コラム

まずは転職の「軸」を考えよう〜30代!資格なし!はじめての転職体験記①

30代といえば、多くの人が社会人としての期間も10年近く、キャリアを積んできた人もいるでしょう。そんな中で、頭の隅をチラつく「転職」の文字。そんな悩みを持っている人もいるのではないでしょうか。筆者の場合も、まさにそのような状況でした。新卒入社から約10年勤続、社内での評価も悪くはない……でも、なんとなくモヤモヤする、もっと他にあるかも……。そう思って、色々と考えた末に、転職を選びました。

ちなみに筆者のスペックは、30代、新卒から1社に約10年勤続してはいるものの、資格や肩書は特に無し、いきなり、はじめての転職!なかなか、難しい条件だと思いませんか?実際、何が何だかわからないまま始めた転職活動は、波乱万丈そのもの。ですが、結果として、納得できる企業に出会うことができ、無事に転職することができました。そこでこれからのいくつかのコラムでは、そんな筆者の転職活動経験をもとに、筆者なりに掴んだ30代の成功する転職のコツを、伝えていくことができればと思います!

30代の転職はシビア、だからこそ「軸」が大切

まずは実際に、30代で転職をする人はどれくらいいるのか? という点を見てみましょう。

出典:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」

厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、30代の転職入職率は、男女ともに、20代の転職入職率よりも明らかに下がっていることがわかります。一般的に思い浮かべるキャリアプランでも、「20代で自分に合う業種・職種を見極め、キャリアを積んでいき、30代ではより重要なポジションで仕事をしていく」といったものが多いでしょう。
 
そう考えると、30代での転職はやはりハイリスク?と思う人もいるかもしれません。ですが、しっかりとした「軸」を持てば、30代での転職は、決して難しいものではない、と筆者は感じました。では「軸」とは何でしょうか?

「軸」を決めるための2つのポイント

転職活動をする!となると、まずはたくさんの転職サービスに登録したくなると思いますが(実際に筆者もそうでした……)、そうではなく、まずは自分の転職の「軸」を決めましょう。筆者が考える「軸」の決め方は2つのポイントで絞り込むことです。
 
「なぜ転職したいのか?」
「何が自分の強みか?」
 
転職活動において、よく重要な点と言われる点だと思います。ですが、単にその点を考えるだけでなく、より詳細に分解することで、それが転職の「軸」となると筆者は考えます。では、筆者の例をまじえながら、それぞれ具体的に考えてみましょう。

なぜ転職したいのか?

転職したい理由はさまざまだと思います。30代ともなると、ひとつの大きな理由としては、「キャリアを活かしてより年収を上げたいから」ということがあると思います。この場合は、社内で昇給を掛け合ったり、ポジションチェンジを打診したりなどの策をまず取ってみてもよいかもしれません。ただ、たとえば現職では力を発揮しきれない、もっとハイレベルな環境で面白い仕事をしたいと感じる場合は、それが転職の「軸」となります。このように、ただ「年収を上げたい」だけではなく、それを「どんな環境で」実現したいのかまで、落とし込んでいく必要があります。
 
また、転職理由として多いものに「職場の環境を変えたい」というものもあるでしょう。筆者の場合はまさにこのパターンでした。決定打と呼べるような要因があった訳ではないのですが、仕事を続けてきて、なんとなくモヤモヤすることが増えました。その要因を細かく考えていくと、「意思決定までのスピード感が遅い」「社風や社員の人柄に古さを感じる」「もっと自己裁量の多い仕事がしたい」という理由が浮かび上がってきました。ということは、それを解消できるような企業を選ぶ必要がある、ということです。これが筆者にとって転職の「軸」の重要な1側面となりました。
 
他にも、「福利厚生や勤務時間に問題がある」という場合は、単に「ホワイト企業」を謳っている企業を探すだけではなく、自分がどんな内容の福利厚生を求めているのかを洗い出してみましょう。できるだけ自由な時間に働きたいのか、残業の少なさが最優先なのか。資格取得などの支援があるとよいのか。それらを明確にしておくことで、「軸」となります。
 
「今の職種から新しい業種・職種に転職してみたい」という場合は、未経験での挑戦ということになります。この場合、その職種で自分がどう活躍できるのか、きちんと想像しておくことが必要です。これは2つ目のポイントの「なにが自分の強みか?」とも関係してくるのですが、自分のスキルをその業種で活かすことができるのか考えてみましょう。また、必要な資格などがあれば、転職活動を始めるに当たって、資格取得に向けて勉強するなどのこともアピールポイントのひとつになってくるかもしれません。そして、未経験の業種・職種に転職する場合、きちんと研修環境があったり、スキル取得のための支援が用意されていたりする企業を選ぶことも大切です。
 
「現職の人間関係」という場合には、現状のどこが自分と合わないのか、どんな人間関係が自分には好みなのか、ということを考えましょう。和気あいあいとした職場が好きなのか、できるだけ個人作業の多い仕事がよいのか。ただ、現実問題、まったく人と関わらない仕事はほとんど無いですし、人間関係や職場の雰囲気は入社してみないとわからないとは思います。けれど、望む職場環境にすることで、面接時に空気が合うか合わないかの判断基準にもなりますし、そういった面での相談や質問を切り出すこともできるので、「軸」としてしっかり持っておく必要はあると思います。なお、重要なのは、「なぜ転職したいか」=「優先したい点」はあくまで1点に絞りましょう。
 
色々な要素をまとめて改善したいのはわかりますが、複数の要素を一度にクリアできる企業と巡り会える確率は決して高くないと、筆者は体感しました。そのため、優先順位をつけるとしても、「1番はこれ」というものを必ず決めておくことが重要だと思います。筆者の場合は、「前職より年収は落ちても構わない」「社風や人間関係は会社の規模感や面接での印象で検討する」と割り切り、何よりも「もっと自由に、スピード感を持って仕事をできる企業に転職したい」という点を意識しました。

なにが自分の強みか?

「軸」を考える上で、もうひとつのポイントが「なにが自分の強みか?」でした。わかりやすい自分の強みといえば、保有資格や語学力などがあるでしょう。でも、「そんなもの何もないよ!」という人も多いのではないでしょうか。まさに筆者もそうでした。特別な資格も持っていなければ(運転免許証すら持っていない!)、英語もビジネスの場でスムーズに使えるかというとちょっと怪しい……。
 
しかし、転職、ましてや30代の転職ともなると、「何の経験もありません」「何のスキルもありません」というのは、現実的にはかなり不利になってしまいます。そこで、絞り出してでも、自分の強みを考えていく必要があります!まずは、これまでの自分の社会人実績について、じっくり思い出してみましょう。これまで従事した職務での成果物や案件など、明確に数字にできるものがあれば、それは確かなアピールポイントのひとつになります。
 
また、事務の仕事などであっても、社内でどのように評価されていたか、どういった内容の事務をどれくらいのスピードで処理していたか、というのは十分な強みのひとつになるでしょう。他にも、勤続年数の長さを好意的に評価されることも、筆者の場合はありました。反対に何度も転職を繰り返してしまっている……という場合は、そのことを前向きに捉え、「常にスキルアップを目指しながら、より自分が活躍できる環境を探している」と考えることもできるかもしれません。
 
何事も、ネガティブな側面もあればポジティブな側面もあるもの。自分のこれまでの社会人経験を考えながら、ポジティブな要素をできるだけ多く絞り出してみましょう!そして出てきた要素を、更に細分化していきます。筆者の前職はクリエイティブ系だったため、「手掛けた案件の数、その成果」が一番の強みとなるポイントでした。ただし、これだけでは単なる数や結果のアピールにしかなりません。転職の「軸」にするには不十分だと筆者は思います。
 
ここで重要な細分化とは、そのアピールできる経験によって、「どんな能力を得たか」です。筆者の例で説明すると、前職の仕事の大まかな流れは、企画を立て、社内外と折衝しながら制作を進めていき、それをリリースする、というものでした。
 
この仕事の過程から、
・「企画を立てる」→「市場のリサーチ力、それを踏まえた企画立案力」
・「社内外との折衝」→「自分の意図や狙いを明確に持ちながら、他者と話を擦り合わせていくコミュニケーション力」
・「制作の進行」→「進行管理力、コンテンツの修正等の制作力」
・「リリース」→「営業と協力しながら有効な施策を打っていくPR力」
などと、得られたスキルを洗い出しました。
 
なお、このときの細分化のポイントですが、前職の業務をしていた際、苦しんだ部分でもあります。苦しんだ部分とは、それだけ改善するために頭を働かせて経験を重ねてきた部分でもあるので、ぜひ思い返してみて、参考にしてみてください。
 
30代まで社会人生活を続けてきたことで得た経験は色々とあるかと思います。そこをどれだけ細分化し、自分固有の経験から生まれた強みであるか洗い出すことができれば、自分が活躍できそうな職種・業種を知ることにも繋がりますし、未経験の業種・職種にも挑戦する取っ掛かりとなることもあるでしょう。もちろん転職活動の際のより強力なアピールポイントともなります。

「軸」を固めることで自分に合った転職活動をできる

さて、ここまでで、「なぜ転職したいのか?」と「なにが自分の強みか?」を洗い出すことができました。これを転職の「軸」として整理すると、
・「なぜ転職したいのか?」→どのような企業へ応募するかという基準
・「なにが自分の強みか?」→自分が活躍できる業種・職種の基準とアピールポイント
となります。

この2点を「軸」としてぶらすことなく転職活動をすれば、転職サービスの利用や、転職エージェントやコンシェルジュなどのサービスを受けるときにも、互いの齟齬がなく、よりスムーズなコミュニケーションを取ることができるようになるでしょう。また、なによりも、とことん自分の考えや経験を細分化したことにより、ぼんやりした現職への不満や不安感や、無謀な転職の方向性、紋切り型のアピールポイントなどとは異なる、自分固有の転職の「軸」となります。
 
これまで説明したことは、20代の転職でももちろん重要なことだと思いますが、30代という「これまでの社会人経験」を問われる転職活動では、非常に重要だと筆者は感じます。ここまで、まずは転職活動をしようかな?と思い立ったときに、準備として考えたい転職の「軸」を説明しました。
もしも、今転職するかどうか悩んでいる人がいましたら、参考になったら幸いです!
 
そして、今後の記事では、転職活動のステップを、筆者の経験をもとに更に解説していきたいと思います。転職サービスやエージェント・コンシェルジュサービスとの齟齬、やたらと応募しすぎて落ちまくりの書類選考、書類選考通過するものの面接のスケジュールの管理にてんやわんや、不思議な企業との面接などなど……

それらの波乱万丈の経験をもとに、自分なりに掴んだコツを発信していく予定です。よろしければ、そちらもお読みくださり、皆さんの転職活動の背中を押すことができたらうれしいです!ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
 

【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。最近魚の三枚おろしができるようになりました!
 
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