法を紹介

職場におけるハラスメントは、個人の尊厳を傷つけ、心身の健康を脅かすだけでなく、組織全体の生産性や士気にも悪影響を及ぼす深刻な問題です。パワーハラスメント(パワハラ)をはじめ、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、モラルハラスメント(モラハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)、アルコールハラスメント(アルハラ)など、様々な形態のハラスメントが存在します。

ですが、ハラスメントを受けていても、どのように対処したらよいか迷うこともあるでしょう。また、会社に報告しても相談しても取り合ってもらえなかった経験がある人もいるかと思います。筆者自身も前の職場では無意識のハラスメントが常態化しており、大変苦労しました。

そこで、本記事では、これらのハラスメントを受けている方々に向けて、各ハラスメントの定義や具体例を解説すると共に、適切な対処法と解決へのステップをお伝えします。会社の対応が不十分な場合の対策も含めて、一緒に解決への道筋を探っていきましょう!

職場で最も起こりやすいパワハラとは


パワハラは上司や先輩などが職権や人間関係の優位性を利用して、部下や後輩に対して行う以下のような行為を指します。
 
– 暴言、脅迫、侮辱などの言葉による攻撃
– 殴る、蹴るなどの身体的な暴力
– 必要以上に厳しい叱責や無視、仲間外れにするなどの精神的な圧力
– 能力や経験に見合わない過大な要求や、達成不可能な目標の設定
– プライベートな時間への過度な立ち入りや、私的な事柄への不適切な介入
 
これらの行為は上司から部下への指導の形を取って、行われがちです。筆者も実際に、前の職場では「君と俺の関係だから」「よかれと思って」と不合理な罵倒や意図の明確でない指導を受けたことが多くあります。正しい指導や指摘と異なり、感情的な理由や侮蔑する表現が含まれている場合はパワハラと考えてよいでしょう。

職場で起こりうるその他のハラスメント

パワーハラスメント以外にも、職場では様々な形でハラスメントが発生する可能性があります。以下は、代表的なハラスメントの種類とその具体例です。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

セクシュアルハラスメントは、性的な言動により相手を不快にさせる行為を指します。具体的には以下のようなものがあります。
 
– 容姿や身体についての不適切な発言や質問
– 性的な噂の流布や、性的な関係の強要
– ポルノグラフィックな画像や動画の見せつけ
– 必要のない身体への接触や、性的な意味合いのある物の受け渡し

モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメントは、人間関係や優位性を利用して、相手の人格や尊厳を傷つける行為です。以下のような例が挙げられます。
 
– 相手の能力や実績を否定し、無能呼ばわりする
– 大勢の前で相手の欠点や失敗を執拗に言及する
– 根拠のない悪い噂を流布し、孤立させる
– 不当な理由で仕事を与えない、または過剰な仕事を押し付ける

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントは、妊娠・出産・育児をする女性に対する不当な扱いや嫌がらせを指します。具体例としては、以下のようなものがあります。
 
– 妊娠や出産を理由に、昇進や昇給を拒否する
– 産前産後休業や育児休業の取得を阻害する言動
– 妊娠中の女性に対し、過度に負担のある業務を割り当てる
– 育児休業からの復帰後、不当な配置転換や降格を行う

パタニティハラスメント(パタハラ)

パタニティハラスメントは、育児に積極的な男性に対する嫌がらせや不利益な扱いを指します。以下のような行為が該当します。
 
– 男性の育児休業取得を阻害したり、取得者を批判したりする
– 育児のための休暇や早退を理由に、昇進や昇給で不利益を与える
– 育児中の男性に対し、「仕事に集中できない」などと中傷する

その他のハラスメント

上記以外にも、以下のようなハラスメントが職場で起こり得ます。
 
– エイジハラスメント:年齢を理由とする差別や嫌がらせ
– アルコールハラスメント:飲酒の強要や、酔った状態での不適切な行為
– カスタマーハラスメント:顧客や取引先からの過剰な要求や暴言・暴力
 
これらのハラスメントは、被害者の尊厳を傷つけ、心身の健康を脅かすだけでなく、職場全体の士気や生産性にも悪影響を及ぼします。自らを守るため、また、ハラスメントを許さない職場環境を作るためにも、ハラスメントを受けた際には我慢せず、行動を起こしましょう。

ハラスメントを受けた場合の初期対応


もしあなたがハラスメントを受けたと感じたら、まず以下の初期対応を心がけましょう。

証拠を記録する

パワハラの事実を裏付ける証拠を記録することが重要です。日記や手帳に、日時、場所、関係者、具体的な言動などを詳細に記録しましょう。可能であれば、音声や動画の録音・録画も有効です。ただし、盗聴や盗撮にあたる行為は避けてください。メールやチャットの履歴も、証拠として保存しておくとよいでしょう。

信頼できる人に相談する

一人で問題を抱え込まず、信頼できる同僚や友人、家族に相談することをおすすめします。客観的な意見を聞くことで、自分の状況を冷静に判断できるようになります。また、精神的なサポートを得ることもできるでしょう。

社内の相談窓口に報告する

企業によってはハラスメント相談窓口や人事部門が設置されています。被害の詳細を報告し、適切な対応を求めましょう。報告の際は、前述の証拠を添えることで、説得力が増します。相談窓口の対応が不十分な場合は、上位の管理職やトップマネジメントに直接訴えることも検討してください。

会社の対応が不十分な場合の対処法


社内の相談窓口に報告しても適切な対応が得られない場合や、そもそも相談窓口がない場合、以下の選択肢を検討しましょう。

社外の相談窓口や支援団体を利用する

弁護士、労働組合、公的機関など、社外の相談窓口や支援団体を頼ることができます。例えば、都道府県労働局の総合労働相談コーナーでは、労働問題に関する相談を無料で受け付けています。労働組合には、法律相談や交渉の支援を依頼できます。深刻なケースでは、弁護士に相談し、法的なアドバイスを求めることも重要です。

法的措置を考える

社内での解決が難しい場合、法的措置を検討することもあり得ます。労働審判や民事訴訟を起こすことで、会社にパワハラの責任を追及し、損害賠償や環境改善を求めることができます。ただし、訴訟には時間とコストがかかるため、弁護士と相談の上、慎重に判断する必要があります。

メンタルヘルスケアを優先する

ハラスメントは、被害者の心身に大きな影響を与えます。状況の改善に取り組む一方で、自分の健康を守ることを忘れてはいけません。ストレスマネジメントを心がけ、必要に応じて医師やカウンセラーに相談しましょう。会社の Employee Assistance Program(EAP)や、地域の心療内科、カウンセリング施設などを利用することをおすすめします。

自分を守るためにも行動を起こそう

ハラスメントは早期に発見し、適切に対処することが何より大切です。被害を受けたと感じたら、一人で悩まずに周囲の支援を求めてください。社内外の相談窓口や専門家を頼り、自分に合った解決策を見つけていきましょう。
 
同時に、自分自身の心と体を大切にすることを忘れないでください。ストレス解消法を見つけ、自己肯定感を高める努力をしましょう。あなたには、安心して働ける環境で、能力を発揮する権利があるのです。
 
筆者の前の職場でも、無意識に男尊女卑や年功序列の感覚が浸透しており、「上司と部下の信頼関係」の名の下に多くのハラスメントが行われていました。職場の仲間の信頼関係は大切ですが、それは上の立場の者から言い出すことではありませんし、ましてやそれをハラスメントの理由にしてはなりません。
 
声を上げるのは勇気がいるかもしれませんが、信頼できる社内の人がいればその人に相談する、そうでなければ支援団体に相談するなどして、自分の現状を伝えることは重要です。そのうえで、問題解決をはかりつつ、転職も検討するなど、次のステップを考えていきましょう。今ハラスメントを受けている人は、どうかこれ以上自分が傷ついてしまう前に、行動を起こし、自分を大切にしてください。

【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。ハラスメントを自分から告発しにくい場合は、社内外の人に相談するのがおすすめです!
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