面接ドタキャンを回避し、採用を成功させよう!すっぽかされる5つの原因と対策
求人広告の営業時代、父と同様の悩みを持つ経営者や採用担当者を数多く目にしてきた。担当したほとんどのお客さまは面接直前のドタキャンやすっぽかしに頭を悩ませていた。そこで気付かされたのは、「会社の規模感や業種に関わらず、面接のドタキャンは起こりうる」ということだ。いくら人気の業種や職種の面接でも、必ずと言っていいほどすっぽかす候補者がいる。必要な対応をとらない限り、いくら費用をかけて求人広告を掲載しても負のスパイラルは続く。
本記事ではそんな父と同じような悩みを抱える人事や採用担当者に向けて、面接のドタキャン・すっぽかしの原因から対策までを紹介したい。
面接のドタキャン・すっぽかしによるダメージ
企業にとって面接をドタキャンされたり、すっぽかされたりすることは大きなダメージとなる。では、具体的にどんな悪影響を受けることになるのか。主に以下のようなものがあげられる。
面接では経営者や人事、または現場の先輩社員が面接のためにスケジュールを確保している。そのため、面接のドタキャンやすっぽかしをされることにより、面接に関わる社員たちの時間を無駄にすることになる。
面接がキャンセルされることで、選考プロセス全体に遅れが生じる可能性がある。特に欠員補充による採用活動の場合は、充足までの期間が予定よりも長期化する恐れが高くなる。また、他の候補者との面接スケジュールの調整が必要になり、面接に関する工数が増えることで人事や採用担当者の負担が増加する。
社外で面接を実施する場合は、面接会場の準備費用など面接にかかるコストが無駄になるこ。また選考プロセスの遅れにより、社外での面接に参加する人員の調整やリソースが必要になる場合も発生する。
ドタキャンやすっぽかしを繰り返し経験することは、面接を担当する人事や採用担当者のモチベーション低下にもつながる。また、そうしたモチベーションの低下は、組織全体の雰囲気や生産性に悪影響を与える可能性がある。
ドタキャンやすっぽかしが多いと、口コミやSNSなどで企業の選考プロセスや対応への悪評が広がる恐れもある。一度悪い印象を与えてしまうと、将来的に優秀な人材の獲得が難しくなる恐れがある。
以上のように、面接のドタキャンやすっぽかしは、企業にさまざまなダメージをもたらす可能性がある。そのため人事や採用担当者は一刻も早く効果的な対策を講じることで、企業側が受けるダメージを少しでも減らすことが求められる。
面接をドタキャンされてしまう原因
では、企業側にとって大きなダメージとなる面接のドタキャンやすっぽかしはなぜ行われてしまうのか。人事や採用担当者視点だと、つい候補者側の所為にしてしまいがちだが、実は企業側のフォロー不足も原因となっているケースが多い。ここではなぜ候補者が面接をドタキャンやすっぽかしをしてしまうのか。その原因について考えていく。
多くの候補者は面接に不安を感じ、緊張している。「能力やスキルが足りていないのではないだろうか」「圧迫面接されたらどうしよう」など、その理由はさまざまだ。面接対策をする過程で不安が大きくなってしまった場合、プレッシャーで面接をドタキャン・すっぽかしてしまう候補者がいる。
多くの候補者は同時に複数の会社に応募している。応募してからしばらく企業から面接日程について連絡がないと、候補者は他の面接の予定を立てにくくなってしまう。その結果、面接当日に急遽予定が入ったり、他の面接との日程が重なってしまったりすることがあり、ドタキャンやすっぽかしにつながる場合がある。また、企業が面接会場や方法(オンライン・オフライン)について具体的な指示を出さない場合も、応募者は面接に向けた準備ができず、不安になってしまう。
人手不足が進む昨今では、人材の獲得競争が激化している。特に20代・30代前半の若手はひっぱりだこで、特別な経験やスキルがなくても、若いというだけで企業から多くのスカウトが届く。売り手市場で候補者が企業を選びやすくなったからこそ、他に魅力的な企業からオファーがあった場合、ドタキャンやすっぽかしになってしまうケースがある。
企業側の選考プロセスが多段階選考だったり、選考期間が長期にわたる場合も要注意だ。その間に他の企業からオファーや内定を受けとってしまうことがあるからだ。その結果、選考途中であっても企業に対する関心が低下し、次の面接に臨む意欲が失われてしまうことがある。また長期化した選考プロセスは、候補者にとってストレスや不安を与えてしまう。待ち時間が長引くことで、候補者は自分のキャリアプランや人生設計に影響が出ることを懸念し、他の企業への入社を決めてしまう恐れがある。
企業と応募者の間で十分なコミュニケーションが取れていない場合、候補者は企業に対して不信感を募らせる。その結果、面接に対する意欲が低下し、ドタキャンやすっぽかしにつながってしまう。例えば企業からの連絡が遅かったり、質問に対する回答が不十分な場合などだ。企業側による候補者へのフォローアップが不十分なことで、候補者は選考プロセスに対し不安を抱く。コミュニケーション不足によって企業からの熱意や関心を感じられない場合も、候補者は「自分は必要とされていない」と感じ、面接へのモチベーションを失ってしまうことがある。
以上のように、面接のドタキャンやすっぽかしは、企業側のフォロー不足によっても生じていることがある。スムーズな候補者との面接を実現するためには、まず企業側の候補者へのフォロー体制を整えておく必要がある。
明日から人事が実践できる対策
候補者による面接やドタキャンを防ぐためには、具体的に何をしたら良いのか。実際に採用活動を行うにあたり、ここで躓いてしまう人事や採用担当者が多いことだと思う。そこで、まずは押さえておくべきサポートの基本を考えていく。
候補者が面接のドタキャンやすっぽかしをしないように、企業側は候補者へのサポートを強化しなくてはならない。
具体的には以下の情報を提供することが重要だ。
・面接日程の確認
・面接前に必要となる準備などのアドバイス
・面接日前日、当日のリマインドメールの送信
・面接後のフィードバック
また、面接のドタキャンやすっぽかしの原因となる、候補者の不安や緊張を和らげるためにも、面接日当日まで候補者とのコミュニケーションを密にとることも欠かせない。面接に向けて不安はないか相談にのり、会えることを楽しみにしていると歓迎の気持ちを伝えるなど、細かいフォローの積み重ねにより、候補者の面接への意欲が高まり、企業側も優秀な人材の確保や採用成功率を上げることができる。
選考プロセスについても今一度見直してほしい。これまで必須としてきた選考過程は、そもそもなぜ必須なのか。本当に必須でなければならないのか。新たに変更すべき過程はないのかなど、候補者から不利益と捉えられてしまう工程がないかを改めて確認し、時代に沿った魅力ある企業としてスムーズな採用活動を実現しよう。
候補者の応募後に、選考の一環として履歴書や職務経歴書などの書類提出を求めるケースがあるが、それは候補者の面接への意欲を下げてしまう行為だ。なぜなら、複数企業への応募が当たり前となっているこの時代に、いちいち書類を送ることは候補者にとって手間でしかないからだ。「データの送付で良いのに」と妥協しているつもりの人事や採用担当者もいると思うがそれは妥協ではない。基本的に今の応募方法はスマートフォンからの応募となるため、データの送付でも候補者の重荷となってしまうのだ。
そのため、求人広告を使って採用活動を進めている場合は、登録されたレジュメで書類選考を進めることをオススメする。求人広告への応募は基本的に個人情報の登録が必須となるサービスが多いためレジュメで情報確認をし、足りない情報は事前に電話で確認する。個人情報の確認ができない場合は、電話面談と称してヒアリングを行うのが良いだろう。
求人広告を掲載するお客さまに対し、オススメしていたのは“面接1回”もしくは“2回まで”である。面接回数が多ければ多いほど候補者の精神的な負担や、交通費などの費用面の負担が大きくなるからである。面接前に「この企業、面接回数が多いからしんどいな……」と想わせてしまうと、面接のドタキャンやすっぽかしにつながることになる。実際にわたしの過去のお客様で面接を3回と指定した企業や、指定もなく選考期間中にズルズルと面接回数が増えてしまった企業などは、ドタキャンやすっぽかしに合うケースが多かった。
コロナ禍による影響で今や主流となっているオンライン面接。しかしながら、「ZoomやTeamsの使い方がよくわからない」「Webだと候補者の雰囲気がよくわからない」という理由でいまだに全て対面で面接する企業も多い。
しかし、オンライン面接ほど選考過程を効率化できる手段はない。わたしがオススメするのは、“一次面接をオンライン面接で実施すること”だ。なぜかというと、一次面接をオンラインで実施することで、候補者側のプレッシャーを少なからず緩和することができるからだ。
企業側にとっても場所の確保が必要なく、遠方にいる社員も同席できるようになるため、リソースの確保がしやすくなる。候補者と企業のフィーリングが合うかどうかの判断もある程度オンラインの場でできるため、その後の選考をスムーズに進められるようになる。
連絡手段の多様化とタイムリーな対応も欠かせない。電話、メールだけではなく、ターゲットによってはSNSなど、年代に応じて候補者が利用しやすい連絡手段で連絡をとることが大切だ。
また、応募後の初回連絡や面接日程の調整、その他面接前後のやりとりなどについては、できるだけタイムリーに対応することが求められる。そのため、人事や採用担当者が候補者情報の確認や連絡をとるデバイスとしては、普段使用する社用携帯や私用携帯が望ましい。パソコンだけではなく携帯に通知がくるように設定をしておくことで、候補者へのタイムリーな対応を実現することができる。
事前に連絡があった場合「いつまでに返答をする」と伝えておくことも有効だ。候補者はいつ連絡が返ってくるのかソワソワと待ち続けなくてよくなるため、そうした一言を事前に伝えておくだけで、企業の面接に望む意欲を高めることができる。
採用活動の期間中も企業ブランド向上に向けた取り組みを行うことは欠かせない。SNSなどをつかって企業の魅力や特徴をアピールしたり、従業員の働きやすさや福利厚生などの最新情報を公開していく。そうすることで、候補者がもつ企業への信頼性や志望意欲を下げることなく面接までつなげることができる。
面接ドタキャン対策の成功事例
わたしが担当してきたお客様のなかで、人事や採用担当者の取り組みを変えただけで面接率が大幅にUPしたという事例をいくつか紹介していく。
空調設備を施工する施工管理会社を担当した時、その企業の課題は前年度の面接実績が0人ということだった。採用費を工面してありとあらゆる求人媒体へ掲載したが、応募が入っても誰も面接に繋がらなかったという。「定年退職者も出るため、今回採用できなければ売上が下がってしまう」そんな窮地に立たされている企業だった。
候補者の対応についてヒアリングしたところ、人事担当者の対応は以下のような内容だった。
・候補者情報はパソコンで管理
・応募後5日~7日以内の返信
・事前の履歴書、職務経歴書提出が必須
・面接担当が幹部や代表となるため、面接日次の調整に3日以上時間がかかる
・面接回数が2回~3回ですべて対面面接
洗い出しをしてみると、あまりの対応に人事担当者も絶句。「これじゃあ採用できないよね……」と自覚していただけたので、つぎの取り組みを提案した。
・候補者情報はすべてスマートフォンで管理、対応
・応募後1時間以内の返信をマストにする
・事前書類提出はなし
・応募2日以内に候補者へ電話し、30分程度電話面談を実施
・面接担当は時間の都合をつけやすい人事で行う
・事前に電話面談を実施するため、対面での面接回数は1回とする
すべての提案を受け入れていただき、人事が徹底して実行したところ、面接率は80%まで劇的にアップ。面接数が増えたことで想定以上の採用者を獲得することができた。人事担当者自身も、どう対応したら面接に結びつくのかコツを掴むことができたようで、最後の方には応募後5分でとにかく返信をしまくっていたという。
このように選考プロセスを見直し、スピード対応を心がけることで面接のドタキャンやすっぽかしを防ぎ、面接数を大幅に改善することができる。
担当したある中古車販売企業では、求人媒体に出しても半年近く営業職の採用ができておらず、なかでも面接の当日すっぽかしが非常に多いことが課題だった。自動車販売の営業は市場的にも採用が非常に難しい職種だ。なぜかというと、自動車に興味をもつ若手が減っていることと、多くの求職者がブランド認知度の高い大手自動車販売店への就職を希望するからだ。中小で、かつ中古車販売となると差別化できるポイントはかなり限られてしまう。
そこで、候補者へのフォローアップを差別化のポイントとして活用してみてはどうかと提案。面接を希望する候補者に対し電話もしくはメールで連絡をとり、面接日当日に飲みたい飲み物を聞くのだ。特別な飲み物は必要ない。自販機やコンビニで販売しているお茶やコーヒー、ジュースで全く構わない。“事前に候補者の指定したものを用意することを伝えておくこと”が重要になるのだ。
そうすることで候補者自らが指定をしてしまったがために、「面接に必ず行かなければならない」という意識を芽生えさせることができる。実際に人事担当者が実行すると、面接数が1件1件確実に伸びてきたとのことだったので、ぜひ試してみてほしい。
面接数を増やし、採用を成功へ導こう
面接ドタキャンを防ぐ方法に正解はないが、上述したような候補者ファーストの対応により改善につながるはずだ。腹をくくり面接数の改善に積極的に取り組むことで、採用成功にも近づく。面接ができなければ採用はできない。さまざまなアイデアを試し、ぜひ面接数を増やしてほしい。
【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。
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