ベンチャー企業とスタートアップ企業の違いとは?メリット・デメリットと向いている人の特徴について紹介
自身のキャリアを考える上で、これらの違いを理解しておいて損はありません。本記事では、ベンチャー企業とスタートアップ企業の定義から、具体的な違いまで、詳しく解説していきます。自分に合ったキャリアパスを見つけるために、ぜひ参考にしてみてください。
ベンチャー企業の定義
新技術や新規事業などの開発を行い、事業化や事業拡大を目指す小規模の企業を指します。具体的には、新しいアイデアや技術を核に、ビジネスの新たな可能性を追求し、商業的な成功を目指す企業です。ベンチャー企業が注目されるようになった背景には、IT産業の急速な成長という社会状況が影響しています。ここ数年で一部のベンチャー企業が急速に成長し、大きな社会的影響を及ぼすケースも見受けられ、ビジネス界において注目を集めています。
スタートアップ企業の定義
ベンチャー企業の一種であり、特に設立から間もない急成長を目指す企業を指します。革新的な技術やビジネスモデルで高い成長性を目指す点ではベンチャー企業と共通していますが、スタートアップ企業以上にスピード感のある経営を行う特徴があります。また、株式公開(IPO)や大企業への売却(EXIT)などの出口戦略を描きながら短期間で事業のスケールアップを目指します。革新的な技術やアイデアで市場を変革し、高い成長潜在力と大きな投資リターンを提供するとして、投資家からも注目を集めています。
スタートアップ企業とベンチャー企業の違い
ベンチャー企業とスタートアップ企業には、いくつか大きな違いがあります。どんな違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
特徴の違い
ベンチャー企業は新しい事業アイデアに基づいて設立された企業のことで、比較的長期的な視点で事業を成長させていくスタイルです。一方でスタートアップ企業は、短期間で急成長を目指す企業で、アイデアを素早く実行に移し、短期間で大きな成果を上げることを目指します。
リスクと成長性の違い
ベンチャー企業とスタートアップ企業はともに高いリスクを伴いますが、短期間での急成長が求められるスタートアップ企業の方が、よりハイリスク・ハイリターンな傾向があります。一方ベンチャー企業は、比較的長期的な視点で事業を成長させていくため、リスクは高いものの、スタートアップ企業ほど極端ではありません。
組織文化と経営スタイルの違い
ベンチャー企業とスタートアップ企業は、ともにフラットで柔軟性の高い組織文化を持っていますが、スタートアップ企業の方が、よりスピード感を重視する傾向があります。スタートアップ企業は、アイデアを素早く実行に移し、短期間で成果を上げることを目指すため、意思決定のスピードが早いです。
求められるスキルと経験の違い
ベンチャー企業では、事業分野に関する専門性や経験が重視される傾向があります。一方でスタートアップ企業では、変化への適応力、スピード感、実行力などが重視されます。また、特定の分野に限定されない広範な知識とスキルをもつジェネラリストが求められるケースが多いです。
キャリア形成の機会と可能性の違い
ベンチャー企業では事業の成長に合わせて、徐々に責任ある役割を目指すことができます。一方でスタートアップ企業では、立ち上げ当初から重要な役割を任される機会が多くあります。少人数で事業を進めるため一人ひとりの裁量が大きく、成長のスピードが早いといえるでしょう。
報酬体系の違い
ベンチャー企業では、安定した報酬を得られる可能性が高いですが、株式報酬などによる大きな利益を得るチャンスは限られています。一方で、スタートアップ企業では、ストックオプションなどで株式報酬を得られるチャンスも。事業の成功によって株式の価値が大きく上昇する可能性があるため、リスクは高いものの、大きなリターンを得られる可能性があります。
キャリアの安定性と将来性の違い
ベンチャー企業では事業の成長に合わせて、長期的なキャリア形成が可能です。事業が安定的に成長していけば、将来的にも安定したキャリアを築くことができます。一方、スタートアップ企業では、事業の成否によってキャリアの安定性が大きく左右されます。事業が失敗に終わるリスクはありますが、成功した場合には短期間で大きなキャリアアップが望めます。
必要とされるマインドセットの違い
ベンチャー企業では専門性を深めながら、着実に事業を成長させていくマインドセットが求められます。一方でスタートアップ企業では、スピード感を持って行動し、変化に柔軟に対応していくマインドセットが求められます。また、スタートアップ企業では失敗を恐れずにチャレンジする姿勢や、自ら問題を発見し、解決策を見出していく姿勢が他の会社以上に重要視されます。
ベンチャー企業で働くメリット
ベンチャー企業で働くメリットは多岐にわたります。具体的にどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
専門性を活かせる
特定の事業分野に特化していることが多いため、自身の専門性を活かして働くことができます。事業の成長に直接貢献できるため、専門性を深めながらキャリアを積むことが可能です。また、専門分野で活躍し、認められることで、自身のモチベーションを高めながら働くことができます。
裁量権が大きい
社員一人一人の裁量権が大きいのが特徴です。自身の判断で業務を進めることができ、意思決定のスピードが速いため、アイデアを素早く実行に移すことができます。また、会社の方向性に自分の意見を反映させやすく、事業の成長に直接的に関与できるやりがいを感じられます。
スキルアップの機会が豊富
少人数で事業を進めるため、一人ひとりの役割が大きくなります。さまざまな業務に携わる機会が多く、幅広いスキルを身につけることができます。また、事業の成長スピードが早いため、短期間で多くの経験を積むことも可能です。
アイデアを実現できる
新しいアイデアを実現する機会が多くあるため、自分のアイデアが事業に反映され、世の中に新しい価値を提供できる可能性があります。アイデアを形にできる環境があるため、イノベーションを生み出すことにつながります。また、自分のアイデアが事業の成功に貢献できたときの達成感は大きいでしょう。
成長企業の一員となれる
高い成長性をもつ企業が多いため、事業が成功し、会社が大きく成長する過程に立ち会うことができます。会社の成長とともに、自身のキャリアも大きく成長させることが可能です。また、ベンチャー企業で培った成功体験は、将来のキャリアにも大きな影響を与えるでしょう。
ベンチャー企業で働くデメリット
一方でベンチャー企業で働くにはデメリットもあります。どんなデメリットがあるのか、見ていきましょう。
事業リスクが高い
ベンチャー企業は新しい事業に挑戦するため、事業の失敗リスクが高いのが特徴です。市場の変化や競合の出現などにより、事業が計画通りに進まない可能性があり、事業が失敗した場合は会社の存続が危ぶまれる状況に陥ることもあり得ます。安定性を求める人には不向きな環境かもしれません。
収入が不安定
ベンチャー企業では事業の立ち上げ段階で十分な収益を上げられないことがあるため、会社の資金繰りが厳しい状況では、安定した収入を得られない可能性もあります。ベンチャー企業で働く場合は、事前に収入面でのリスクを理解しておく必要があります。
ワークライフバランスが崩れやすい
少人数で事業を進めるため、一人ひとりの業務量が多くなる傾向があります。事業の成長スピードを重視するあまり、長時間労働になりやすいため、プライベートな時間が十分に取れず、ワークライフバランスが崩れてしまう可能性があります。
福利厚生が充実していない
限られた資金を事業に投資する必要があり、福利厚生に十分な予算を割けないことがあります。そのため、大企業と比べると福利厚生の内容が劣る場合があります。
キャリアパスが不明確
事業の成長に伴って組織構造が変化していくため、明確なキャリアパスが描きにくい側面があります。ポジションや役割が流動的であり、将来のキャリアプランを立てづらい環境であるため、自己主導でキャリアを切り開いていく必要があります。
スタートアップ企業で働くメリット
スタートアップ企業で働くことにも、さまざまなメリットがあります。どんなメリットがあるのか見ていきましょう。
イノベーションを生み出せる
新しいアイデアを実現する機会が多く、イノベーティブな製品やサービスを生み出すことができます。市場にない新しい価値を提供し、社会に大きなインパクトを与えられる可能性があります。自分のアイデアが形になり、世の中を変える原動力になれるのは、スタートアップ企業ならではの魅力でしょう。
スピード感のある環境
スタートアップ企業では、意思決定やアクションのスピードがとにかく早いのが特徴です。アイデアを素早く実行に移し、市場の反応を見ながら軌道修正していくことが求められるため、自分自身の成長スピードも上がり、短期間で多くのことを学べます。
フラットな組織文化
通常、組織がフラットで上下関係が少ないのが特徴です。自分の意見を直接経営陣に伝えやすく、アイデアが評価されやすい環境があります。また、チーム内のコミュニケーションも活発で、一体感を持って働くことができます。
社会的意義のある仕事
スタートアップ企業の多くは、社会課題の解決を目指して事業を展開しています。自分の仕事が社会に与える影響を実感でき、大きなやりがいにつながります。世の中をより良くするための挑戦に携われることは、スタートアップ企業で働く大きな魅力の一つであるといえます。
スタートアップ企業で働くデメリット
では、デメリットには何があげられるのでしょうか。
事業リスクが極めて高い
スタートアップ企業は、事業の成否が不透明であり、ベンチャー企業よりも高いリスクがあります。特に、革新的なアイデアに基づく事業の場合、市場の反応を予測することが難しく、失敗してしまう可能性が高いです。
個人の責任が重大
少人数で事業を進めるため裁量が大きい一方で、一人ひとりの責任が重大になります。自分の判断や行動が事業の成否に直結する可能性があるため、プレッシャーや心理的な負担が大きくなりやすく、ストレスを感じやすい環境だといえます。
報酬が低い
スタートアップ企業では、株式報酬を重視する傾向があります。ですが事業が失敗した場合、価値がゼロになるリスクがあります。
勤務環境が整っていない
オフィスや設備に十分な投資ができないことがあるため、狭いスペースで多くの従業員が働いていたり、必要な機材が揃っていなかったりと、勤務環境が整っていない場合があります。
経営の不安定さ
経営者の能力や判断力が事業の成否を大きく左右します。経営者が未熟であったり、事業計画が甘かったりすると、会社の存続が危ぶまれる恐れも。経営の不安定さは、従業員の雇用や将来のキャリアにも影響を与えるため、リスクを認識しておく必要があります。
ベンチャー企業に向いている人
ベンチャー企業に向いている人は、どのような人なのでしょうか。
リスクを恐れないチャレンジ精神がある人
新しい事業に挑戦するため、失敗の可能性を恐れずに、チャレンジする姿勢をもつことが求められます。困難な状況でも、粘り強く取り組む力が必要とされるでしょう。
自ら考え行動できる自立心がある人
自分で考え、行動することも求められます。与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら問題を発見し、解決策を見出す能力が必要です。自立心が高く、主体的に動ける人が向いているといえます。
変化を楽しめる適応力がある人
ベンチャー企業は、事業環境が常に変化する中で成長を目指します。そのため、変化を楽しみ、柔軟に適応できる適応力が求められます。新しい状況に素早く対応し、自分自身も変化し続けられる人が活躍できるでしょう。
多様な業務をこなせる柔軟性がある人
人員が限られているため、一人で多くの業務を担当することがあります。そのため、さまざまな業務に柔軟に対応できる柔軟性が必要とされます。自分の専門分野以外の仕事にも積極的に取り組める人が向いています。
周囲と協力できるコミュニケーション能力がある人
周囲と効果的にコミュニケーションを取り、協力して働ける能力が求められます。自分の意見を伝えつつ、他者の意見にも耳を傾けられる人が、ベンチャー企業に向いているといえるでしょう。
スタートアップ企業に向いている人
一方で、スタートアップ企業に向いている人はどんな人なのでしょうか。
新しいことを生み出す創造性がある人
スタートアップ企業では、イノベーションを起こすことが重要です。そのため、新しいアイデアを生み出し、それを具体化する創造性が求められます。既存の枠にとらわれない発想力と、アイデアを形にする実践力を兼ね備えた人が活躍できます。
スピード感をもって行動できる実行力がある人
スピード感をもって行動できるかどうかも重要視されます。また、アイデアを素早く実行に移し、市場の反応を見ながら軌道修正していく実行力も必要です。行動に移すことを躊躇しない、行動志向の高い人が向いているといえます。
常に学び成長する向上心がある人
未知の領域に挑戦することが多いため、常に学び成長する姿勢が重要です。新しい知識やスキルを吸収し、自分自身を高めていく向上心が求められます。失敗を恐れず、経験から学ぶ姿勢をもつ人が成長できるでしょう。
多様性を受け入れる柔軟性がある人
スタートアップ企業では、さまざまなバックグラウンドをもつ人が集まります。そのため、多様な価値観や意見を受け入れ、柔軟に対応できる適応力が求められます。固定観念にとらわれず、異なる視点を取り入れられる人が活躍できます。
目的意識を持って働ける自律性
自分の仕事が会社の成長に直結するため、高い目的意識を持って働くことが重要です。そのため、自律性を持ち、自分の役割と責任を理解して行動できる人が求められます。会社の目標に向かって、自ら考え行動できる人が向いているでしょう。
自分に合う成長軌道を見つけよう
ベンチャー企業とスタートアップ企業は、ともに革新的なアイデアや技術を基に、高い成長性を目指す企業ですが、いくつかの重要な違いがあります。自身のキャリアを考える際には、本記事で紹介した両者の違いを理解した上で、自分の適性やキャリア目標に合った企業を選ぶことが重要です。ベンチャー企業で長期的な成長を目指すのか、スタートアップ企業で短期間の急成長を目指すのか、自分に合ったキャリアパスを選択しましょう。
【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
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