コラム

休職中はどう過ごす?万全の状態で、次のステップへ進むポイント

心身ともに疲弊して休職することになった際、しばらくの間仕事から離れてほっとしますよね。でも、突然のお休みに、どうやって過ごせばよいのか迷ってしまう人も多いかもしれません。
 
筆者も前職では3ヶ月の休職期間を取得しました。社会人になってから初めての長期休暇だったので時間を持て余し、仕事をしていない罪悪感に苛まれることもありました。
ですが無理に復帰して、また倒れてしまっては本末転倒。「充分な療養を経て次はもっとよいステップへと踏み出すぞ!」という意気込みで休み方を考えていました。
 
このコラムでは、筆者の経験を元に休職中の有意義な過ごし方を紹介します。「休職中だけどいまいち心が休まらない」と感じている方や、「このままでは同じことの繰り返し担ってしまうのでは」と悩んでいる方にとって、この先の指針となれば幸いです!
 
なお、休職時の傷病手当金については、下記の記事をぜひ参考にしてください。
休職のときに給付される「傷病手当金」の仕組みとトラブルを減らす申請方法
 

【休職初期】休むことに徹する


いざ休職期間に入ると、ほっとすると同時に戸惑いを覚える人も多いかと思います。仕事の引き継ぎがある程度落ち着いてから休職に入った人もいれば、急を要して休職に入った人もいるでしょう。気になるのは、「自分が休んでしまって、職場の人に迷惑をかけていないかな……」という点だと思います。
 
ですが、そういったことを考える必要はありません。なぜなら休職は医師からの意見も踏まえた判断であり、それほど重大な自体ということです。つまり、それほど疲弊してしまった自分は仕事で決して十全な能力を発揮することはできません。なので、休職が決まった時点で、無理をして引き継ぎやその後のフォローの対応をしようとするのはあまり意味がないことなのです。
 
それでも、仕事のことは頭の隅にチラついてしまうはずです。ですが、そこは割り切って仕事に関するツールは通知をオフして見ないようにしましょう。会社側が認めて定めた休職期間です。その間に仕事をすることは会社側のマネジメントとしても問題となりますし、自分自身のためにもなりません。仕事から離れて休養に専念することが重要です。
 
休職に入ってすぐはとても疲弊していると思います。筆者の場合、眠気が止まらず、1日のほとんどの時間、眠っていました。本来であれば適度な運動や生活リズムを整えることは重要ですが、休職初期はまだそのようなことができる状態ではありません。ずっと横になっていたり、眠っていたりする自分に罪悪感を覚えることなく、じっと休みましょう。ただし、休職の判断をした主治医の診療は定期的に受けましょう。傷病手当金の申請にも関係しますし、何より休職中の過ごし方について多くのアドバイスをもらえるはずです。
 

【休職中期】無理のない範囲で外出する


筆者の場合、上記の「ひたすら休む」期間が約1ヶ月程度続きました。そうするとだんだん仕事を休んでいる罪悪感も薄れ、周囲の出来事に興味を持つ余裕も出てきました。これが、休職期間の中盤だったと筆者は考えています。
 
少しずつ興味や意欲がわきはじめたら、無理のない範囲で行動してみましょう。筆者は、趣味だった料理を再開したり、少しずつ友人たちと会うようになりました。ただ、まだ体力も気力も充分に回復している状態ではなかったので、労力を伴う外出は週に1、2回程度と決めて、スケジュールを組んでいました。
 
人によっては、この状態になってやっと、傷病手当金等の申請ができるようになるかもしれません。それでも「遅れてしまった……」という罪悪感は持たず、着実に手続きを進めることができれば充分です。
 
なお筆者は、この中期の状況になったと判断する目安として「感受性が働くようになった」という感覚を意識していました。たとえば、疲れることなく1冊の小説を読み終えることができるようになったり、好きなアーティストのライブに行きたいと感じ、現地で感動して楽しむことができるようになったり、といった段階まで回復するということです。そうすると、次第に、外へ出ることで運動量も増え、だんだん生活リズムも整ってくると思います。
 
ただ、この期間はとにかく無理はしないようにしましょう。ここで「もう休職しなくても大丈夫!」「もっと行動できる!」と思ってしまうと、また疲弊して逆戻りになってしまいます。筆者の感覚では、この休職中期の期間が一番、休息と行動のバランスを取ることが難しかった時期だと思っています。くれぐれも無理はせず、少しずつ外出やコミュニケーションの機会を増やして、自分なりの「これができるようになった」という小さな達成感を積み上げていく期間としましょう。
 

【休職後期】次のステップを考える

休職初期、中期を過ごしていくと、だんだんと仕事や今後のことを考える余裕も生まれてくるかと思います。ここで重要なことは、「同じことを繰り返さないためにはどうするか」を軸にして考えることです。職場に復帰するなら、また疲弊して休職してしまわないようにするためにどのような働き方をすればよいかを考えるべきでしょう。あるいは、部署異動や転職を視野に入れることもできます。筆者はこの段階で「次のステップを踏み出すなら転職をしたい」と判断しました。
 
この段階では、会社側とのコミュニケーションも必要となってきます。自分は今後についてどのように考えているかきちんと伝え、会社側の意見と自分の意見の擦り合わせを行いましょう。ただ、これらのコミュニケーションにはかなりのエネルギーを使います。ここで充分な判断力が伴っていないと、会社側から「もう復帰できるよね?」と言われてそれを飲み込んでしまったり、自分に合う働き方を実現できなかったりして、同じことの繰り返しになってしまいます。そのため、冷静に自分の今後を考える事ができるようになるまでは早まった復職はしないようにしましょう。
 
このとき重要になるのは、やはり主治医の客観的な意見です。自分の状況を伝え、次の段階に進んでもよい状態か助言をもらいましょう。また、「こんな仕事の仕方ができたら自分はもっと楽しく過ごせるだろうな」という具体的なイメージができるようになると、今後についての意欲も充分に固まってくると思います。
 
主治医や自分の状況、あるいは会社の判断によって、休職期間が延長されることもあると思います。その際は、罪悪感に苛まれることなく、自分にはまだ休息が必要なことを受け入れてゆっくりと休みましょう。
 

復帰後のイメージがわくまで、無理は禁物


ここまで、休職期間の過ごし方を3段階に分けて解説してきました。筆者の場合、休職初期期間が1ヶ月、休職中期5週間程度、休職後期が3週間程度くらいだったかな、と今から考えれば思います。ただ、これはあくまで目安であり、割と順調に休職期間を過ごしてきたケースだと思います。
 
人によっては、それぞれのステップにもっと時間がかかる場合もありますし、医療的・福祉的支援が必要となってくるケースもあるでしょう。期間は人それぞれ違うので決して焦ることなく、「この休みのあと、どういった形で社会復帰するのが最善なのか」と自分がしっかりイメージできるようになるまでは、休息と回復に努めましょう
 
休職期間は、言い換えれば人生の転機。今後自分がよりステップアップし、心身安定して働くことができるきっかけでもあります。筆者もまとまった休みをもらえたことで、本当に自分がしたいこと、仕事を通してどのようなことを実現したいか整理することができました。
 
休職中、モヤモヤしたまま過ごし、なんとなく復帰するとまた同じことを繰り返す恐れがあります。再び休職する事態に陥らないよう、自分は今どの段階にいるか考え、必要な支援を利用してください!

 
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。2024年の目標は海釣りに挑戦することです。
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