コラム

感情労働とは?肉体労働・頭脳労働との違いや主な業種、やりがいとストレス対処法について紹介

第三次産業が拡大する現代において、感情をコントロールすることが求められる「感情労働」が注目されています。人に喜びを与える仕事であり、社会貢献につながるため、興味がある方も多いのではないでしょうか。本記事では他の労働形態との違いや具体的な業種、やりがいとストレス対処法について紹介します。

感情労働とは?

顧客の気持ちを特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、抑圧することが求められる仕事です。精神と感情の協調が必要で、顧客の不満や怒りに対処する際、冷静さを保ちながら親切な態度を示す必要があり、人間力が求められます。

他の労働形態との違い


肉体労働や頭脳労働とはどのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

肉体労働

主に身体を使った仕事を指します。具体的には、建設現場での作業や農作業、工場でのライン作業などが該当するでしょう。肉体労働では、身体的な強さや持久力が求められる一方、直接人と関わる機会が少ないことが特徴です。

頭脳労働

知識や情報を駆使して問題解決や意思決定を行う仕事のことです。具体的には、エンジニアやデザイナー、研究者、コンサルタントなどが該当します。頭脳労働は高度な専門知識やスキルを必要とし、常に学び続ける姿勢が求められます。また、クリエイティブな発想や論理的な思考力が重要となる仕事です。

感情労働が必要とされる業種・職種


感情労働が必要とされる業種・職種には、主に以下があげられます。

接客業

顧客と直接対面でコミュニケーションをとる機会が多い職種です。レストラン、カフェ、ホテルなどで働くスタッフは、常に笑顔で丁寧な対応が求められます。時にはクレーム対応にあたることもあり、感情をうまく表現しながらも内心では冷静さを保つことが欠かせない職業です。

医療・介護業

患者やその家族に対して尊重や思いやりをもった対応が求められる業種です。医師や看護師、介護スタッフは、身体だけでなく心もケアしなくてはなりません。緊急時には冷静さを保ちつつも、安心感を与えるコミュニケーションも求められます。

教育業

教師や講師は、生徒一人ひとりの感情や学習意欲を高めるためのサポートを行います。時には理解が難しい生徒や家庭の問題を抱えた生徒に対しても、辛抱強く対応しなくてはなりません。感情をコントロールしながら、公平で温かい指導を実現することが求められます。

カスタマーサービス業

顧客からの問い合わせや要望に迅速かつ適切に応える業種です。電話やメール、チャットなどを通じて行われるため、非対面でのコミュニケーションが必要不可欠となります。顔が見えない分だけ、言葉遣いや声のトーンがより重要となるため、感情豊かな対応をすることが必要です。

販売業

商品やサービスを顧客に提案・販売する業種です。顧客のニーズを的確に捉え、適切な提案を行うことが求められます。そのため、感情のコントロールはもちろん、顧客との良好な関係を築くためのコミュニケーションスキルが欠かせません。信頼を勝ち取るために、どんな時でも前向きな姿勢を崩さないことが求められます。

感情労働を通じて感じられるやりがい


感情労働にはどんなやりがいがあるのでしょうか。具体的な魅力について見ていきましょう。

直接感謝の言葉をもらえる

感情労働の魅力の一つは、人々に喜びを与えられることです。例えば、接客や販売業ではお客さまが笑顔で「ありがとう」といってくれた瞬間に、日々の努力が報われると感じられることでしょう。また、教育現場では生徒が理解してくれたり、成長を見れることで、教える側も大いに喜びを感じられるはずです。このような喜びは、仕事のモチベーションを高める大きな原動力となります。

顧客や患者と信頼関係を築ける

感情労働の醍醐味には、顧客や患者との信頼関係を築けることもあげられます。例えば、常連のお客さまが自分を指名して来店してくれることや、患者さんが自分にだけ相談をしてくれることは、信頼関係があるからこそ。簡単に築けるものではないからこそ、そうした瞬間を経験できることが仕事のやりがいとなります。

自己成長を感じられる

自分自身の成長を感じる機会が多いことも、やりがいといえるでしょう。新しいスキルや知識を学べるだけではなく、他人とのコミュニケーションを通じて人間としても成熟することができます。

社会に貢献している実感を得られる

感情労働では、社会に貢献しているという実感を得ることもできます。例えば、福祉の現場では、高齢者や障がいをもつ方々の生活を支援することで、社会全体に大きな影響を与えているやりがいを味わえるでしょう。社会に貢献していると感じることは、仕事に対する誇りを一層深め、日々の業務に対して前向きなエネルギーをもたらします。

感情労働の注意点


感情労働には以下の点に注意が必要です。

感情のコントロールが必要

常にポジティブな態度や感情を表現することが求められるため、自然な感情を抑えることが多々あります。お客さまや患者さんに対して基本的に笑顔で対応しなければならないため、個人的に疲れていたり悩みを抱えていたりしても、本当の感情を見せることはできません。感情を抑え込むことが常態化すると、次第にストレスが累積し、精神的な負担が増大してしまいます。

長時間労働によって疲弊しやすい

労働時間が長くなるほど心身の疲弊感が強まるため、注意が必要です。お客さまや患者さんに対して常に寄り添う姿勢が求められるため、長時間労働になればなるほど心身両面で疲労が蓄積しやすくなります。職場でのパフォーマンス低下や健康問題にもつながりかねないため、気をつけましょう。

評価がされづらい

感情労働は、仕事の価値がしばしば軽視されてしまうことも。企業や組織内での評価システムは主に成果や効率性に重きを置くことが多いため、感情労働の重要性や専門性が適切に認められない場合があります。自身の努力が報われないと感じてしまうこともあるかもしれません。

感情労働に伴うストレスの対処法


ストレスをため込みやすい感情労働に対し、具体的な対処法はあるのでしょうか。

自己認識を高める

感情労働に伴うストレスを軽減するためには、まず自分自身の感情を認識することが重要です。感情は抑え込むのではなく、しっかりと把握して適切に対処することが欠かせません。日記をつける、または1日の終わりに自分の感情を振り返る時間を設けることで、自分がどのような感情を抱いているのか理解しやすくなるでしょう。

ストレス解消法をもつ

感情労働によるストレスをため込まないためには、ストレスを解消する具体的な方法を見つけることが大切です。好きな音楽を聴く、運動する、趣味に没頭するなど、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。

コミュニケーションを工夫する

仕事中に感じるストレスの一因には、人間関係が要因となるケースも多いです。感情を適切に伝える技術を習得し、コミュニケーションを工夫することで、不要な誤解やストレスを減らせるでしょう。

休息をとる

感情労働によるストレスは身体的な疲れとも密接に関連しているため、適度に休養をとることが重要です。深呼吸、瞑想、昼寝などを活用することで、瞬間的なストレス解消が可能です。また、質の良い睡眠を確保することも欠かせません。十分な休息を取り入れ、日々の疲労をリセットしましょう。

専門家のサポートを受ける

もし感情労働によるストレスがどうしても解消されない場合は、専門家のサポートを受けることも検討すべきです。心理カウンセラーやストレスマネジメントの専門家に相談することで、より具体的で効果的なストレス対策を学ぶことができるでしょう。自己判断で無理をし続けないことが大切です。

誰かを笑顔にする仕事で、自分も輝こう


現在において感情労働は重要な役割を果たすポジションです。しかし、常に他人のために動き続けることは、ストレスの原因になることもあります。たとえ仕事が楽しくても、オンとオフの切り替えは欠かせません。適切な休息を取ることを忘れず、メリハリをつけた働き方を心がけることで、大きなやりがいを感じながら活躍することができるでしょう。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

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