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  • 2024.03.19

愛犬の健康と幸せを第一に。フレッシュドッグフードのパイオニアが描く世界展開 | 株式会社バイオフィリア

ペット業界の常識を覆す革新的な商品を次々と生み出し、わずか数年でフレッシュフード市場の国内シェアNo.1を獲得した株式会社バイオフィリア。看板商品の『ココグルメ』は、新鮮な国産の食材のみを使用する保存料や着色料を一切使わないオールナチュラルなドッグフードです。そして一昨年発売された『ミャオグルメ』は、グレインフリーを実現した猫用のフレッシュフード。従来のペットフードでは実現できなかった栄養バランスと食いつきのよさを両立し、多くの愛犬家・愛猫家から支持を集めています。

業界の慣習や固定概念に縛られず、ペットの健康と幸せを追求する。バイオフィリアの企業理念とビジョンは、まさに「ペットと人の幸せな共生」の実現そのものです。今回は、同社の代表取締役社長兼CEOである岩橋洸太氏に、事業を立ち上げたきっかけから今後の展望までさまざまなお話を伺いました。ペット業界のイノベーターが描く「ペットフードの未来」とは。岩橋氏の熱い想いに迫ります。
 
【プロフィール】 岩橋洸太
1989年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、SMBC日興証券にて未上場企業の上場準備、支援業務(公開引受業務)に従事。メイン担当者としてIPO3件、 市場変更1件の実績。 退社後2017年株式会社バイオフィリアを創業。ペット領域で複数事業を立ち上げ、2019年6月よりフレッシュドッグフードブランド「ココグルメ」を開発・提供。愛犬はミニチュアダックスフンドのリヴ(享年15歳)、ぴの(享年14歳)、愛猫は元保護猫のちち丸、ちびちび、ぱん。

愛犬を亡くした悲しみが、事業立ち上げのきっかけに


「私には忘れられない2頭の愛犬がいます。2頭とも15歳と14歳という高齢で亡くしたのですが、最期は病気に苦しみ、穏やかに旅立つことはできませんでした」と当時を振り返る岩橋氏。多くの飼い主が経験する「ペットロス」。岩橋氏も例外ではありませんでした。
 
「愛犬を亡くした悲しみは、ただただ深いものです。私も何日も涙が止まりませんでした。でもよくよく考えてみると、私が悲しかったのは、死そのものというよりも、愛犬のために何かもっとしてあげられたんじゃないか、という後悔の念が大きかったからだったのです」
 
愛犬の死から立ち直れない日々が続く中で、岩橋氏は「もっと健康に気を付けていれば、愛犬たちは苦しまずに最期を迎えられたのではないか」と自問自答するようになります。「私の飼い方に問題があったんじゃないか。食事をもっとちゃんと管理すべきだったんじゃないか」と。自責の念に駆られた岩橋氏でしたが、そこから見えてきたものがありました。
 
「悔やんでも悔やみきれないけれど、ペットの健康を守る鍵は『食』にあると気づいたんです。では愛犬のために自分には何ができるのか。高品質なフードを作ることで、少しでも多くのワンちゃんや猫ちゃんの健康寿命を伸ばすことができるのではないか。そう思ったのが、この事業を始めるきっかけでした」
 

ペットの健康と幸せを最優先に開発したフード


『ココグルメ』『ミャオグルメ』の開発において、岩橋氏が何より大切にしたのは「ペットの健康と幸せを最優先にする」という信念でした。商品のコンセプトを固める中で、ペットフード業界の現状を徹底的にリサーチ。品質面での課題が数多く見つかったといいます。
 
「ペットフードは、昔は味噌汁をご飯にかけて食べさせていた時代から比べると、ずいぶん進化しました。ペットフードのおかげで犬や猫の寿命も長くなりました。しかしそれ以降、品質面での大きな進化はないように感じます。一方で、ペットは『番犬』から『家族の一員』へと飼い主の意識は大きく変化しています。ペットフードへのニーズと実際の製品の間に、ギャップが生まれていたのです」
 
そこで岩橋氏が目を付けたのが、フレッシュフードでした。過去にはペットフードによる健康被害の事例もあり、ペットフード業界の品質基準を満たすだけでは不十分だと考えたそうです。もっと厳しい人間用の食品衛生法の基準をクリアし、安心・安全にこだわった商品を作ろうと考え、ペットフード工場ではなく、人間用の食品工場で製造することを決めたと言います。ただ、実現は決して簡単ではなかったそうです。
 
「人間用の食品工場の方々からは、最初は全く相手にされませんでした。『うちはペットフードなんて作らない』と説明なく断られることも。50社くらいは声をかけては断られる日々でした」と苦笑します。それでも「ペットの健康と幸せ」を第一に考え、食品工場への熱心なアプローチを続けた岩橋氏。ついに一社の工場で、その想いが伝わり、パートナーとなってくれました。こうして人間用の食品基準をクリアしたレッシュペットフードが誕生したのです。
 
そして、品質改良にも日々力を入れているのが同社のプロダクトの特徴。社員自ら他社商品も含めたフレッシュフード、ウェットフードの試食する機会を持つなどの工夫もしています。ペットの口に入るものだからこそ人が食べてもおいしいと思えるのか、他社と比べて自社のプロダクトの品質はどうなのか、などを常に認識しながらプロダクト開発に活かしているそうです。
 

専門知識ゼロだからこそ、新鮮な視点で道を切り拓く


もともと岩橋氏はペットフードに関しては門外漢。共同創業者もWebエンジニアの経験しかなかったそうです。ただ「専門知識がないからこそ、これまでの常識に囚われず、ゼロベースで原材料や製法のあり方を考えることができたのだと思います」と岩橋氏は振り返ります。
 
「最初のプロトタイプ、初めて作ったココグルメは私自身が手作りしたものから始まりました。不器用ながらも作って、食べてくれはしたのですが、栄養価のバランスはよくなかった。それからは獣医師さんとやり取りしながらの試行錯誤です。私の情熱と獣医師さんの冷静な判断の組み合わせで品質をブラッシュアップしていき、最初の商品をリリースできました」
 
そこからSNSの口コミやポップアップイベントでの試食会などさまざまな施策を経て、徐々に顧客を獲得していった『ココグルメ』。支持される重要な要素のひとつに、お客さま一人ひとりに寄り添う姿勢があると岩橋氏は考えています。
 
「前職では証券会社で未上場企業の上場支援等の業務に携わっていたのですが、そこで“寄り添うこと”の大切さを痛感しました。お客さまにコミットして信頼感を得ることが重要だと。それをtoBの業務だけでなくtoCの仕事でも活かせば差別化が図れるのでは、と考えたのです」
 
また、バイオフィリアを創業するうえでも前職の経験は大きく活きているとのこと。子供の頃から“不幸な動物をなくしたい”と思っていた岩橋氏にとって、前職では企業の拡大の流れを学ぶことができただけでなく、優秀な先輩や他企業の経営層の言葉に背中を押されることも多く、起業に踏み切ることができたといいます。
 
「自らの事業で社会問題を解決できるんだ、と思えたことも貴重な経験でした」
 

飼い主に寄り添う姿勢と、品質の高さで国内シェアNo.1に


『ココグルメ』『ミャオグルメ』が多くの飼い主から支持される理由。それは、製品の品質の高さだけではありません。同社が大切にしているのが「お客さまの気持ちに寄り添うこと」です。「うちのわんこが食べ残したんです」「最近食欲がないんです」。こんな悩みを抱えている飼い主の方は少なくないでしょう。「うちの子を心配する飼い主さんの気持ちは、誰よりもわかります。だからこそ、お客さま一人ひとりとしっかりとコミュニケーションを取ることを何よりも大切にしているんです」と岩橋氏。
 
同社ではカスタマーサポートの取り組みを徹底しています。メールや電話でのお問い合わせには、平均2分以内に返信。SNSでの口コミ投稿一つひとつに丁寧にお礼のコメントを返信しているのだそうです。「ペットは家族の一員。だからこそ、飼い主の方のお悩みに親身になってお応えすることを心がけています」
 
他にも、同社の公式noteでは、社内のさまざまな取り組みやお客さまの声などを発信するなど、飼い主の方に役立つ情報を発信しています。また、『ココグルメ』『ミャオグルメ』は、発売から4年間ですでに8回のリニューアルを重ねてきました。このスピード感も、同社のプロダクトの魅力でしょう。商品開発のプロセスについて岩橋氏に詳しく伺いました。
 
「お客さまの声をダイレクトに商品開発に活かすことを何より大切にしています。たとえば最初は素材の味を残すために具材を1cm角の大きめにカットしていたんです。でも実際に食べてもらったところ、小型犬には噛みにくいとの声が。そこで5mm角に小さくカットし直しました。また、にんじんは消化が悪いとの声から、他の具材よりも加熱時間を長くするなどの工夫をしています」
 
また、獣医師だけでなくペット栄養管理士と大学名誉教授にも監修してもらうことで、多角的な面から健康的で安心感のあるプロダクトを作っているとのこと。お客さまの声を活かす仕組み作りにも、近年力を入れている岩橋氏。一昨年には「ごはん開発部」という愛犬家・愛猫家のモニター組織を立ち上げました。
 
「全国の約500名のワンちゃん、ネコちゃんとその飼い主さんに、定期的に商品をお送りしてフィードバックを頂いたり、リアルなご意見を直接お伺いする取り組みを始めたところです。単に大規模なアンケートをするのではなく、飼い主さん一人ひとりとしっかりとコミュニケーションを取りながら、リアルな声に耳を傾けていくことが大切だと考えています」
 
飼い主の方々の率直な声に真摯に耳を傾け、ひとつひとつ丁寧に商品に反映させ品質をアップさせていく。この循環によってカスタマーサービスの高さと品質の高さを両立させることが、フレッシュフード市場の国内シェアNo.1を獲得という快進撃を実現させたのでしょう。
 

日本発のフレッシュペットフードを、世界の愛犬愛猫へ


国内で圧倒的なシェアを獲得したバイオフィリア。次なる目標は、世界の飼い主たちとワンちゃん・ねこちゃんたちに『ココグルメ』『ミャオグルメ』を届けることだといいます。その一環で2024年1月には資金調達も実施しました。
 
世界のペットフード市場規模は約20兆円で今後も成長していくと予測されています(参考:FORTUNE BUSINESS INSIGHTS)。この巨大マーケットに切り込むべく、バイオフィリアは着々と布石を打っています。
 
「日本の食品技術があれば、世界でも勝負できると考えています。現地の嗜好や風土、ニーズに合わせて、『ココグルメ』『ミャオグルメ』をカスタマイズしていくつもりです」
 
特にアメリカでは日本よりもフレッシュペットフードの普及率は高く、マーケットとして重要だと考えているそうです。「アメリカは大型犬が多いこともあり、健康寿命を伸ばすための意識が高いのではないかと思います」と岩橋氏。また、海外でも日本国内と同様に丁寧なカスタマーサービスを実現していきたいとも考えているそうです。
 
一歩ずつ着実に、「日本発の高品質フレッシュフード」を世界の愛犬・愛猫たちの食卓へ。バイオフィリアの海外進出への道のりは、まだ始まったばかりです。
 

ペットと人が共生する社会づくりに貢献したい


「世界で最も愛されるペットフード企業」を目指すバイオフィリア。そのビジョンの根底には、岩橋氏の「動物と人が共生する社会をつくりたい」という強い思いがあるのだといいます。
 
「そもそもこの会社を立ち上げたのは、”不幸な思いをする動物をなくしたい”という思いからでした。日本では動物の殺処分や、劣悪な環境での繁殖など、ペットを取り巻く環境はまだまだ厳しいです」と岩橋氏は指摘します。
 
その問題の解決に着手するためにも「企業を大きくし、影響力を高めていく必要がある」と考える岩橋氏。『ココグルメ』『ミャオグルメ』で「ペットにとって本当によいフードを選ぶ大切さ」を、飼い主に向けて積極的に発信し続けています。
 
「まずは、自分の近くの動物たちを幸せにする。その事業を通して企業を大きくし、”不幸な思いを動物をなくす”というミッションに挑戦していきたいと考えています」
 
事業を通じて、ペットと人がよりよい関係を築いていく。そんな社会づくりに貢献していくのが同社の大きな魅力のひとつでしょう。

「夢を諦めずに」熱い想いを持つ仲間を求めて


最後に、バイオフィリアでの仕事に興味を持つ方々へ、岩橋氏からメッセージをいただきました。
 
「バイオフィリアには、何かを成し遂げたいという熱い思いを持った仲間が集まっています。私自身、不幸な動物をゼロにするという夢を胸に証券会社を退職し、知識も、資金もない状態からここまで来ました。『手作りフードを広めてワンちゃんネコちゃんの幸せな生活に貢献したい』『世界一のペットフードブランドを作りたい』といった夢を持つ方。共に夢を叶えるべく、チャレンジし続けられる最高の環境がここにはあります」
 
ペットフードの開発から製造、マーケティング、営業、カスタマーサポートまで、あらゆる分野で活躍の場が広がる同社。特に、海外展開を見据え、グローバルに活躍したい方は大歓迎と岩橋氏はいいます。
 
「動物が好きで、ペットと飼い主の幸せのために全力を尽くせる方なら、ウェルカムです。また、ペット業界は市場構造や動物の性質、日本の食の商品力の高さから日本のスタートアップでもグローバルで勝てる領域であり、ビジネスとしても非常にチャレンジングな領域です。これまでの経験を活かして大きな仕事がしたい、急成長企業での経験を経て自分も圧倒的に成長したいという意欲のある方々も大歓迎です。夢を諦めずに挑戦し続けるには、失敗を恐れないタフな精神が求められます。『志』を同じくする仲間と、動物と人の理想の共生社会の実現を目指して、一緒に走り続けましょう」
 

【取材を終えて】
今回の取材で、バイオフィリアの事業の原点は「愛犬・愛猫の幸せ」であることが伝わってきました。品質と安全性に徹底的にこだわるのは、飼い主の方々の「うちの子に安心して食べさせたい」という気持ちに応えるため。お客さまの声に真摯に耳を傾け、一つひとつ丁寧に向き合うのは、「愛犬・愛猫を家族として大切にする気持ち」に共感するからこそ。すべての原動力は、岩橋氏自身の「動物愛」なのだと感じました。バイオフィリアの挑戦はまだ始まったばかり。日本から世界へ。これから、さらに多くの動物と飼い主の”絆”に寄り添う存在となるに違いありません。業界の常識を変える”ペットフード・イノベーター”の今後に注目しています。
 
取材・文:VALUE WORKS 伊藤 鮎

会社名 株式会社バイオフィリア(Biophilia Inc.)
所在地 〒153-0061 東京都目黒区中目黒3丁目5-5 NFビル6階
代表者 岩橋洸太
資本金 2億7,441万円(資本準備金を含む)
設立 2017年8月
社員数 51人(2023年2月時点)
事業内容 ペット関連事業・インターネットサービス事業
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