いつまでも自分探しをしている暇はない。一生「モラトリアム」時代に、幸せをつかむヒント
けれどそんなとき、安易に「自分探し」に頼ってしまうのは危険だと感じます。今回は、「自分って何なのだろう?」と不安に感じたとき、どのように考えて対処することで、より幸福度の高い生き方を実現できるか解説します。就活生や転職活動中の方はもちろん、現状の仕事や生活に悩んでいる方の参考になれば幸いです!
自分は「探す」のではなく「掘り下げる」
「自分探し」は決して昨今に始まったものではなく、バブルが弾けて経済が低迷した平成初期には定着した言葉です。「自分探しの旅」ブームが起きたこともありました。そしてコロナ禍を通して近年もまた、自分の存在に悩み、自分を探そうとする風潮が来ているように感じます。ですが安易な「自分探し」は、「本来の”自分”はどこかに存在していて”探す”対象である」といった表現で違和感を覚えます。
「自分」は探し出す対象ではありません。「本来の自分はこんな人間なんだ」と認識し、満足してしまっては成長はできないのです。重要なのは、自分の内面を掘り下げることです。決して理想ばかりに目を向けるのではなく、自分は下記の5つのポイントでどんな特徴を持っているかを、これまでの経験からとことん考えましょう。
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・いろいろな物事に対してどんな価値観で判断するのか
・他者とのコミュニケーションで重視するものは何か
・得意・不得意なジャンルや領域はどんなものか
・1年後、5年後、10年後、どんな状況でありたいか
・さまざまな価値観の中でもっとも自分が大切にするものは何か
これらはいずれも、自分や周囲との関係を注意深く観察していないと洗い出せないことです。つまり、自分とは探すものではなく、つぶさに観察し、分析し、掘り下げていくものなのです。自分を構成する要素として上記の5点を理解することで、就活や転職の際にも確かな軸を持って行動できるでしょう。
大切なことは、自身のアップデート
「モラトリアム」とは人格の形成において、20歳前後の頃に、責任感のある大人として自己を確立させるために思い悩んだり思索したりする「猶予期間」の意味で使われる言葉です。このようにもともとは若年層特有の期間とされていましたが、今は社会人になってからも多くの判断や成長を求められる場面が増えました。「大手の会社に入れば一生安泰」や「適齢期に結婚すれば幸せになれる」のような強い価値観が崩れ、先がわからない時代になったことも大きく影響しているでしょう。そのため、人生は常に思い悩みながら選択をしていく「一生モラトリアム」であると言われることもあります。
最近は、「クオーターライフ・クライシス」(20代後半から30代前半にかけて幸福度が著しく下がること:出典 日本経済新聞)などの状況も注目されています。選択肢が多様になったことや、SNSなどを通じて他者の成功や幸福な人生に触れることが増え、「自分はこのままでよいのだろうか」と思い悩む機会も増えました。特に自分がうまくいっていないときは、「本当の自分はこんな人間ではないんじゃないか」と現実逃避したくなることもあるでしょう。実際、筆者もちょうどこの年齢層にあたり、仕事のキャリア形成はもちろん、結婚するか、どのように生活するか、周囲の友人たちの変化も相まって、ここ数年は多くのことに悩みました。
そんなときには、上述のポイントに立ち戻り、自分の価値観やビジョンをアップデートしていくことが一番の対処法になるでしょう。社会で一般的に規定されている「幸せ」や「成功」の価値観に縛られるのではなく、自分を深く分析して理解し自分の特性似合った生き方やキャリア形成を選択することで、人は本当に充実した生活を得られると筆者は考えています。
躓きは成長のチャンス。感受性豊かに満足度の高い人生を送る
複雑に変化していく現代ではさまざまな局面で自分の人生や価値観に悩んだり躓いたりすることが多いかと思います。ですがそれは当たり前のこと。むしろ自分を見直しアップデートするチャンスだと思って前向きに悩み、考え、よりよい方向性を再設定しましょう。
そのときに大切なのは、いつでも感受性を豊かに保っておくこと。仕事のしかた、生活様式、価値観など、さまざまな選択肢が日々増えて、多様化しています。これまでの経験や考えに固執するのではなく、それらをフラットに受け止めましょう。そのうえで、今の自分にはどんな選択が最適なのか、どう行動すれば満足度が高まるのか、より充実した人生を作っていけるのか考えることが重要です。
「人生に安泰はない!」と考えるとゴールはないのか……!と不安になってしまいますが、これからの時代では変化を受け入れ、自分をアップデートしていくほうが楽しく生きていけるでしょう。周囲からの刺激もたくさん受け入れながら、流されずに自分が向かうべき方向を見定める。本記事で紹介したポイントを実践しながら、仕事だけでなく、人生のさまざまな局面で成長していきましょう!
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。2024年の目標は海釣りに挑戦することです。
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