コラム

社内イベントはいらないのか?問題点や見直すポイント、効果的な代替策について解説

コロナ禍を経て、多くの企業で社内イベントの在り方が見直されています。これまで社員同士の交流を深め、モチベーションを高めるために実施されてきた社内イベントですが、「参加するのが苦痛だ」という声や、「本当に必要なのか?」という疑問の声もあがるようになってきました。そこで本記事では、社内イベントの実施によるメリットと問題点、イベントを見直すためのポイントや効果的な代替策について紹介していきます。社内イベントの必要性について改めて考え直したい方は、ぜひ参考にしてください。

嫌だと思われている社内イベント


まずはどんなイベントが社員に嫌だと思われてしまっているのか、見ていきましょう。

社員旅行

強制参加となることが多く、自由時間が少ないことや、参加費用の個人負担が発生することから、嫌がる社員も少なくありません。また、休日に実施されることが多いため、プライベートな時間を割くことに抵抗を感じる社員もいるようです。

新年会・忘年会

新年会・忘年会も参加が強制されることが多く、長時間の飲酒を強いられることや、上司との会話に気を遣う必要があることから、負担に感じる社員が多いです。また、参加費用は多くの場合、個人負担になるため、経済的な負担も発生します。

スポーツ大会

運動が苦手な社員にとっては苦痛でしかありません。怪我のリスクもあり、強制参加となることが多いことから、嫌がる社員も少なくありません。

業務終了後の飲み会

同期や気心のしれた社員との飲み会なら楽しめると思います。しかし、上司から誘われた場合、飲みの席で永遠と武勇伝を語られたり、叱責をされるリスクがあります。新年会・忘年会と同様に長時間の飲酒を強いられることや、上司との会話に気を遣う必要があることから、負担に感じる社員が多いです。また、参加費用の個人負担がある場合もあります。

ボランティア活動

「社会貢献」という大義名分を掲げ、強制参加となることが多く、休日を割くことへの抵抗感から嫌がる社員も少なくありません。活動内容によっては通常業務以上の労働になるケースもあり、体力的な負担も伴います。

お花見・バーベキュー

若手社員であれば早朝から場所取りを命じられる恐れも。昼間から上司にお酌をしたり、ドンちゃん騒ぎをすることに抵抗を感じる人も多いようです。また休日を使ってお花見をする会社も多く、残業代もでないことから「できれば参加したくない」と考える若手も。突然の天候悪化や花粉の脅威に晒されることもあるので、中には「お花見をするなら、屋内でゆっくり飲みたい」という人もいます。

社内イベントが抱える問題点


本来であれば社員のためのイベントであるにも関わらず、嫌がられてしまっているということは、何か問題点を抱えている場合があります。では、具体的にどんな問題や課題があるのか、見ていきましょう。

強制参加

社員の意向を無視して、一律に参加を強制することは、社員のモチベーション低下や不満の原因となります。個人のプライバシーや自由な時間を尊重せず、業務外の活動を強いることは適切ではないといえるでしょう。

費用負担

社内イベントの費用を社員に負担させることは、経済的な負担となります。特に、若手社員は先輩社員よりも給与が低いため、参加費用が大きな負担となる場合があります。会社側が費用を負担するか、参加費用を低く抑えるなどの配慮が必要です。

業務への支障

社内イベントが業務時間内に行われる場合、業務に支障をきたす可能性があります。特に、締切が近いプロジェクトがある場合などは、イベント参加により業務が滞る恐れがあります。

多様性への配慮

社員の年齢、性別、家族構成、宗教、嗜好などは多様です。イベントの内容が特定の社員層に偏っていたり、社員の多様性に配慮していない場合、一部の社員にとって参加しづらい雰囲気になってしまいます。

ハラスメントのリスクの問題

飲酒を伴う懇親会などでは、アルコールの影響でハラスメント行為が発生するリスクがあります。特に、上司と部下の関係では、強制的な飲酒や不適切な言動が問題となる場合があります。

実際に大変だった忘年会の企画・運営


筆者自身も、新卒時代には同期と共にさまざまな社内イベントの企画と運営を任されたものです。特に大変だったのは、年末に開かれる忘年会。「とにかく盛大に開くべし」という会社の方針もあり、忘年会とはいえ手を抜くことができなかったからです。年末が近づくと催し物の準備や練習などで、残業の日々でした。忘年会当日も一次会を無事に終えられたと思ったら、三次会まで強制参加。合いの手しか許されないカラオケへ連行されました。今思い返しても全然楽しくなかった記憶しかありません。

社内イベントを行うことで得られるメリット


一方で、社内イベントを行うメリットもあります。詳しく見ていきましょう。

コミュニケーションの活性化

社内イベントは、普段はあまり接する機会のない社員同士が交流できる貴重な機会。イベントを通じてコミュニケーションが活性化するので、情報共有や意見交換がスムーズになります。部署間の連携が強化され、業務の効率化にもつながるでしょう。また、コミュニケーションが良好な職場環境は、社員のストレス軽減や働きやすさにもつながります。

モチベーションの向上

日常業務から離れることで、リフレッシュにもなります。イベントを通じて互いに仕事以外の側面でも互いを知ることができ、一緒に仕事に取り組むモチベーションを高めることができます。また、イベントで互いの頑張りを認め合うことで、社員の士気を高めることができます。

一体感の醸成

社内イベントは、会社の価値観や目標を社員と共有する場となります。イベントを通じて、社員は会社の一員としての意識を高め、組織への帰属意識が強まります。また、社員一丸となってイベントに取り組むことで、一体感が醸成されます。その結果、困難な状況にも助け合いながら立ち向かえます。

社内イベントを見直すためのポイント


社内イベントへの参加を嫌がる社員がいる一方で、開催のメリットもあるため社内イベントを完全に廃止する必要はありません。どちらかといえば、社内イベントがより効果的なものになるように、見直すことが大切になります。では、具体的にどんなポイントに気をつけて見直すべきなのでしょうか。

イベントの目的を再確認する

社内イベントを見直すためには、まずイベントの目的を再確認することが大切です。「社員同士の交流を深める」「モチベーションを高める」など、イベントの開催目的を明確に定義し、関係者で共有しましょう。目的が曖昧なままイベントを実施しても、効果は期待できません。イベントの目的を常に意識し、それに沿った内容や方法を検討することが重要です。また、目的に合わなくなったイベントは思い切って見直すことも必要でしょう。

社員のニーズを適切に把握する

効果的な社内イベントを実施するには、社員のニーズを適切に把握することが欠かせません。アンケートやインタビューを通じて、社員がイベントに何を求めているのかを詳しく調査します。「もっと気軽に参加できるイベントがいい」「他部署との交流の場が欲しい」など、社員の生の声をイベント内容に反映させることが肝心です。社員のニーズを無視したイベントは、参加率の低下や不満の増大を招くため、定期的にニーズ調査を行い、社員の意見を取り入れながらイベントを改善していくことが大切です。

イベントの頻度や規模を最適化する

社内イベントの頻度や規模も、見直しのポイントになります。「月1回の開催が負担」という声があれば、隔月開催に変更するなど、柔軟に対応することが求められます。予算や人員に限りがある中で、効果的なイベントを実施するには、適切な規模感を見極めることが重要です。
 

大規模なイベントを少数精鋭で行うのか、小規模なイベントを数多く実施するのか、自社の状況に合った方法を選択しましょう。イベントの頻度や規模は固定的に考えるのではなく、社員のニーズや会社の方針に応じて最適化することが重要です。

社内イベントに代わる効果的な施策


最近では、飲み会などの社内イベントに代わる施策として、さまざまな代替策が実施されています。具体的には以下のような代替策が実施されています。

社内SNSの活用

社内SNSを導入し、日常的な社員同士のコミュニケーションを活性化させる取り組みです。業務に関する情報共有はもちろん、プライベートな話題で盛り上がることで、社員同士の距離を縮めることができます。社内SNSは、場所や時間に制約されずに利用できるため、リモートワークが増えた今の時代にマッチした施策ともいえるでしょう。

部署間交流の推進

異なる部署の社員が交流する機会を意図的に設けます。合同プロジェクトや部署対抗イベントなどを通じて、普段接点の少ない社員同士が協力し合う環境をつくるのが良いでしょう。部署間の壁を越えた交流は、新たなアイデアの創出や業務の効率化にもつながります。また、他部署の業務内容を知ることで、自身の仕事への理解も深められるため、部署間交流を推進することは、組織全体の一体感を高める上でも効果的な施策です。

社内表彰制度の充実

社員のモチベーション向上に効果的なのが、社内表彰制度です。業績や貢献度に応じてポイントを付与し、一定のポイントが溜まったら表彰するなどの仕組みを整えます。社内表彰制度を設ける場合は、表彰の基準を明確にし、公平性を保つことが重要です。また、表彰者を社内報などで紹介するなど、成果を可視化することで、社員の士気向上につなげましょう。金銭的な報酬だけでなく、特別休暇など、魅力的な特典を用意することも効果的です。

オンライン飲み会の開催

コロナ禍をきっかけに広まったオンライン飲み会は、社員同士の交流を深める新たな手段として注目されています。オフィスに集まらずとも、オンラインで気軽に参加できるため、時間的・空間的な制約を受けにくいのが利点です。飲み会の内容も工夫次第で、クイズ大会や持ち寄りパーティーなど、バラエティに富んだ企画がおすすめです。

ボランティア活動の推奨

社会貢献活動を通じて、社員同士の絆を深めるという方法もあります。会社でボランティア活動を推奨し、参加した社員に特別休暇を付与するなどの支援策を講じることで、社員のモチベーションアップにもつなげることができます。ボランティア活動は、社員の自主性や協調性を育むことにも役立つだけでなく、企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも意義深い取り組みといえます。

筆者が最近いいなと思った代替策


これまで求人広告の営業や制作を通じて、さまざまな会社の社内イベント事情を聞いてきました。最近では「コロナ禍をきっかけに社内イベントはもうほとんどやめた」という会社も多く、特に中小企業でその動きは顕著だったように感じます。そのなかで1社だけ、「その取り組みは素晴らしい!」」と感じた会社がありました。
 

その会社は社内イベントの代替策として、季節ごとに現物支給をしている会社でした。例えば、バレンタインには有名チョコレート、花見の季節には高級和牛、夏には旅行券などを全社員に支給しているそうです。もともと家庭をもつ男性社員や、子育て中の女性社員が多く、「社内イベントはなるべくやりたくない」という意見も出ていたとのこと。社内イベントにかけていた予算を現物支給に変更してから、「家族みんなで食べました」「今日はこんなのもらったよって家族と会話するきっかけにもなっています」と喜びの声が続々と出たといいます。結果として社員定着率も向上したそうです。

社員のニーズを反映したイベントで絆を深めよう


時代とともに変化する社内イベントのニーズ。リモートワークの浸透やコロナ禍による影響など、社会情勢の変化に応じてイベントの手法も柔軟に変えていく必要があります。
 

これからの社内イベントに求められるのは、ただの「恒例行事」として取り組むのではなく、社員のモチベーション向上や組織力強化のための戦略的な施策として位置づける視点です。時には社内イベントに代わる新たな施策を模索し、実践していく勇気も必要でしょう。
 

社員一人ひとりがイキイキと働ける環境を整えることは、会社の持続的な発展に欠かせません。社内イベントも含めた社内施策を通じて、社員のエンゲージメントを高め、組織の一体感を醸成する。それこそが、これからの時代に求められる経営の姿勢ではないでしょうか。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

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