コラム

人間関係リセット症候群と仕事〜後悔しないリセット方法とコミュニティ

つい先日、メディアが取り上げたことで話題になったキーワード「人間関係リセット症候群」。SNSなどで目にした人も多いのではないでしょうか。人間関係リセット症候群とは、自分の電話番号、LINEアカウントなどの連絡手段をあるとき突然すべて消すなどして、文字通り人間関係をリセットする行為を指します。

また、1回だけではなく、何度も繰り返すことが多いことも特徴のひとつです。衝動的でデメリットも多い行為のように思えますが、その一方で、テレ東プラスが行ったアンケートによると、約7割の人が「人間関係のリセットは必要だと思う」と回答した結果も出ています。(出典:テレ東プラス
 
筆者自身も、このような感覚を覚えたことはあります。筆者が学生の頃はLINEというよりもメールアドレスがメインの連絡手段でしたが、頻繁にメールアドレスを変えたり、mixiなどのアカウントを突然消してしまったり……。今から考えると、自分の性格が幼稚だったなと、後悔するようなリセットもあります。

ですが、筆者自身、転職を経験したことで、「人間関係のリセット」について深く考えるきっかけになりました。そして、人間関係のリセットは必要な時もあるし、そのリセット方法を工夫することで、より柔軟で豊かな人間関係を築けるのではないか、と思うようになりました。そこでこのコラムでは、仕事と人間関係リセット症候群、仕事に関わらず、生きていく上でストレスの少ない人間関係を築いていくコツを紹介したいと思います。

職場や環境によっては人間関係のリセットは決して悪いことではない


たとえば、現職の雰囲気が著しく悪い、ハラスメントが行われているような状況であれば、こんな職場からはいち早く脱出したい!こんな人たちとはもう関わりたくない!という状況であれば、人間関係のリセットは待ったなしでしょう。そのような職場では、退職の申し出をしたらさらに面倒なことになる……ということもあるかもしれません。そういったときには、思い切って退職代行サービスを利用するのも手でしょう。退職を禁止することは、本来、企業側にはできません。社内で改善を目指して相談する余裕もない場合は、退職、転職をすぐに選ぶことは、自分の人生のリスクを減らすことにもつながります。
 
筆者の場合、そこまで最悪のパターンではありませんでしたが、今後、この会社の人たちとつながっている必要はあるのだろうか?とはだいぶ考えました。そしてその結果、ごく一部の人を除いて、今後コミュニケーションを取りたくはないな、と思いました。その理由は、何よりも、「職場はあくまで仕事の場であって、友達を作りにきているからではないから」でした。もちろん、実際に趣味の雑談をしたり、一緒に飲みに行って楽しい時間を過ごした人たちもたくさんいます。

けれど、筆者の中ではその人たちは「友達」というカテゴリに入るかというと微妙でしたし、この人たちと公私混同で長く付き合っても、成長やより楽しい経験にはつながらないな、と感じました。それで、退職時の挨拶も最低限でシンプルなものとし、以来、ほとんどの人とは連絡を取っていません。「新しい職場の状況も教えてね」「落ち着いたらまた飲みに行こうね」は社交辞令だと思って特に対応していません!(笑)このように、劣悪な職場からの脱出や、「この人たちと関わっていても成長や楽しさは無いだろうな」と思った際の退職・転職に際する人間関係のリセットは決してネガティブなものではないと思います。

後悔しない人間関係のリセット方法は「選択的リセット」

けれどやはり、自分の身の回りの人たちすべての人間関係のリセットはややリスクが高い行為だとは筆者も思います。ではどんなリセット方法ならよいのか?筆者はそれは「選択的リセット」だと思っています。先ほど筆者の退職における人間関係のリセットのことを書きましたが、その中で「ごく一部の人を除いて」と言いました。その人たちとは仕事を越えてよい関係を築けましたし、これからもつながっていたいと感じたためです。これはつまり、「この人たちとの関係はリセットしない」という選択を行ったということになります。
 
この際のポイントは、「他の人たちとは、もう関わるつもりは無いのだけれど……」と正直に伝えておくことです。関係を続けるのか、もう切るのか、曖昧にしていると、トラブルが起きてストレスになりかねません。選択して、部分的にリセットをするなら、リセットはきっちりと!というのは気をつけてください。衝動的に全てを切ってしまうのではなく、一度選択してみる。選択と言うと偉そうな言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、あくまで人生の主体は自分であり、人間関係は、自分が主体的に選択できる度合いの高いものだと筆者は考えています
 
もちろん一旦考えてみて、やっぱりこの人たちとはもう付き合いたくない!と思ったら、全部リセットしてしまいましょう!重要なのは、自分のストレス軽減や人生の充実のために、自分が「選択」する、という行為を取ることです。自分には選ぶ権利がある、選ぶことで、よりよい環境を作っていける、という経験をすることは重要なことだと思います。

複数のコミュニティに軽い気持ちで所属しよう


最後に人間関係リセット症候群のデメリットのひとつの緩和方法として、筆者が心がけていることを紹介したいと思います。それは、たくさんのコミュニティ(≒人間関係)に軽く参加することです。コミュニティには、仕事上の人間関係だけではなく、さまざまな趣味の友達や、学生の頃からの友達、習い事などで知り合いになった人たち、などなど様々な種類があると思います。そこにはもちろん、ネット上だけのコミュニティもあってよいと思います。
 
居心地のよいと思うコミュニティには気軽な気持ちで参加してみることをおすすめします。よく「人間は依存先が多いほうが心が安定する」と言いますが、たくさんのコミュニティに参加するのは、これに近いと思います。ここで重要なのは、それぞれのコミュニティへの関わりの濃淡はあくまでその時々で変えること。すべてに全力で関わる必要はないですし、このコミュニティは合わないなと思ったら、そこでの関係はリセットしてもよいかと思います。ひとつのコミュニティの関係をリセットしても、他のコミュニティがあれば後悔や孤独感は軽減されるはずです。
 
また、リセットまでしなくても、しばらくはそのコミュニティとは距離を置く、また興味が出てきたら関わる、というような一時的なログアウトもよいでしょう。たとえるなら、「リセット」ではなく「スリープ状態」ですね。できればリセットではなく、スリープ状態のほうが、また顔を出したくなったときに便利だと思います。人間関係はいつでも同じ密度で続くものではありません。薄くなったり濃くなったりしながら続いたり、場合によっては途切れることもあります。
 
先ほども「選択」という言葉を使いましたが、自分の人生が豊かになり、楽しいことが増えそうなコミュニティを選択することが重要です。そしてコミュニティから抜けたり、入っていたり、関わりの濃淡を自分の気持ちに合わせて変えることを怖がらないこと。むしろ、閉塞感のあるコミュニティやガッチリといつもつながっていないといけないコミュニティはストレスの原因となることも多いので、見限ってしまってもよいくらいです。怖がらずに色々なコミュニティに関わっていくことで、だんだんと自分にとってちょうどよく、心地よい環境ができてくると思います。
 
先程も言った通り、自分の人生は自分のものです。衝動的に全ての人間関係をリセットしたいとき、本当に自分にとってベストなのは全リセットなのか、それともスリープ状態なのか、一旦考えてみて、選択することはとても大切なことだと思います。

人間関係をリセットするか悩んでいる人や、人間関係の閉塞関係に悩んでいる人の参考に少しでもなりましたら幸いです!ほどよく緩く人と近づいたり離れたりしながら、楽しく過ごして行きましょう!

 
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。最近魚の三枚おろしができるようになりました!
 
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