コラム

職場で起こる不機嫌ハラスメントを回避するには?周囲に与える影響や対処法と予防策について解説

近年、職場におけるハラスメントが大きな社会問題となっています。なかでも、不機嫌ハラスメントは、その名前の通り不機嫌な態度や言動によって相手を不快にさせる行為を指します。本記事では、不機嫌ハラスメントの定義や周囲に与える影響、対処法、予防策などについて詳しく解説します。不機嫌ハラスメントに悩む方や、職場環境の改善を目指す管理職の方は、ぜひ参考にしてください。

不機嫌ハラスメントとは


不機嫌ハラスメントとは、職場において、不機嫌な態度や言動によって相手を不快にさせる行為を指します。具体的には、以下のようなものがあげられます。
 

・不機嫌な表情や態度で対応する
・無視をする、話しかけても返事をしない
・必要以上に厳しい言葉で叱責する
・他の人の前で恥をかかせる
・仕事上の指示を出さない、仕事を与えない
 

不機嫌ハラスメントは、上司から部下に対して行われるケースが多いですが、同僚間や、部下から上司に対して行われる場合もあります。また、不機嫌ハラスメントは、ストレスの多い職場環境や、コミュニケーション不足の職場で起こりやすい傾向があります。

不機嫌ハラスメントをする人の特徴


不機嫌ハラスメントをする人には、ある共通の特徴が見られます。では、不機嫌ハラスメントの加害者に多く見られる共通の特徴とはどんなものがあるのか、見ていきましょう。

自己中心的な性格

不機嫌ハラスメントをする人は、自分の感情や欲求を優先し、他人の気持ちを考えることが苦手な傾向があります。自分の意見や価値観を押し付け、他者の意見を聞こうとしません。また、自分の感情をコントロールできず、怒りや不満を他者にぶつけることで、ストレス発散を図ろうとします。

共感性の欠如

また、他者の感情を理解し、共感することができません。相手の立場に立って考えることができず、自分の言動が相手を傷つけていることに気づきません。また、他者からの指摘や批判を素直に受け止められず、自己防衛的な態度をとることが多いです。

ストレス対処能力の低さ

ストレスへの耐性が低く、適切なストレス対処法を知らないことも特徴のひとつです。仕事上のプレッシャーや人間関係の問題など、ストレスフルな状況に直面すると、不機嫌な態度や言動で周囲に当たってしまいます。また、自分のストレスの原因を自覚できず、解決策を見出せないことが多いです。

権力志向が強い

権力志向が強い傾向もあります。自分が優位な立場にあることを利用して、部下や立場の弱い人に対して威圧的な態度をとります。また、自分の地位や権限を誇示することで、他者を支配しようとする姿勢が見られます。

不機嫌ハラスメントがおよぼす影響


不機嫌ハラスメントは、被害者の心身の健康や仕事のパフォーマンスに深刻な影響を及ぼし、職場全体の生産性や雰囲気を悪化させます。ここでは、不機嫌ハラスメントがもたらす主な影響について詳しく見ていきます。

被害者のメンタルヘルスへの影響

不機嫌ハラスメントを受けた被害者は、ストレスや不安、自己否定感を抱えやすくなります。長期的に被害を受けることで、うつ病や不眠症、心身症などの健康問題を発症するリスクが高まり、仕事のパフォーマンス低下や、場合によっては休職や離職につながる可能性があります。

職場の生産性の低下

不機嫌ハラスメントが蔓延する職場では、コミュニケーションが阻害され、チームワークが損なわれます。被害者だけでなく、周囲の従業員も萎縮し、積極的に意見を述べることができなくなるでしょう。その結果、アイデアや創造性が生まれにくくなり、業務の効率が下がることで、組織全体の生産性が低下してしまいます。

企業イメージの悪化

不機嫌ハラスメントが発生する企業は、社会的信用を失いかねません。特に、SNSなどを通じて被害者の声が拡散されれば企業イメージが大きく傷つくため、優秀な人材の獲得や、顧客との良好な関係構築にも支障をきたす可能性があります。不機嫌ハラスメントを看過することは、企業の存続にも関わる重大なリスクといえるでしょう。

不機嫌ハラスメントを受けた筆者の実体験


実をいうと、私自身も不機嫌ハラスメントをうけた経験があります。それは前職の広告代理店での営業時代。当時は事務処理をしてくれる内勤スタッフがとにかく強く、何かを依頼する際には遠めの位置から機嫌良し悪しを目視確認し、片膝をつきながら労いの言葉とともに過剰に余裕のあるスケジュールで業務の依頼をしていました。
 

もちろん、忙しい時には無視されることなんて当たり前。大きなため息や必要以上に大きいキーボードを打ち込む音に怯えていたものでした。そんな新人時代には、「○○さんの対応が怖くて依頼ができない」という悩みから、すべて自分で抱え込んで残業増加、逆に先輩から注意されるという悪循環に陥ったことも。幸いそこまで気が弱くなかったので2年目以降は「手のひらで転がしてやるわ」という意識で、社内でも営業トークを飛ばし、不機嫌ハラスメントを回避していました。

不機嫌ハラスメントへの対処法


不機嫌ハラスメントの被害者となった場合、上述した筆者の実体験のように上手く立ちまわることを覚えることも方法ですが、他にも対処法はあります。では、具体的にどんな対処法があるのか、見ていきましょう。

直接不快感を伝える

加害者に対して、「あなたの態度や行動は周囲を不快にしています」と直接伝えることが大事です。しかし、伝え方には十分に気をつけましょう。攻撃的な態度をとると、相手をより刺激してしまう可能性があります。

上司や人事担当者に相談する

場合によっては加害者に直接不快感を伝えることが難しいケースもあります。そんな時には、上司や人事担当者に相談しましょう。相談する際には、具体的な様子や、その時の自分の感情を具体的に伝えると、理解を得やすくなるでしょう。

ハラスメントの記録を残す

ハラスメントは、日々の振る舞いの中で起こります。そのため、何がハラスメントだったのかが曖昧になることもあります。相談や報告の際の証拠にもなるため「これはハラスメントだ」と思ったら、すぐにメモするなどして記録を残すことがおすすめです。

不機嫌ハラスメントを予防するために


不機嫌ハラスメントを未然に予防する方法はあるのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。

ハラスメント防止研修の実施

不機嫌ハラスメントを予防するために、管理職と従業員を対象とした定期的なハラスメント防止研修を実施することが重要です。研修では、不機嫌ハラスメントの定義や具体例、周囲に与える影響についても理解を深めましょう。また、ハラスメントを受けた場合や目撃した場合の対処法についても学ぶことが大切です。研修を通じて、従業員一人ひとりがハラスメントに対する意識を高めることで、予防につなげることができるでしょう。

コミュニケーションの活性化

不機嫌ハラスメントを予防するには、職場のコミュニケーションを活性化することが大切です。上司と部下、同僚間で日頃から積極的にコミュニケーションを取り、お互いの理解を深めましょう。定期的な面談や職場での親睦会など、コミュニケーションの機会を増やすことで、信頼関係を構築し、ハラスメントが生まれにくい環境をつくることができます。

ストレスチェックの実施

不機嫌ハラスメントの発生には、ストレスが大きく関わっています。そのため、従業員のストレス状況を定期的にチェックし、早期に対応することが重要です。ストレスチェックの結果、高ストレス状態にある従業員には、上司による個別面談や産業医・カウンセラーによる相談を行ってください。ストレスの原因を把握し、適切なサポートを提供することで、不機嫌ハラスメントの予防につなげましょう。

相談窓口の設置

不機嫌ハラスメントを予防するには、従業員が安心して相談できる窓口を設置することが不可欠です。社内に相談窓口を設け、専門の担当者を配置しましょう。相談内容は厳重に管理し、プライバシーを守ることが重要です。また、相談者が不利益を被ることがないよう、報復行為の禁止を徹底します。相談窓口の存在を従業員に周知し、利用を促進することで、不機嫌ハラスメントの早期発見と予防に努めましょう。

不機嫌ハラスメントから職場を守ろう


不機嫌ハラスメントは、職場において見過ごすことのできない問題です。本記事では、不機嫌ハラスメントの定義や、周囲に与える影響、対処法、予防策などについて解説しました。被害者の方は、一人で問題を抱え込まず、周囲に相談することが大切です。また、管理職の方は、ハラスメント防止のための取り組みを積極的に行い、健全な職場環境の構築に努めましょう。不機嫌ハラスメントのない、働きやすい職場を目指して、一人一人が意識を高めていくことが求められています。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

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