コラム

診断書がないと休職できない?診断書の種類や提出方法・休むまでの流れを徹底解説

病気やケガ、精神的な理由で仕事を休まざるを得なくなった場合、会社に対して適切に休職を申請する必要があります。休職の手続きでは、多くの場合「診断書」の提出が求められます。診断書は、医師が患者の症状や治療経過、就労可否の判断などについて記載した重要な書類です。

休職を会社に正しく理解してもらい、スムーズに手続きを進めるためには、適切な診断書を提出することが何より大切です。筆者も前職で休職した際には、診断書を会社に提出しました。本記事では、休職に必要な診断書の種類から内容、提出方法、診断書がない場合の対処までを詳しく解説します。休職を検討されている方はぜひ参考にしてください!

休職に必要な書類の種類

病気やケガで休職する場合は、主治医による「療養証明書」または「診断書」の提出が一般的に求められます。一方、うつ病や適応障害、パニック障害などの精神的な理由で休職する際は、精神科医による「診断書」が必要不可欠となります。
 
療養証明書と診断書はどのような違いがあるのでしょうか。
 

療養証明書とは

療養証明書は、医師が患者の症状と治療計画を簡潔に記載した書類です。発病日や症状の概要、今後の治療方針や経過予測、休職が必要な期間などが記載されます。内容はごく簡単で、病状を詳しく説明するものではありません。会社に「病気休暇」を取る際の根拠資料として利用されることが多い書類です。

診断書とは

診断書は、医師が患者の症状や病状をより詳細に記載した書類です。発症から現在までの経過、症状の有無、重症度、治療内容、今後の見通しなどが記されます。精神疾患の場合は、その人の性格傾向なども踏まえた診断と意見が記載されることがあります。療養証明書に比べ、内容がかなり濃密で、より詳しい病状説明がなされています。
 
なお、診断書は原則保険適用外のため、発行は自費で行います。価格は診断書に記載する項目の数や、クリニックによってさまざまですが、2,000円〜5,000円程度のことが多いようです。ただし、労災などの病気による診断書の場合は、発行費用は労災保険の負担となります。
 
多くの会社では、長期の病気休暇や精神疾患による休職の際に診断書の提出を求めています。診断書は、休職の適否を判断する重要な書類として位置づけられているということです。会社によっては、最初から診断書の提出を求められる場合もあれば、療養証明書の提出から始めて、休職期間が長くなれば診断書を追加で求められる場合もあります。まずは会社の指示に従い、状況に合わせて書類を準備しましょう。

診断書の記載事項


診断書には、患者の病状を正確に伝えるため、一定の事項が記載されます。主な記載事項とその内容は以下の通りです。
 

発症日

いつから症状が出始めたかを記載します。病状の経過を追うために重要な情報です。精神疾患の場合は、症状の自覚時期を発症日としたり、医師が症状を確認した日付や初診日を発症日としたりするケースがあります。

現症と経過

現在の症状の有無、重症度を記載し、発症からこれまでの症状の変化や治療経過を説明します。客観的な医学的所見だけでなく、家族や周りからの情報なども盛り込まれることがあります。

診断名

現在の診断基準に基づいて、医師が適切な名称を記入することが求められます。複数の病名が考えられる場合は、並列して記載したり、疑いとして記載したりするケースもあります。

治療経過と治療計画

これまでにどのような治療を行ってきたかが記載されます。投薬状況、通院や入院の経緯なども盛り込まれます。また、今後の治療の方針や見通しについても記されます。

就労に関する所見

休職が必要かどうか、給食する場合は復職の目安がいつ頃なのかについての医師の意見や所見が記載されます。
 
こうした内容が正確に記載されていれば、会社側も従業員の病状を適切に把握し、休職の適否を判断することができます。
 

診断書を書いてもらう際のポイント


診断書は自分の病状を会社に正しく伝え、休職の許可をもらうための極めて重要な文書です。そのため、できるだけわかりやすい診断書を書いてもらう必要があります。その際のポイントは下記の通りです。
 

症状を正確かつ具体的に伝える

医師の適切な判断を仰ぐためにも、症状は決して偽ることなく伝えましょう。また、具体的にどういった状況で発症しやすいかなどの具体的な情報も伝えます。

症状が仕事にどのような弊害を与えているか伝える

医師は休職せざるを得ない医学的根拠を、具体的な症状などから明確に診断書にかく必要があります。そのためにも発症している症状が、どのように業務に支障をきたしているのか説明しましょう。単に「倦怠感がある」や「気持ちが落ち込む」などの表現だけでなく、「◯◯の業務に携わろうとするとパニックになってしまう」など、自分が感じてきた具体的な症状と弊害を伝えるよう工夫してください。

服薬している場合はその効果を説明する

すでに医師によって投薬治療が始まっている場合は、治療で実感した効果を伝えましょう。そうすることで、医師は今後の治療計画や治癒までの期間の見積もりを立てることができ、より具体的な診断書を書くことができます。
 
医師に診断書の発行をお願いする場合には、以上のポイントを意識して、現状や今後の治療計画を擦り合わせましょう。わかりやすい診断書を書いてもらえば、会社側も現状を把握でき、休職期間などを判断しやすくなります。

診断書の提出方法と休職までの流れ

診断書を受け取ったらできるだけ早く会社に提出し、休職の相談をしましょう。
 

診断書の提出方法

大手企業であれば人事総務部に提出が求められるケースが多いですが、中小企業などでは上司提出が主流です。担当部署や提出先を明確にするため、事前に社内規定を確認しておくとよいでしょう。
 
診断書は手渡しで提出することもできますが、不調で出社できない等の場合は、郵送やFAX送付、スキャンしてPDF送付などの方法も打診しましょう。その際には診断書のコピーを取って控えを取っておくと安心です。

休職手続きの一般的な流れ

診断書を会社に提出した後の一般的な休職手続きの流れは次のようになります。
 
1. 診断書を受け取り、会社側で休職の適否を検討
2. 休職が認められれば、人事部門などから休職の通知
3. 休職手続きに必要な書類の作成、提出指示(休暇・休職願や給与関係の書類)
4. 休職開始
5. 一定期間経過後、復職の可否を検討
 
上記の流れとは異なる場合もあるので、会社の指示に従う必要があります。筆者が前職で休職した際には、休暇・休職願の提出は省略されていました。なお、休職中の給付金の受け取り方については下記の記事を参考にしてください。
休職のときに給付される「傷病手当金」の仕組みとトラブルを減らす申請方法
 
また、一定期間休職しまだ復職が難しいとなった場合には、最新の診断書の提出が求められる場合があります。その際は、会社側に自分の現状を知ってもらうためにも指示に従い最新の診断書を取得し、改めて休職期間を相談しましょう。
 

診断書がもらえない場合の対応


診断書は初診や久しぶりの診察ですぐに症状や病名の判断がつかない場合や、医師が具体的に症状や治療計画を明記できない場合などは、すぐには発行してもらえないこともあります。それでもすぐにでも休職しないと辛い場合は、会社へ事情を説明しましょう。そのまま症状を放置して会社を休み続けると、無断欠勤と見なされてしまう可能性もあります。診断書がもらえない場合は下記のポイントを心がけ、会社に説明してください。
 

会社に正確に状況を説明する

診断書の提出が間に合わない事態になった場合、速やかに上司や人事担当者に事情を説明する必要があります。「医師から診断書の交付を受けられなかった経緯」「診断書が提出できない具体的な理由」「診断書に代わる書類があればその提出予定」など、誠実かつ速やかにコミュニケーションを取ることが何より重要です。

代替書類の提出を検討する

診断書がない場合でも、休職手続きには別の書類で対応できるケースがあります。診断書に代わり得る主な書類は以下の通りです。
 
・医師の「療養証明書」
・医師からの「診療情報提供書」「状況説明書」
など
 
特に、「診断情報提供書」や「状況説明書」は診断書よりも簡易な書類です。すぐに診断書がもらえない場合は、これらの書類の発行は可能かどうか打診してみましょう。こうした書類があれば、会社側にも病状が伝わる可能性があります。会社との相談の上、診断書の代替として応急的に提出を検討する価値はあるでしょう。
 
ただし、どの書類も、診断書ほど病状を詳しく説明するものではありません。休職期間に入れたとしても、会社から診断書の提出を求められる場合もあります。診断書に代わる書類は、あくまで一時的な対応と考え、定期的な治療を受けながら、医師と相談して診断書を発行してもらいましょう。
 

スムーズな休職のためにも診断書の準備は必須


ここまで解説してきたとおり、病気やケガ、精神的理由で休職を希望する際は基本的には診断書は必須となります。「もはや病院に行くのもつらい……」という人も多いかもしれません。しかし、オンライン診療などを利用しながら、できるだけきちんと医師と話し、診断書を発行してもらいましょう。
 
また、会社側に対しても診断書を提出して終わりではいけません。具体的な状況を伝え、治療の意志があること、定期的な通院をすることなどを説明し、そのために必要な休暇の期間であることを理解してもらえるように心がけましょう。
 
この記事を参考に、できるだけストレスが少なく休職期間に入れたら幸いです。心身の不調を無視せず、必要な時にはしっかりと休んで治療し、また元気に生活しましょう!
 

【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。心身ともにちょっとでも不調を感じたら早めの受診を!
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