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  • 2021.07.21

忖度は一切しない。電気工事士から年商20億のCEOに上り詰めた男の挑戦記

課題解決のプロフェッショナルとして、各企業の課題をICTで解決する株式会社エヌエルプラス。あらゆる業種から依頼が相次ぎ、前年比で300%超の成長率を記録。わずか3年で従業員数は60名から200名超へと急増している。

エヌエルプラスは2009年にインターネットセキュリティ事業を主とした『株式会社電警』として設立。2011年頃からWEBサービス運営に必要なバックオフィス業務全般の運用代行を開始、その後も事業拡大を続けて業績を伸ばしてきた。(2020年9月に社名を現在のエヌエルプラスに変更)

飛躍的な成長の背景には、トラブルにワンストップで即座に対応できるサービス提供体制がある。現在では、ICTコンサルティングなどの上流工程から、WEBサービスやアプリの開発、運用まで、自社で一貫して提供できる体制を構築している。

このITコンサルティング事業を立ち上げたのが、代表取締役CEOを務める笠間一生氏だ。高校卒業後に電気工事士として働き始めてから、目の前の壁を次々と打ち壊し、今や年商20億円のIT社長にまで上り詰めている。「あと一日早く諦めてたら、成功できなかった」と語る彼のキャリアストーリーに迫る。

【プロフィール】
笠間一生(かさま・かずたか)
株式会社エヌエルプラス 代表取締役CEO。1978年9⽉⽣まれ。 電気⼯事⼠として働いたのちに、⼤⼿ IT アウトソーシング企業へ転職。その後、独⽴して IT コンサルティングを⾏い、株式会社エヌエルプラス(旧電警)へ⼊社。2020年4月に代表取締役CEOに就任。⼀般財団法⼈ PEACE BY PEACE COTTON専務理事、株式会社LOCCO 取締役を兼務。

キャリアの出発点は電気工事士


CEOでありながら現場主義を貫く笠間氏。そのキャリアは、高校卒業後に働き始めた電気工事士の現場からスタートしている。作業自体にやりがいを感じながらも、体力勝負の仕事を続けていくことに困難さを感じていたという。
 

「そんなに体が屈強じゃないので、体資本でやっていくことが難しいと思ったんです。自分の5年後、10年後を考えた時に、この業界で働いているイメージがつかなかったという感じですね」
 

そんな笠間氏のもとに、ソフトウェア開発会社を経営する叔父から思いもよらぬオファーが。人生を変えるIT業界との出会いだった。そこから2年間ほど、高度な専門知識を持ったプログラマーたちと一緒に働きながら、プログラミングの知識を学ぶことになる。
 

「それまでの肉体労働とは全く違った環境で、こんなにクリエイティブな仕事があるんだなと思いました。ゲームのような感覚もあり、PCを使った仕事がとにかく楽しかったんです。それまで勉強したことなんて全くなかったのですが、PCを組み立てて仕組みを学んだり、参考書の内容をノートに書いたり。出来ることが増えていくのが新鮮で、ITの世界にどっぷりとハマりました」
 

今まで出来なかったことでも、知識を学んでそれに伴う行動をすれば課題を解決できることを学んだ笠間氏。在職期間中に身に付けたプログラミングの素養を活かし、大手アウトソーシング会社で新たなスタートを切る。
 

「会社ではとにかく手を挙げましたね。これもやりたい、あれもやりたいと。やるって言った以上は、覚えなきゃいけないじゃないですか。自分には出来ないと思わずに、出来る前提で行動すれば今までの自分を超えられるんです」
 

学歴などのハンデで派遣社員としての入社だったが、仕事への誠実な姿勢と人懐っこい性格が評価され、約1年半で正社員へと上り詰める。現在につながる企業の課題解決は当時から既に取り組んでいたそうだ。
 

「当時の先輩や上司と一緒に、企業の炎上案件やトラブルを収めることを好んでやっていました。とことん相手に向き合って課題を解決すると信頼が得られて、次々とチャンスをくれるようになるんです。それが仕事の喜びであり、やりがいですね」
 

約12年間の在籍期間で、最終的には本部のマネージャーまで昇進。電気工事士からのキャリアストーリーについて、笠間氏は次のように振り返る。
 

「マネージャー職や現在のCEOのポジションは、電気工事士をやっていた頃の自分からしたら、全く想像出来なかったと思うんです。でもそこからキャリアを一気に飛び越えたわけではありません。日々課題を解決していたら、少しずつ解決できる課題が大きくなって、出来ることも増えていきました。そして、同じ志を持つ仲間が集まってきたんです。キャリアに近道はないということですね」

常識を超えた課題解決力で社内ナンバー2へ躍進


大手アウトソーシング会社のマネージャー職まで昇進した笠間氏だったが、さまざまな企業の課題を目の当たりにするなかで、より誠実に課題解決に付き合いたいとの思いが芽生え、36歳で独立。個人事業主としてスタートしてから徐々に事業を拡大し、1年半後にはITコンサルティングの会社を立ち上げている。
 

「独立後に上手くいったのは、前職で培った各企業とのコネクションのおかげです。本部のマネージャーだった頃に課題を解決したお客さんが、独立してから次々と仕事のお話をくれたんです。ルール通りの標準的な向き合い方ではなく、とことん相手の課題解決に寄り添っていたことが良かったのかもしれません」
 

そして、会社を経営している中で、さらなる事業拡大に向けて意気投合したのが、以前から親交の深い電警(後のエヌエルプラス)の創業者だった。自身のITコンサルティング事業にシステム開発を加えてさらに発展させるため、2016年に電警へ入社している。
 

「当時はまだ社員数30人ほどの会社でしたが、より多くの課題を解決しようとする気持ちが社内に充満していました。私も営業や事業企画など色々なことを担当しましたね。プロジェクトマネジメントなどの上流から、システム開発、運用まで上手く連携できるように、たくさんの現場を奔走していました」
 

笠間氏は、今までの顧客とのコネクションも活かしながら早々に事業を軌道に乗せることに成功。ITサービスをワンストップで提供できる体制を作り出し、名実ともに社内のナンバー2として躍進していく。
 

「今思い返しても成功するかどうかは、ほんのちょっとの差だったと思うんです。限界ギリギリの正念場を乗り越えられるかどうかが重要で。あと一日早く諦めていたら、成功できなかったという経験は結構ありますね。その苦しい局面を乗り越えたときの達成感を、みんなで味わいたいと思って取り組んできました」
 

昔から笠間氏の中には「絶対に諦めない」という基本姿勢がある。どんなに難しい課題に対しても案件をおりることは一切考えず、常に期待を超えることを目指している。顧客が頭を悩ませるプロジェクトの中には、何が本当の課題なのか見えなくなっているケースもあるそうだ。
 

「私たちのような第三者の人間は、その会社や現場の忖度など関係ないので、見えるものが多くて。フラットな目線で不要なこと、必要なことを判断出来るんです」
 

危機的状況でも、業務のプロセスを少し変えるだけで、驚くほど業務を改善することができる。
 

「課題を最短で解決することがお客様のためになるので、忖度や遠慮は一切せずシンプルに改善策を提案します。その結果、一時的に嫌われたとしても、解決すればお客様との絆が今まで以上に強くなるんです。現場では綺麗事よりも厳しい意見を言ってもらった方がリアルな状況を知ることができるので、むしろ助かりますね。『怒られたくない』という感情は一切捨ててきました」

事業の急成長の立役者としてCEOに就任


社内のナンバー2として事業拡大に邁進していた笠間氏だったが、2020年4月にCEOに就任。
 

「会社の急成長に伴い、事業拡大と組織体制の強化を両輪で進めることの重要性が増していました。急激に規模を拡大する中で、社員全員の足並みを揃えることが課題となっていたのです。私はCOO(最高執行責任者)として事業全体を牽引しながら、全部署と連携していましたし、仕事を通じて社員との関係をつくれていたため、次期代表に適任ということになったのです」
 

それまでに40社以上の課題を解決し、事業の最高責任者として会社を見続けてきた笠間氏だが、突然CEOになることへの不安や戸惑いはなかったのだろうか。
 

「本当に信頼できる仲間が周りにいるので、CEOになることへの不安や戸惑いはありませんでした。彼らは私のビジョンやその真意、やりたいことを正確に汲み取って、同じ熱量で他のメンバーに伝えてくれます。このチームなら、これからどんなに会社が成長してもやっていけると感じていました」
 

CEOに就任した現在もプロジェクトマネージャーとして現場の進行を行うことも多いという。時にはいくつものプロジェクトを同時に進行することもあるという。
 

「自分が最前線にいることで、現場の空気感やクライアントが本当に求めているものを見逃さないようにしています。それに何より私自身が課題を解決することが1番のやりがいなんですよね。どんな立場になっても変わらず最前線に居続けたいです。やはり現場から離れてしまうと感覚が鈍ると言いますか、打席に立ち続けることが大切だと思っています」
 

笠間氏がCEOになってからよく聞かれるのが「競合企業はどこなのか?」という質問だ。それに対する笠間氏の答えは意外なものだった。
 

「私はいわゆる“競合他社”という考え方をしません。同じ業界の企業でも、広い意味ではパートナーなんですよ。例えば、あるプロジェクトで課題を解決するために、どこかと組んでやった方がいい場合もあります。そのとき協力する相手というのは、いわゆる競合だったりもするんですよね。当然、コンペでライバルになることはありますけど、良い提案をした方が通るだけなので、あまり気にしません」
 

他社との関係性を大事にしている笠間氏は、社内のメンバーとの関わりも非常に重要だと考えている。CEOでありながらいつでも自然体で話しかけやすく、ユニークな話題を自ら展開するため、メンバーとの輪が自然と生まれることが多い。
 

「出社する時はなるべく社員とコミュニケーションをとるようにしていますね。普段はリモートワークが多いのですが、チャットなどのやりとりではフランクにスタンプを使うなど、できるだけ社員が萎縮しないようなコミュニケーションを心がけています」

インドの貧困地域でも課題解決


笠間氏の課題解決への取り組みは、エヌエルプラスだけにとどまらない。現在最も力を注いでいる取り組みの一つが、一般財団法人PBP COTTONで行っているサステナブル・プロジェクトだ。
 

「世界最大の綿生産国のひとつであるインドでは、農薬や化学肥料による健康被害や借金苦による農家の自殺が多発しています。そこで財団ではインド産のオーガニックコットンを使用した製品に基金を付けて販売し、その基金を活用してインドの綿農家の有機農法への転換支援と、農家のこどもたちの就学・復学・奨学支援を行っています」
 

笠間氏は本プロジェクトにアプリ開発で携わるようになり、現地の状況を知るためインドを訪問。インターネットの回線速度を調査したことで、ある驚きの事実に気付く。
 

「田舎の村なのにアップロードもダウンロードも十分に速度が出ているんです。理由を調べたら、2018年からインド全域へブロードバンドを普及させる『バーラトネット』という政府事業が推進されているようで。開発やオペレーションの仕事はとても需要が高く、彼らと一緒にITに取り組むことで、農業プラスアルファの収入源を得られ、地域格差や貧困という課題解決に貢献できるのではないかと考えました」
 

笠間氏が目指しているのは、オフショア開発による収益計上ではない。あくまでも現地の「貧困」という課題を解決するための手段としてIT 化を捉えている。
 

「インドの農村を拠点にオフショアで利益追求するのは難しいと思うんですけど、彼らが自走出来るように会社を作って仕事を流すことは十分出来ると思っています。オフショアの仕組み作りは、ベトナム、フィリピン、中国などで既に定着しているので」
 

笠間氏のビジョンに共感する企業は多く、これからプロジェクトが一気に動いていく可能性があるとのこと。オーガニックコットン事業とともに、今後の展開が気になるところだ。

苦手なことは、得意な人がサポートすればいい


飛躍的な事業成長と共に、他社とのネットワークを構築してきたエヌエルプラス。例えば物流業界においては、西濃運輸(セイノーホールディングス)とフェリシモと協業して、置き配サービス「OCCO(オッコ)」を開発するなど、新たな価値を生み出すことにも力を入れている。
 

「ここ数年で開発環境も整い、エヌエルプラスの代表的なプロダクトを作ることにも注力しています。こういう新しい取り組みができるのは背中を守ってくれる、祖業の運用業務があることが大きいですね」
 

一方、働きやすさを追求する社内の人材教育では『得意を伸ばす』、『不得意は周囲の誰かが埋める』、『皆に標準化は求めず、目的を達成する』が既に文化として根付いているとのこと。一人ひとりの個性を尊重し、画一化は避けるようにしているそうだ。
 

「時間をかけたからといって、必ず苦手を克服できるわけではありません。それよりも得意なことを伸ばした方が、楽しく働けるし会社の利益につながると思うんです。誰かの苦手なことは、得意な人がサポートすればいいんです」
 

メンバー全員の個性を活かして日々成長を続けるエヌエルプラス。新たに迎える仲間には、どんな資質を求めているのか笠間氏に聞いてみた。
 

「能力面での完璧さは全く求めていません。それよりも自分の得意なことをとことんやる、出来ないことがあったらそれを覚えようとする人がいいですね。自分の与えられた責任範囲で100%頑張れる人は、さらに伸びると思うので。私も日々チャレンジしていますから、成長するのが好きな人は大歓迎です」
 

最後に笠間氏は、自身の経験からキャリアアップのために大切なことを語ってくれた。
 

「まず前提として重要なのは、自分がどうなりたいかだと思います。漠然としたイメージでもそれがあるのなら『とにかく動こうよ』ということですね。例えば、AとBで悩んでいたとしても行動後の結果はそんなに変わらないんです。その後でまた行動や方法を修正すればいいだけなので。それに、動くことで得られる経験はすごくたくさんあります。自分の本当の課題や出来ることも見えてきて、どんどん視界が開けてくると思いますよ」
 

これからもエヌエルプラスは、あらゆる業種のITコンサルティングとプロジェクトマネジメントを強みにしながら、自社の新規開発を積極的に進めていく。その中で笠間氏は、最前線の現場にも変わらず立ち続けるのだろう。課題解決への想いは、信頼する仲間との間で一層強く醸成されていくに違いない。
 

取材・文:平原 健士、撮影:岡田 晃奈

会社名 株式会社エヌエルプラス(旧:株式会社電警)
本社所在地 東京都港区西新橋1-8-1 REVZO虎ノ門 9F
役員 代表取締役CEO / 笠間一生
代表取締役副社長 / 中澤一聡
専務取締役CTO / 飛鳥真一郎
常務取締役CSO / 鈴木研
取締役COO / 齋藤由佳
取締役 / 林亮
取締役 / 柿添康大
執行役員 / 志谷啓太
執行役員 / 那須太裕
執行役員 / 村岡かほる
事業内容 ◆WEBサービスに関する企画開発・運営支援事業
◆ICTに関するコンサルティング・プロジェクト支援事業
◆WEBサービス・ICTに関するセキュリティ事業
資本金 1,000万円
設立年月 2009年2月
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