クリティカルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いや実践するメリット、役立つフレームワークを紹介
クリティカルシンキングとは?
物事を批判的に検討することで、課題や問題点を把握し、その本質を理解するための思考法です。批判的思考ともいわれますが、単に欠点を指摘することではありません。健全な批判精神を持ち、感情に流されず、客観的に物事を判断することが求められます。
注目されている背景
クリティカルシンキングが注目を集めている理由は、価値観の多様化とビジネススピードの飛躍的な向上にあります。市場が急速に変化し、最適な解決策を見つけることがますます難しくなっている昨今。これまでの仕事の進め方や習慣が通用しない時代に「この方法は正しいのか」「今のアプローチで成果につながるのか」を常に考え続けることが重要になっているのです。
ロジカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングとよく似た思考法で「ロジカルシンキング」があります。ロジカルシンキングは課題を直感で捉えるのではなく、物事を体系的に整理し、論理的に筋道を立てて考える思考法です。ロジカルシンキングを身につけると、情報共有の際に正確で明確なコミュニケーションが可能になったり、筋道を立てた説明ができるという効果があります。しかし、クリティカルシンキングとは違い、対象を批判的に見ることは含まれていないため、検討対象自体が間違っている場合に誤った結論を導く可能性が高いです。そのため、クリティカルシンキングと組み合わせて使用することが推奨されています。
クリティカルシンキングを実践するメリット
ビジネスの場でクリティカルシンキングを実践することには多くのメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
問題解決能力の向上
クリティカルシンキングを実践することで、複雑な問題に対しても効果的な解決策を見つけやすくなります。論理的な思考プロセスを通じて、問題の核心を見極め、解決策を導く力を養えるでしょう。結果として、迅速かつ効率的に問題を解決する能力を向上することができます。
パフォーマンスの向上
クリティカルシンキングは、ビジネスパーソンのパフォーマンスを向上させます。論理的な思考をもつことで、情報の整理と分析が迅速に行え、効果的な戦略を立てることが可能です。また、業務効率も上がるため、より高い成果を達成することができます。
チームワークの強化
クリティカルシンキングを共有することで、チーム全体のコミュニケーションが向上し、協力して問題解決に取り組むことができます。各メンバーが自己の意見を論理的に説明し合うことで、建設的な議論が生まれ、より良い意思決定ができる環境を整えられるでしょう。
リスク管理能力の向上
クリティカルシンキングはリスクを評価し、管理する能力をも高めます。論理的な思考を通じて潜在的なリスクを予測し、適切な対応策を事前に準備することが可能です。そのため、ビジネスにおけるリスクを最小限に抑え、安定した運営ができるようになります。
イノベーションの促進
クリティカルシンキングを実践することで、新しいアイデアや解決策を見つける力も養われます。論理的に考えることで従来の枠にとらわれない斬新な発想を生み出しやすくなり、結果としてビジネスのイノベーションを促すでしょう。新しい市場機会を発見し、競争力の持続も実現できます。
クリティカルシンキングを実践するポイント
クリティカルシンキングの実践にはいくつかポイントがあります。詳しく見ていきましょう。
明確な問題設定を行う
はじめに、解決すべき問題を明確にすることが重要です。問題が漠然としていると、適切な対策を講じることが難しくなります。具体的な課題や制約条件を明確にすることで、問題解決の糸口が見えてくるでしょう。定義が不明確な場合は、多角的な視点から再考察することが必要です。
情報収集と分析を徹底する
問題解決に必要な情報を徹底的に収集することも大切です。信頼性の高い情報源からデータを集め、データを多角的に分析しましょう。統計データや過去の事例、専門家の意見などを駆使して、論理的な根拠をもつ結論を導くことが求められます。
バイアスを取り除く
人間は無意識のうちにバイアスをもちがちです。例えば、自分の経験や知識に基づいた判断に固執することが多くあります。しかし、バイアスが入り込むと正確な判断ができなくなるため、あらゆる視点から情報を検討し、自らの思考の癖や固定観念を排除することが重要です。
複数の解決策を検討する
ひとつの解決策に固執せず、複数のアプローチを検討することも欠かせません。異なるシナリオや仮説を立て、それぞれのメリットとデメリットを評価しましょう。多様な意見を取り入れることで、より洗練された解決策を見つけることができます。
フィードバックを受け入れる
フィードバックを受け入れる姿勢も持ちましょう。他人の視点からの指摘やアドバイスは、自分では気づけなかった新しい視点を提供してくれることがあります。そのため、フィードバックを素直に受け入れ、改善につなげることで、クリティカルシンキングをさらに深化させることができるでしょう。
クリティカルシンキングに役立つフレームワーク
クリティカルシンキングを実践する際に、いくつか役立つフレームワークがあります。どんなフレームワークがあるのか、見ていきましょう。
SWOT分析
現状を分析し、より良い戦略を立てるための基本的なフレームワークで、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の略です。4つの要素を網羅的に整理することで、自分たちのポジションや潜在的なリスクを明確にできます。ビジネスだけでなく、個人のキャリアプランニングにも有効的です。
フィッシュボーンダイアグラム
「特性要因図」とも呼ばれ、問題の根本原因を視覚的に整理するためのツールです。問題を「魚の頭」に置き、原因を「骨」に見立てて分類していきます。フィッシュボーンダイアグラムを使うことで複数の原因を一目で理解できるようになるため、問題解決に向けた具体的なアクションプランを立てることが可能です。
5Whys(なぜなぜ分析)
問題の根本原因を追究するための簡便なフレームワークです。問題が発生した際に、「なぜ?」を5回問い続けることで、表面的な対策だけでなく、真の原因にたどり着くことができます。5Whysは特に、繰り返される問題や複雑な課題に対処する際に有効です。
ピラミッドストラクチャー
情報を論理的に整理し、明確に伝えるためのフレームワークです。「結論→理由→具体例」の順序で情報を階層化することで、伝えたいポイントを一貫性を持って伝えることができます。特にビジネスプレゼンテーションやレポート作成において効果的です。
バリューチェーン分析
企業内の活動を一連の「価値を創造するプロセス」として捉え、効率性や効果を分析するためのフレームワークです。各プロセスがどのように価値を生み出しているかを理解することで、コスト削減や競争優位性の強化につなげることができます。
クリティカルシンキングで持続的な成長を実現しよう
さまざまな角度からの批判的思考をもって課題解決を目指すクリティカルシンキングは、ビジネスが高速化する現代において欠かせないものです。日々変化し、複雑さを増すビジネス環境において、同じ方法を続けるだけでは通用しません。時代に取り残されないためにも、クリティカルシンキングを活用し、常にアップデートを心がけることが重要です。クリティカルシンキングを活用することで、持続的な成長と成功を実現しましょう。
【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
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