コラム

組織変革に不可欠!ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の重要性と効果的な策定方法

現代のビジネス環境において、変化に適応しながら組織が成長するためには、明確な指針が不可欠です。この指針となるのが、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)、つまりMVVです。MVVは組織の存在意義を示し、目指すべき将来の姿を描き、大切にする価値観を明確にします。MVVを適切に定義し、組織全体に浸透させることで、一人ひとりが同じ方向を向き、協力して目標に向かって邁進できるようになります。

しかし、MVVの策定や浸透は容易ではありません。経営環境が目まぐるしく変化する中で、組織の根幹をなすMVVをどのように定義し、実践していけばよいのでしょうか。本記事では、MVVの重要性を再確認するとともに、効果的な策定方法と浸透プロセスについて詳しく解説します。組織変革を目指す経営者の方はぜひお読みください。

MVVの定義と役割

MVVは組織の根幹をなす3つの要素から構成されています。ミッションは組織の存在理由や使命を、ビジョンは目指す将来の姿を、バリューは大切にする価値観を表します。これらが相互に関連し、整合性を保つことで、組織は一貫性のある経営を実現できるのです。それでは、各要素の定義と役割を詳しく見ていきましょう。

ミッション(Mission)

ミッションは組織の存在理由や果たすべき使命を表し、組織が社会に提供する価値や、組織の根幹となる目的を明確に示すものです。組織の意思決定の基盤となり、事業の方向性を決定づける重要な要素となります。
例えば、あるソフトウェア企業のミッションは「革新的なソフトウェアで世界中の人々の生活を豊かにする」というものかもしれません。このミッションは、同社の存在意義を明確に示すとともに、事業展開の指針となります。新製品の開発や市場戦略の策定においては、常にこのミッションに立ち返り、判断の基準とするのです。

ビジョン(Vision)

ビジョンは組織が将来的に目指す理想の姿を描いたもので、組織が中長期的に達成したい目標や、ステークホルダーに提供したい価値を表します。組織の発展の方向性を示し、従業員にとってモチベーションの源泉となる目標とも言えるでしょう。
 
上記のソフトウェア企業の場合、ビジョンは「2030年までにグローバル市場でトップシェアを獲得し、あらゆる業界のデジタルトランスフォーメーションを支援する」というものかもしれません。このビジョンは、同社の長期的な目標を明示し、従業員を奮い立たせる役割を果たします。

バリュー(Value)

バリューは組織が大切にする価値観や行動指針を示します。組織の文化や風土を形成し、意思決定の基準となる原則です。組織の一体感を醸成し、ステークホルダーとの信頼関係を構築する上で重要な役割を果たします。
 
ソフトウェア企業の例で言えば、バリューは「イノベーション、顧客第一、多様性の尊重」などが考えられます。これらのバリューに基づいて、同社の従業員は日々の業務に取り組み、意思決定を行います。バリューは、組織の行動規範となり、ブランドイメージの形成にも寄与するのです。
 
ミッション、ビジョン、バリューは、それぞれ固有の役割を担いつつ、相互に関連し合っています。ミッションを達成するためには、ビジョンに基づいた戦略が必要であり、その実行においてはバリューに沿った行動が求められます。MVVが三位一体となることで、組織は一貫性のある経営を実現できるのです。

MVVの策定方法


MVVの重要性を理解したところで、次はその策定方法について考えていきましょう。MVVを効果的に定義するためには、以下のようなプロセスを踏むことが肝要です。
 
まず、組織の歴史や強みを徹底的に分析することから始めます。これまでの事業展開や成功事例、独自の技術力やノウハウなどを洗い出し、組織の本質的な価値を見出していきます。この作業を通じて、組織のアイデンティティを明確にすることができるのです。
 
次に、ステークホルダーの意見を広く取り入れることが重要です。経営陣だけでなく、従業員や顧客、取引先など、組織に関わる様々な人々の声に耳を傾けます。多様な視点を取り入れることで、MVVはより包括的で説得力のあるものになります。
 
そして、経営陣による深い討議と合意形成のプロセスを経ます。MVVは組織の根幹をなすものであるだけに、トップのリーダーシップのもと、時間をかけて練り上げていく必要があります。各要素の定義や表現について、徹底的に議論を重ねることが肝要です。
 
最後にMVVを言語化する際には、シンプルで分かりやすい表現を心がけましょう。ミッション、ビジョン、バリューは、社内外のステークホルダーに対して明確に伝わるものでなければなりません。的確なメッセージを簡潔に表現することで、MVVは組織の羅針盤としての役割を果たすことができるのです。
 
以上のプロセスを経て策定されたMVVは、組織の礎となる大切な資産です。しかし、MVVを策定するだけでは、組織に変革をもたらすことはできません。次項では、MVVを組織に根付かせ、日々の活動に反映させていくための方策について考えていきます。

MVVの浸透と実践


MVVが組織の羅針盤として機能するためにはMVVを組織全体に浸透させ、日々の活動に反映させていく必要があります。ここでは、MVVの浸透と実践のための具体的な方策について解説します。
 
まず、経営陣自らがMVVを体現し、その重要性を示していくことが求められます。トップのコミットメントは、MVVの浸透において極めて重要な役割を果たします。経営陣は、自らの言動を通じてMVVの意義を伝え、実践することで、従業員の模範となるのです。
 
次に、社内コミュニケーションと研修を通じて、従業員のMVVへの理解を深めていくことが肝要です。MVVを単なるスローガンではなく行動の指針として捉えてもらうには、丁寧な説明と対話が欠かせません。全従業員を対象とした研修を実施し、MVVの意義や実践方法について理解を促進します。
 
そして、MVVに基づいた行動を奨励し、評価に反映させることで、組織全体にMVVを浸透させることができます。MVVを実践する従業員を称賛し、MVVから逸脱した行動については建設的なフィードバックを与えることが重要です。人事評価制度にMVVの実践度を組み込むことで、従業員のモチベーションを高めることもできるでしょう。
 
最後に、MVVは固定的なものではなく、定期的な見直しと改善が必要であることを認識しておく必要があります。事業環境の変化や組織の成長に合わせて、MVVを進化させていくことが、組織の持続的な発展につながるのです。定期的にMVVの妥当性を検証し、必要に応じて修正を加えていく柔軟な姿勢が求められます。
 
MVVの浸透と実践は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。トップのリーダーシップのもと、組織全体で地道に取り組んでいくことが肝要です。MVVを組織の文化や風土に根付かせることで、変革の原動力を生み出すことができるのです。

MVVの活用事例

ここまでMVVの重要性や策定方法、浸透プロセスについて解説してきました。続いてMVVを活用して成功を収めた企業の事例を見ていきましょう。具体的な取り組みを知ることで、MVVの実践へのヒントが得られるはずです。

事例1:A社の事例

A社は従業員数1,000名規模の製造業企業です。事業の多角化に伴い、組織の一体感が失われつつあることが課題となっていました。そこで、全社的なMVV策定プロジェクトを立ち上げ、経営陣と従業員の対話を重ねながら、新たなMVVを定義しました。
 
ミッションは「独自の技術力で、お客様に感動を届ける」、ビジョンは「業界のリーディングカンパニーとなり、社会に貢献する」、バリューは「挑戦、協働、誠実」と定めました。このMVVを軸に、事業戦略の再構築と組織風土の改革を進めました。
 
具体的には、MVVを反映した中期経営計画を策定し、各部門の目標設定と行動計画に落とし込みました。また、全従業員を対象としたMVV浸透研修を実施し、日常の業務とMVVを結びつける取り組みを推進しました。加えて、MVVの実践度を人事評価に組み込み、従業員のモチベーション向上を図りました。
 
こうした施策の結果、従業員のエンゲージメントが高まり、部門間の連携も強化されました。業績面でも、新製品の開発スピードが向上し、顧客満足度も上昇するなど、MVVの浸透が成果に結びついたのです。

事例2:B社の事例

B社はサービス業を展開するベンチャー企業です。急成長を遂げる中で、MVVを策定し、組織の求心力を高めることが課題となっていました。CEO自らがMVV策定を主導し、全従業員を巻き込んだワークショップを実施しました。
 
ミッションは「世界中の人々の生活を豊かにする」、ビジョンは「グローバル市場でNo.1のサービスを提供する」、バリューは「顧客第一、スピード、多様性」と定義しました。MVVを社内に浸透させるため、全従業員に対する研修を実施し、MVVを反映した評価制度を導入しました。
 
さらに、MVVを実践する取り組みとして、イノベーション推進プログラムを立ち上げました。従業員から新規事業のアイデアを募集し、優れた提案に対しては経営資源を投入する仕組みを整えたのです。また、多様性の尊重というバリューに基づき、女性管理職の登用を積極的に進めました。
 
これらの施策により従業員の一体感が醸成され、イノベーションが促進されました。新規事業の立ち上げが加速するとともに、グローバル市場での存在感も高まりました。B社の事例は、MVVの実践が組織の変革とパフォーマンス向上に直結することを示しています。

適切なMVVを定め、激動の時代を乗り越えよう

MVVは組織の存在意義を示すミッション、目指すべき将来像を描くビジョン、大切にする価値観を明確にするバリューから構成されます。これらを適切に定義し、組織全体に浸透させることで、一人ひとりが同じ方向を向き、協力して目標に向かって邁進できるようになります。
 
MVVの策定においては、組織の歴史や強みを踏まえつつ、ステークホルダーの意見を取り入れながら、丁寧に議論を重ねることが肝要です。そして経営陣自らがMVVを体現し、社内コミュニケーションと研修を通じて浸透を図り、MVVに基づいた行動を奨励・評価することで、組織に根付かせていくことができます。
 
事例で見たように、MVVは組織の変革とパフォーマンス向上に大きく寄与します。部門間の連携強化やイノベーションの促進、従業員エンゲージメントの向上など、MVVの実践は様々な効果をもたらすのです。
 
ただし、MVVの浸透には時間と努力を要することも忘れてはなりません。組織文化を変えていくためには、トップのリーダーシップのもと、地道な取り組みを継続することが不可欠です。また、事業環境の変化に合わせて、MVVを柔軟に見直していく姿勢も求められます。
 
MVVは組織の羅針盤として、持続的な成長と変革を導く強力な手段です。自社のMVVを見つめ直し、組織の一体感と求心力を高めることで、激動の時代を乗り越えていくことができるでしょう。

 
\オウンドメディア制作、採用広報に興味をお持ちの方はこちらをクリック!/