退職代行サービスを利用するメリットとデメリット、代行会社の選び方
聞けば以前から退職の打診をしていたがズルズルと辞めさせてもらえず、意を決して「退職代行サービス」を使ったという。退職代行というワードはそれまで耳にしたことはあったが、実際に使って退職した話を聞くのは初めてだった。
彼女のように退職を申し出ているにも関わらず、なかなか辞めさせてもらえないという悩みを抱える従業員は、まだまだ多いことだろう。そんな悩みやストレスを抱える方に対し、本記事では退職代行サービスについてメリットとリスクについて紹介する。不幸な従業員が退職に関するストレスや不安から解放され、新たなスタートをきる際にはぜひ参考にしてほしい。
退職代行サービスとは
退職代行サービスとは、その名の通り退職する従業員の代わりに業者が退職の手続きを行うサービスのことだ。具体的なサービス内容は提供元によって異なるが、主に以下のようなものがあげられる。
相談者の状況を把握し、適切な退職プロセスを提案。具体的には労働条件や退職理由の確認、退職手続きの流れ説明、トラブル回避策の提案などを行う。
相談者の情報をもとに正確な退職届を作成。退職日、退職理由、連絡先などを適切な表現とフォーマットを用いて作成する。
相談者に代わって退職届や関連書類を雇用者へ提出。円満退職に向けて提出方法や手続きのフォローも行う。
相談者に代わり、退職に関する条件や要求を雇用者と交渉。退職日調整、慰労金、雇用後の禁止事項、有給休暇の消化について話し合い、双方の利益を保護するべく交渉をする。
相談者の希望や雇用者との協議を踏まえ、適切な退職日を決定。労働条件や法律を考慮し、最適な退職日を提案・調整する。
相談者の退職に伴う健康保険や厚生年金の手続きをサポート。適切な書類の提出や手続き方法をレクチャーし、保険の切り替えや年金の受給をスムーズに行えるよう支援する。
退職に伴う所得税の確定申告手続きに関するアドバイスやサポートも提供。所得の計算や控除の適用、必要書類の準備等をレクチャーし、税務署への提出をスムーズに行えるよう支援する。
相談者の退職後も再就職活動のアドバイスやキャリアカウンセリング、アフターケアなどのサポートを提供。必要に応じて助言をしながら、相談者が次のステップへとスムーズに移行できるようにサポートする。
このように退職代行サービスでは、事前の相談から退職後のフォローアップまで、きめ細やかなサポートを提供している。
退職代行サービスの対象となるケース
では、退職代行サービスを使うケースにはどんなものがあるのか。上述した前職の退職者のように退職交渉が難しいこと以外にも、実はさまざまなケースがあげられる。ぜひ自分自身の状況と照らし合わせて、退職代行サービスを使うかどうかの判断材料としてほしい。
まず、働く環境が相談者の健康や人間関係に悪影響を及ぼしている場合。具体的には、長時間労働、パワハラ、セクハラ、人間関係のトラブル、過労やストレスが原因での心身の不調、労働条件の急な変更で相談者の負担となっている場合に利用されるケースが最も多い。
現在の働き方からジョブチェンジをしたい場合。具体的には、フルタイムからパートタイムへの移行や在宅勤務への転換、副業や起業の開始などのキャリアチェンジを望むケースや、育児や介護のために働く時間を調整したいなど、働き方を変更したいケースにも利用されている。
退職に伴うさまざまな手続きが煩雑で手間がかかる場合。具体的には、退職届の作成、社会保険手続き、確定申告、雇用契約書の解約、労働条件通知書の取り消しなど、退職に際して相談者に求められる対応が多いケースにも利用されている。
退職時期や条件を最適化したい場合。事前にヒアリングした相談者の希望に沿って、円満に退職したい場合に利用されるケースもある。
退職代行を利用するメリット
ここまで退職代行サービスの具体的なサービス内容や、実際に利用されているケースについて述べてきた。「退職代行サービスってなかなか良さそう……」と魅力に感じはじめた読者もいることかと思う。そこで、具体的に退職代行サービスを利用することで得られるメリットは何かを考えていく。
退職手続きは、会社との交渉や書類作成、手続きなど、精神的・時間的負担が大きく、ストレスが溜まりやすいものだ。そこで退職代行サービスを利用することで、相談者は自身で退職手続きを行う際に感じるストレスや負担を軽減することができる。専門家が中立的な立場で交渉や手続きを代行することで、相談者はこれらの煩雑な作業から解放されることが期待できる。
退職代行を利用したいと考える従業員のなかには、職場での人間関係の悩みや、パワハラ・セクハラ・いじめなどが原因で精神的なダメージを受けていることが多い。そのため、退職代行サービスを利用することで職場の人間関係から距離を置くメリットを得られる。
自分で会社と退職の交渉や手続きを行う場合、何かと理由をつけて引き止められたり、諸々の手続きがあったりなどで時間がかかることがある。退職代行サービスを利用すれば、そうした退職にかかる時間を削減することで、次のキャリアに向けた研修・勉強、起業準備など、計画や行動を早期に進めることが可能となる。
労働法や交渉手法に精通したプロフェッショナルが退職手続きを円滑に進めるためのアドバイスをくれる退職代行サービス会社も多い。退職に関連する法律やルールに詳しい専門家のサポートを受けることで、相談者は自分の権利や義務への理解が深まり、不利益な状況に置かれることを避けることができる。
退職代行を利用するデメリット
一方で、退職代行サービスを利用するデメリットについても理解しておかなければならない。
退職代行サービスの利用には当然費用がかかる。事前に下調べをしないと想像以上に費用が割高になったり、追加費用が発生する恐れもある。ここではそんな退職代行サービスを利用する際のデメリットやリスクについて解説しよう。
相談者、もしくは相談者の雇用主との間で不適切な手続きや対応が行われると、トラブルや法的問題が生じる可能性がある。その他にも、相談者の個人情報を悪用されるリスク、業者が途中で連絡が取れなくなるなどの問題、退職手続きが遅延したり未完了のまま放置される、なども実際の被害として発生している。
依頼した退職代行サービスが相談者の雇用主に不快感や誤解を与えることで、雇用主と相談者の関係性が悪化する可能性があることもあげられる。それにより、相談者の評判が下げられ、信頼関係を築いた同僚や上司との繋がりも断絶される恐れがある。
退職代行サービスの選び方と注意点
退職代行サービスのメリットとリスクについて紹介したが、実際にサービスを利用する際はどんな点に注意すればいいのだろうか。ここからは退職代行サービス会社を選定するポイントについて解説しよう。
品質の高いサービスを選び、トラブルや不満を回避するためにも、まずは口コミサイトやSNSなどで候補となる退職代行サービス会社の評判と実績をチェックしよう。また、ホームページを見ればある程度、実績や料金が記載されているケースも多いので、候補となる会社のサイトを確認して内容を比較するといいだろう。ホームページに具体的なサービス内容や実績、料金の記載がない場合は、資料を問い合わせて実際に営業担当から提案を受けてからでも遅くはない。サービスや料金について不明点があれば、必ず確認しよう。納得のいく回答を得られなければ要注意だ。
退職代行サービス会社によって提供するサービスやサポートは異なるので、自分にあった内容か必ず事前に確認しよう。内容を確認せずに進めてしまうと、必要のないサポートに無駄なお金を払うリスクもある。せっかく退職したのに高額な請求を支払うためにお金が必要になり、焦って転職し、再びブラック企業に入社してしまっては本末転倒だ。
予想外の出費やトラブルを回避するために、事前に費用と契約内容を把握しておくことも必要だ。費用面において、明確な料金設定を持つ業者を選ぶことで、予算オーバーや追加費用に悩まされることも防げる。また、契約内容を確認しておくことで、サービスの範囲や業者の責任を明確に把握し、期待するサポートが受けられるかを確認できる。
おすすめの退職代行サービス10選
これまでの退職成功率は100%で弁護士が監修している。料金は業界最安値 の2万円(税込)。退職代行業界のパイオニアとして認知度が高く、毎年1万件以上のあらゆるケースに対応するなど業界トップクラスの実績を誇っている。これまでに損害賠償を請求されたことも一度もなし。価格も業界最安値を謳っていて、コストをかけずに退職したい方にもオススメ。
人材会社が運営しており、料金は2万5000円(税込)。弁護士監修のもと、実績は1万件以上。再就職サポートの提供もあり、提携先の会社で転職が決定した場合は退職代行費用を全額キャッシュバック。失業保険の給付金を受け取るサポートなど、サポート体制が充実している。
東京都労働委員会に認証されている法適合の合同労働組合が運営していて、料金は2万9800円(税込み)。退職の相談にあたり面談は不要で、相談から退職まで全てスマホで完結でききる。
顧問弁護士が監修のもと、労働組合が運営。料金は2万2000円(アルバイトの場合1万2000円)。退職代行サービス利用後、1年間は半額での再利用が可能。女性スタッフも多数在籍している。
退職代行実績が18年という老舗の退職代行業者。料金は2万7000円。弁護士監修のもと実績4万人以上を誇る。蓄積したノウハウをもとに、他社で失敗した例でも成功したという実績もある。人材会社との提携で無料の転職サポートも利用可能。「全て丸投げOK!」という心強いサポート体制がある。
労働組合が運営する退職代行サービスで料金は2万8000円。退職後も1年間サポートがあり、手厚い支援をうけることができる。
完全後払い制の退職代行サービスで料金は2万8000円。労働組合が運営しており、弁護士も監修。最短10分で退職連絡をしてくれるため、すぐに退職することができる。
専門的な知識をもった弁護士が対応してくれるため、即日円満退社が可能。料金は5万5000円~。困難なケースも相談ができ、万が一損害賠償を請求された場合も対応できる。
日本初の「女性向け退職代行」を提供している。料金は2万9800円。創業18年で実績も豊富にあり、顧客満足度も98.7%と高い代行サービス。JRAA(日本退職代行協会)の「特級認定」も取得している。
日本初の「男性専門の退職代行」を提供している。料金は2万6800円。創業18年にわたって培ったノウハウを活かし、トラブルは一切なし。。JRAA(日本退職代行協会)の「特級認定」も取得しており、違法のない安心のサービスを受けることができる。
これらのサービスは、出社や会社への連絡をせずに円滑な退職を進めるために、個々の状況に応じたアドバイスや手続きをサポートしてくれる。退職後の給与や有給消化についてはもちろん、再就職に向けた支援なども受けられるため、気になることは何でも相談をしているのが良いだろう。
退職代行サービスでより明るい未来へ
筆者自身も一度退職を経験したが、退職交渉や手続きはストレスだった。退職代行サービスは、多くの悩める相談者を強力にサポートしてくれるだろう。
とはいえ、多くのリスクもあるため、本来であれば自分の力で退職へと進むことが望ましいことに変わりはない。サービスを使うことで、費用面だけではなく自分の評判に傷がついてしまうからだ。実際に、退職代行サービスをつかって退職した彼女についても、在籍時から一転して悪評を残しての退職となった。
「費用がかかっても、人間関係を壊してでも、悪評が立ったとしても、何としてもこの状況から脱出したい!」そう強い意思がある方はぜひサービスを利用して、新たなステージへの一歩を踏み出してほしい。
【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。
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