コラム

RJP(リアリスティックジョブプレビュー)って何?事前の情報共有で早期離職を防ごう

期待に胸を膨らませて入社したけれど、いざ就業してみたら思っていたのと違った……。そんな入社後のギャップは珍しくありません。実際、エン・ジャパン株式会社の調査によると、入社前後でギャップを感じた人は約8割にものぼると発表されています(出典:エン・ジャパン「2600人に聞いた「就業前後のギャップ」調査」)。そのギャップが理由で、早期退職につながるケースも少なくありません。

この問題を解決する手段として注目されているのが、「RJP(リアリスティックジョブプレビュー)」です。RJPとは、入社希望者に、あらかじめ職場や業務のリアルな情報を公開することです。これにより、職場の実態を知って了解したうえで入社することができ、就業後もギャップを感じる機会を減らすことができます。この記事では、RJPの基礎知識や、実際にどのように導入するかなどを解説します。早期退職に悩んでいたり、採用後のギャップを減らしたいと考えている人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください!

RJP(リアリスティックジョブプレビュー)の基本とメリット


まずはRJPとは何か、改めて理解しましょう。RJPとは、入社前にあらかじめ、メリット・デメリットを含めた職場や業務の情報を開示することです。アメリカの産業心理学者であるジョン・ワナウスは、RJPには主に4つの効果があるとしています。
 

セルフスクリーニング効果

求職者が自主的に、企業との適合性を判断できる

ワクチン効果

事前に職場のリアルな情報を知ることで、入社後のショックをできる

コミットメント効果

事前にリアルな情報を開示してくれる企業の誠実さを感じて、採用者の企業への帰属意識が高まる

入社後の役割自覚効果

企業が求職者に何を期待しているかを明確にできるため、入社後に役割を実感しやすくなる
 
RJPを導入することで採用の母集団が減るのではと心配する方もいるかもしれませんが、企業が採用したいと思う人材は減らないことはワナウスの検証によって実証されています。むしろ、RJPによってリアルな企業の姿を知ることができ、「この企業と自分は相性がよいのではないか」と感じた人が応募してくれる確率も上がるでしょう。
 
またRJPの一貫で、応募者にリアルな職業体験をしてもらったり、職業見学をしてもらうことで、入社後も職場の雰囲気に慣れる時間を短縮でき、実務にも取り掛かりやすくなります。
 

RJP導入の手順と実施のポイント


ジョン・ワナウスの研究では、RJP導入のポイントとして、下記の点が上げられています。
 

RJPの目的と、誠実な情報提供を行うことを応募者に説明する

RJPは職場のメリットだけでなくデメリットも説明することになります。ですが、それは応募者とのギャップを減らす目的の前向きな行為であることは理解してもらいましょう。提供する情報がリアルなものであることを最初に伝えておくことも重要です。

信用できる情報を精査し、適したメディア・方法を通して情報を提供する

開示する情報は、社員からアンケートをとったり、現場と経営層両方の意見を聞くなどして、公平で信用できる内容にしましょう。RJPを行う方法は、社員インタビュー、カジュアル面談、職業体験、職場見学など、RJPを行う方法はさまざまです。自社の業種や伝えたいメリットやデメリットを考慮して、どのような形でRJPを行うか設計する必要があります。

現場の社員によるリアルな情報を提供する

上記のポイントとも繋がりますが、単に経営層から見ている企業の姿だけを伝えるのでは情報に偏りが出てしまいます。大切なのは現場の社員の意見です。従業員がどんなやりがいを感じているのか、逆にどんな点をハードに感じているのか、などを把握し、応募者に開示しましょう。

企業の現状を正確に把握し、よい情報と悪い情報との開示のバランスを考慮する

自社が抱えている課題や、ミッション・ビジョン・バリューを精査し、現状の業務や職務環境のメリットとデメリットを洗い出しましょう。もちろんメリットを応募者に伝えることは重要ですが、RJPはデメリットも伝えなくてはなりません。デメリットをごまかすような言い方はせず、なぜそのデメリットが発生しているか、その解決にどのように取り組むか、きちんと説明しましょう。

上記の情報開示を採用活動の早期段階で行う

RJPは採用活動の初期から行うほうが効果が高いとされています。よい情報だけを誇示した求人情報を見て応募してきた人たちに後からリアルな情報を開示して「求人情報と違うじゃないか」とマイナスなイメージを持たれてしまうのは悪手です。初期から、「よい面も悪い面も含めて伝える誠実な企業」である姿勢を示すことが重要でしょう。たとえば、採用情報を掲載する際に社員のリアルなインタビューを掲載して、その後、面談や見学などでより理解を深めてもらう、といった流れなどが想定できます。
 

RJPで社員満足度と生産性を向上させよう


RJPを実施することで採用活動初期から応募者も納得して選考に臨めますし、企業側も自社に合う採用母集団を形成することができます。特にZ世代などの若い世代は、給与や出世を誇示されるよりも、ストレスの少ない環境でメンバーと協力しながら成長する働き方を好む傾向があるので、RJPは有効な手段といえるでしょう。
 
またRJPを取り入れることで、応募者は実際に入社したあともギャップを感じずに満足度高く働くことができます。そして企業への理解も深まっているため、生産性も初期から高く発揮できます。早期退職が多く悩んでいる企業や、若い世代の採用に悩んでいる企業は、ぜひRJPを導入して相互理解を深める採用活動を実現しましょう!
 
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【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。最近魚の三枚おろしができるようになりました!地道に筋トレをしています。
 
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