コラム

「好きなことを仕事にする」って本当に幸せ?本気で趣味を仕事にするための心構え

「好きなことで、生きていく」。そんなキャッチコピーをYouTubeが打ち出したのは2014年でした。それ以来YouTuberに限らず働き方は多様化し、コロナ禍も相まって、自分の働き方を見直す流れは加速しています。特に現代の若い世代では、激務で高収入を得る仕事よりも、自分の趣向に合い、やりがいを感じられる仕事に重きが置かれている印象があります。

きっと誰もが一度は抱く、「好きなことや趣味と関係する仕事に就きたい」気持ち。しかし、それは果たして充実した仕事や生活を実現してくれる考えなのでしょうか?今回は筆者が考える、「好きなことを仕事にする」を本当の意味で実現する方法を紹介したいと思います。

「好きな業界の仕事なら何でもいい」は危険


「好きなこと」「趣味」を仕事にするとは、具体的にはどういうことでしょうか。たとえば、ゲームが趣味の人がいたとして、その趣味はどんな仕事に直結するでしょうか?あるいはグルメな人、ファッションやコスメが好きな人は?「その業界に関われるならどんな仕事でもいい!」と思っていませんか?
 
この考えは大変危険です。なぜなら「この業界に入れるなら!」と気持ちが先走って、就業後に「こんなはずじゃなかった」となる確率が高いからです。もちろん、どんなことをしてでもその業界に潜り込み、ありとあらゆる経験を積んで自分の目標の仕事に就くキャリアパスもあります。けれどそれはかなりシビアなキャリア形成であり、確固たる目標と根性がなくては成し遂げることはできません。
 
重要なのは、自分の「好き」や「趣味」を分解し、どのような仕事に就きたいか考えることです。ゲームが好きならシナリオライターになりたいのか、ゲームプログラマーになりたいのか、ファッションが好きならデザイナーになりたいのか、販売員からPRなどのキャリアを目指すのか。自分の興味の方向性と能力、適正を鑑みて、どの職種とキャリアパスを目指すのが最もよいか理解することが重要です。
 

好きを仕事にしても「楽しい」だけではない


では、好きなことを仕事にしたら楽しい毎日になるのでしょうか?断言しますが、それは夢物語です。苦労やストレスがゼロの仕事は少なくとも現状の世界には存在しないと筆者は思っています。それどころか、社内やクライアント、顧客などの他者、あるいはトレンド、採算と理想とのギャップなどの「摩擦」からこそ、利益が生まれていると考えています。
 
仕事なのですから、趣味と同じマインドで向き合うことは許されないですし、自分の好みと異なる判断をしなければいけない局面もあるでしょう。好きなことだからこそ、ストレスが増幅する可能性さえあります。
 
しかし「好きなことは仕事にしないほうがよい」とは思いません。筆者自身、大学生の頃にアルバイトをしていた時に痛感したことがあります。それは「自分はこの領域の仕事だったら、発生するストレスにも対処できる」と感じられる領域を見つけること。筆者は大学生の1年目は学習塾でアルバイトをしていましたが、業務内容が自分の性格に合わないうえに過酷な労働環境で、体調を崩してしまいました。
 
その時「今後お金を稼ぐなら、好きなことで苦労して稼ぐ」と意志を固め、以降、イベントなどの企画立案、執筆、編集などのアルバイトを続けました。不思議なほどに、同じ労働時間や業務量でも、興味のある分野のアルバイトのほうが遥かに心身ともに負担が少なく、実績を出せている実感があったことを覚えています。その後、新卒で出版社に入社し、転職した現在は記者・編集・ライターとして、自分の興味のある領域に関わり続けてきました。
 
その日々を通じて感じたのは、好きなこと、興味のあることであれば経験値が伸びやすい点です。興味がある分、トレンドの把握やマーケットの分析、情報収集やアイデア出しなどもこなしやすいですし、トラブルが起きた際も最適解を選べる可能性が高まります。トラブルをもとに、業務を改善していく過程も順調に進むでしょう。これは「好きなことを仕事にしたい」意志の大きなアドバンテージだと思います。
 

好きなことで「苦労」しよう


好きなことや趣味に関わる仕事に就くことは、人生を豊かにするきっかけのひとつになると思います。ただし、「好きな業界ならどんな職種でもいい!」などと思わず、その業界の中でも自分に合った職種を吟味すること。そして、ストレスや苦労を、糧にして成長しながら乗り越えることです。
好きなことで「苦労」しながら生きていくことが、趣味や興味のあることに関する仕事をしたい人にとって重要な心構えかと思います。その分野で糧となる苦労をたくさんして、自分をブラッシュアップしていけば、思い描いていた以上のパフォーマンスや業績にたどり着くことができるはずです。
 
「やりがい搾取」といったフレーズもよく使われる昨今ですが、やりがいはあるに越したことはありません。もちろんやりがい搾取ばかりで経験を積めない企業もあるので、会社選びは慎重に進めるべきです。そのうえで、興味や趣味の多さを武器にして自分に合った職種に就くことで、好きなことに関わりながらキャリアアップしていきましょう!

 
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。2024年の目標は海釣りに挑戦することです。
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