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- 2023.03.01
「くらし」と「はたらく」を自由にデザインできる世界へ。組織横断でプロダクトを支えるSREエンジニアの真価 | ACALL株式会社
ACALL株式会社は、「くらし」と「はたらく」を自由にデザインできる世界を目指して、ワークスタイルのプラットフォーム『WorkstyleOS』を開発。誰がどこで働いているのかはもちろん、オフィス・フロアごとの混雑状況なども簡単にわかる仕組みを提供し、導入社数は6,500社を突破している。
同社で働くエンジニアたちは、フルリモート・フルフレックスの環境下でどのように自由な働き方をデザインしているのか。『WorkstyleOS』の成長を支えるSREチームのエンジニアリングマネージャー・戴 世高氏の仕事とキャリアから紐解いてみたい。
【プロフィール】
戴 世高(TAI SHIH KAO)
SREチーム エンジニアリングマネージャー
台湾の国立大学院で電子工学の修士号を取得したのちに日本へ移住。2017年に国内のSler企業に入社し、越境ECサイトのバックエンド開発・保守運用に従事。その後、2019年にACALLへ入社し、バックエンド開発と兼務してインフラ設計を担当。インフラチーム(現SREチーム)立ち上げに参画し、現在はSREチームのマネジメントを担う。主にバックエンドとインフラに関わる技術である Go / TypeScript / AWS CDK / AWS CloudFormation / SQLなど を扱っている。
あこがれの場所で自由に働きたい
海外に現地法人(ACALL ASIA)を設立し、働く場所の選択肢を広げようとしているACALLと、戴氏のグローバルなキャリアは重なる部分も多い。台湾で生まれ、故郷の大学院で電子工学を学んだ彼にとって、日本はあこがれの存在だった。
「ずっと日本で働きたいと思っていました。学生時代から日本のアニメなどの文化が好きで、バックパッカーとして年に数回訪れたこともあります。留学もしたかったのですが、大学院のときにはプログラムの人員に入れませんでした。卒業後に1年間の兵役を経て、ようやく日本に留学することができたのです」
来日当初は大阪のベンチャー企業でアルバイトをしながら、日本語学校で語学を習得。全く話せない状態からスタートし、わずか3か月で日本語能力試験最高レベルのN1に合格している。その努力とスキルが認められ、日本のSlerに入社できたが、その先にはさらに高いハードルが待ち構えていた。
「越境ECサイトのバックエンド開発・運用・保守を担っていたのですが、入社から半年ほどでクレジットカードの情報セキュリティに関する国際統一基準を担当することになりました。システムのコアに関わる部分なので、大幅な改修が必要なことはもちろんですが、そもそも日本のクレジットカードの仕組みがよくわからなくて……。クレジットカードの与信など、基本の知識から学ぶ必要がありました」
文化の違いや社会人一年目のスキル不足に戸惑いながらも、ソースコードを一行ずつ確認して全データを精査。税計算の処理をしたり、ビジネスフローを反映させたりとやるべきことは多岐にわたっていたが、着実に仕事を進めていったという。
「苦労しましたが、スキルだけではなくビジネスサイドを理解できたので、自分にとって大きな成長でした。私のような技術畑の人間からすると、製品が技術的にどれだけ優れているのかなど、アーキテクチャの部分にこだわりがちです。しかし、実際の現場ではビジネス視点で、コスト、タイムライン、業界の基準、法律などを考慮し、どんなスコープが必要なのか考えていく必要があります。エンジニアとしての視野が広がっていくのを感じられたので、非常にいい経験でした」
苦境でも、基礎を崩さない
転職のきっかけは、戴氏の中にあったエンジニアとしての成長意欲が大きく影響している。2019年当時、クラウドサービスが日本に浸透し始めていたこともあり、技術的なチャレンジでAWSの資格を取得。しかし、そのスキルは生かすことができなかった。
「当時の職場は自社のデータセンターを持っており、そのフレームワークを運用するオンプレミス環境でした。より大規模なレイヤーに挑戦していくことを考えると、クラウドを活用していくことは必須ではないかと。自分のスキルとキャリアを高めるためにも、スケールしやすいSaaS事業にチャレンジしていきたいと思っていました」
そんなときに出会ったのがACALLだ。同じ職場だった上司がACALLでエンジニアリングマネージャーをやっており、そのつながりで声をかけられたという。転職活動では他の会社からも話を聞いていたが、大幅なスキルアップが見込めそうなACALLに魅力を感じるようになる。
「ACALLに入社を決めた理由は主に3つあります。1つ目は、採用している技術スタックとAWSで動いているプロダクトであること。2つ目は、IoTやiOSなど、さまざまなアプリ開発が経験できそうだったこと。3つ目は、事業としてスケールしやすい特徴を持っているSaaSだったことです。それらを複合的に考えたときに、今までより大規模なシステム開発ができると感じました」
入社後はバックエンドエンドエンジニアとして、Ruby on Railsで構築した基盤を担当。数か月後には、マイクロサービスの新たな基盤構築にも携わり、インフラ関連の技術選定・設計、実装なども担うようになる。
「ACALLは期待通りの職場で、エンジニアとしてスキルアップできる環境が整っていました。例えば、新規プロジェクトではゼロイチで設計する機会がゴロゴロ転がっている。一方のSaaS運用では、自分が設計したものを見直したり、設計意図を振り返ったりできるので、成長を実感できますね」
2020年からはインフラチームの立ち上げにも参加。当時はスピーディーな実装を優先していたため、残された技術負債が多かったという。現状確認と整備からスタートしている。インフラエンジニアとして、どんなことを意識していたのだろうか。
「優先順位としては、やはりシステムの安定性が最優先です。その次にコストを注視していく必要がありますが、大切なのは開発チーム全体のリソースを見定めながら、どこに投資をすれば最大の利益を得られるのか考えること。例えば、高コストのコンテナサービスであっても、自動運転ができて少人数で運用可能なら投資するべきという考え方もあります」
ロードマップをひっくり返したこともあったそうだが、インフラとバックエンド両方の考え方の基礎を崩さず、何とかチームの立ち上げを実現。度重なる議論で実感したのは、ACALLの意見交換しやすい空気感だという。
「ACALLは個々のメンバーが論理的でとても話しやすいです。プロダクトの新機能開発でも、一緒に話し合いながら自分の意見をプロダクトに反映できるのでやりがいがある。機能開発では社内のプラクティス期間が設定されていて、自分がつくったプロダクトをユーザーとして体験します。そのままお客様に提供するのか、改善を進めるべきなのか、重要な意思決定に携われるのはもちろん、投資家の視点も考慮しながら開発を進めていく環境にとても充実感があります」
SREエンジニアとして部署横断で活躍
スマートオフィス向けSaaSとして着実に成長してきた『WorkstyleOS』。6,500社を超える顧客基盤を担っているのがSREチームだ。戴氏は2022年に同チームのエンジニアリングマネージャーに就任している。
「SREはSite Reliability Engineeringの略で、システム全体の安定性を向上させるメインミッションがあります。現状をしっかりと分析して、事業にとって何が必要なのか特定していく。さまざまな改善案やソリューションがある中で、メリット・デメリットのバランスを考え、会社にとって最大の利益を出せるように実行することが求められます。SREチームには、オンプレミス環境の経験があるメンバーもいるため、IoT関連・プロダクト導入時のネットワーク関連のトラブルにも対応できるなど、信頼できるプロフェッショナルがそろっています」
ときには、他のチームや顧客が気づかないような課題を発見することも。プロダクト全体を俯瞰して見られる、SREチームならではの強みである。
「機能的に成り立っていて、お客様に喜んでもらっているプロダクトであっても、SREの観点からすると『この機能がデータベースのリソースを使い過ぎている』などの気付きがあります。その場合、機能を掘り下げてパフォーマンス改善に注力したり、他の切り口を探して機能をバージョンアップさせたり。さらに、運用方法を変えて大幅な改善を目指すなど、ビジネス面でもさまざまな提案ができます」
システム改善のための具体策を提案しながら、各機能の担当チームと連携。各部署からのフィードバックで、視野が広がっていくのがSREエンジニアの魅力だ。
「例えば、ページのレスポンスについて、セールスチームやCREチーム(顧客信頼性エンジニアリング)からフィードバックをもらい、私たちが調査します。調査結果を用いて開発チームと連携し、表示速度を改善させることも。表示速度に関わる要因は複雑ですが、サーバーサイドを考える時にインフラ構成も一緒に考慮した方が良いんです。例えば、トラフィックとリスク分散の観点から、大型サーバーよりも小型サーバーをたくさん持つ方がいいのではないか、夜間に一部のサーバーをシャットダウンした方がいいのではないかなど。機能やサービス、ユーザーの使い方によって選択する対応手法にトレードオフが発生するため、他チームと話し合うことが多いです。その時は、他チームの柔軟な発想に刺激を受けることが多いですね」
また、セキュリティ向上に関する既存顧客の要望をかなえるため、プロダクトの企画、戦略立案から実行を担うPdMチームや、プロダクトの品質を担保するQAチームなどとも連携していく。
「最初から100%作り込むよりも、フィードバックをいただきながらブラッシュアップしていくことが大切だと感じています。計画が急にひっくり返ることもあるので、各チームと一緒にバックアッププランを用意することもありますね。いろいろな部署と話し合いを進めるなかで、ものごとを多角的に見られるようになっていきます」
「出社が偉い」という雰囲気は一切ない
「くらし」と「はたらく」を自由にデザインできる世界を目指すACALLだが、そのビジョンはエンジニアの働き方にどのように反映されているのだろうか。
「フルリモートワークとフルフレックスなのはもちろん、読書会などの書籍費用も補助しています。他にも『いま、あいにいきます旅費(いまあい旅費)』という独自の社内制度があり、自宅から100km以上離れた神戸または東京オフィスに行くための旅費を支給※。普段リモート勤務でリアルに集まることが難しいメンバーと実際に会って、より良い製品へのアップデートを実現できます」
※1往復分の交通費と宿泊費/月を支給。
エンジニア同士のコミュニケーションや技術的なミーティングも活発に行われている。フルリモート環境なので、仕事と生活のバランスを考えながら働く場所を自由に選ぶことができる。
「出社しているメンバーが偉いというような雰囲気は一切ないですね。AWSやGitHubやDatadogなど複数のサービスを活用して、お互いのコードレビューをしたり、クラウド基盤にデプロイしたプログラムの挙動を実際に確認できる体制が構築されています。技術負債をなるべく少なくするために時間軸も考慮しながら、冷静に最善の内容を議論。それぞれ得意分野を持っているので、刺激的な考え方もあり楽しいですね。意見が分かれたときには、みんなで納得のいく結論を導き出し、その意見を出した人が主軸になって担当するかたちで進めています。その際にも、一人ではなくチームの力で課題解決するようにしています」
SREチームでは、毎週1回の読書会も開催。それぞれの強みを横展開しながら、お互いに刺激を与え合っている。
「会社から書籍代が支給されるので、チームでスキルアップするために技術書を購入してみんなで読んでいます。オンラインツールのボード上に付箋を貼ったり、意見を出し合ったりしながら、アイデアを実際の業務に活用していくこともあります。個々の専門領域から自分にはない視点を得られるので、刺激があって楽しいですね」
「誠実さ」がエンジニアを成長させる
2022年に総額10億円の資金調達を実施し、プロダクトの磨き込みと機能のグローバル化を進めているACALL。開発領域の拡充とともに、今後さらに組織を拡大していくことを目指している。
「上場も視野に入れて、成長のために必要なことをどんどん実行していきたい。マネジメントにおいても、中長期的な視点でロードマップを描き仕組みづくりを進めていくことが大切だと感じています。特にSREチームは、事業計画を踏まえた俯瞰的な視点で、システムの安定性・効率性を向上させる設計ができる部署なので、今後さらにやりがいが大きくなっていくのではないでしょうか」
マネージャーとしてもさらなる成長を目指す戴氏。そのなかで最も大切にしているのは、一人ひとりのアイデアを尊重することである。
「SREチームでは、いろいろなバックグラウンドを持ったエンジニアが活躍しています。皆さんプロフェッショナルなので、自分がどんなに考えても思いつかないアイデアが湧いてきます。自分が考えたことがベストではないことも多いので、より良いソリューションを採用しながら、チーム全体で精度を高めていくことを心がけています」
最後に、どのような人材がACALLで求められているのか聞いてみた。
「フルリモート環境なので、お互いを尊重しながら、誠実・素直にコミュニケーション取ることが大前提です。それは私たちの「信頼」を表すバリューの一つ、『Voyage on trust』にもあらわれています。また、ITの世界はアップデートを繰り返しているので、わからないことを積極的に学び、自身を高めようとする人が活躍できると思います。
ACALLは仕事と生活を楽しみながら、ビジネスサイドまで幅広い知見を深められる環境なので、キャリアを高めたいエンジニアにとってはバランスの良い職場だと思います。私たちのビジョン、『くらし』と『はたらく』を自由にデザインできる世界、に共感していただける方にぜひジョインしていただければと思います」
取材・文:VALUE WORKS編集部
会社名 | ACALL株式会社 |
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本社所在地 | 兵庫県神戸市中央区加納町4丁目2番1号 神戸三宮阪急ビル 13階 |
役員 | 代表取締役 長沼斉寿 |
事業内容 | WorkstyleOSの開発および提供 |
設立年月 | 2010年10月 |