人材ポートフォリオとは?定義や作成・運用のポイントについて徹底解説!
この記事では人材ポートフォリオの定義や目的、作成方法、活用事例、運用・管理方法、人材戦略との関係などについて解説していきます。ぜひこの記事を参考に、自社の人材ポートフォリオを有効に活用してください!
人材ポートフォリオとは
人材ポートフォリオとは社内のどんな部署に、どんな経験・スキル・適性を持った人が、どの程度いるのか、自社の人的資本の構成内容を可視化したものです。従業員の経歴、スキル、能力、実績などの情報を把握できるので、今後どのような人材がどれだけ必要になるか人事戦略の立案に役立ちます。
人事マネジメントに役立つ情報も人材ポートフォリオから収集できるため、従業員の能力開発やキャリア形成にも有用です。適材適所の配置にも役立つため、従業員のエンゲージメントを高める効果も期待できるでしょう。
人材ポートフォリオの作成方法
では、人材ポートフォリオを作成する際にはどのようなことに気をつければよいでしょうか。ここでは、具体的な手順と注意点について解説します。
人材情報の収集方法
人材ポートフォリオを作成するためには、まず従業員の情報を収集する必要があります。人事データベースや評価システムなどの既存の情報に加え、従業員へのアンケートやインタビューを実施することでより詳細な情報を得ることができます。例えば専門スキルや資格、過去のプロジェクト経験、キャリアの志向性、性格・価値観などを分析することが重要です。
人材情報の整理と分析方法
収集した情報は、スキルマップやキャリアマトリクスなどの形で整理します。スキルマップは従業員のスキルをレベル別に可視化するツールです。例えばプログラミング言語や営業スキルなどを5段階で評価し、一覧表にまとめます。キャリアマトリクスは従業員のキャリアステージと求められる能力を対応させたものです。これにより従業員のキャリア開発の方向性を明確にすることができます。
人材ポートフォリオ作成の注意点
人材ポートフォリオを作成する際は、客観性と公平性に配慮することが重要です。評価基準を明確にし、複数の評価者による多面的な評価を行うことが望ましいでしょう。また、個人情報の取り扱いには十分注意し従業員のプライバシーを守ることが求められます。
人材ポートフォリオを運用・管理するポイント
人材ポートフォリオは作成してからも継続的に運用・管理することが重要です。ポイントについて詳しく解説します。
定期的な情報更新
人材ポートフォリオを常に最新の状態に保つためには定期的な情報更新が必要です。スキルや経験は日々変化するため、少なくとも年1回は情報を更新することが望ましいでしょう。更新方法としては、従業員自身に更新を促す自己申告制と、人事部門が中心となって更新する方法があります。自己申告制の場合、従業員のモチベーション維持に役立つ反面、情報の偏りが生じるリスクがあります。人事部門主導の場合、客観性は高まりますが現場の実情を反映しにくいというデメリットがあります。両者のバランスを取りながら自社にとって適切な更新方法を模索しましょう。
経営層や関係部署との密なコミュニケーション
人材ポートフォリオを効果的に活用するためには、人事部門だけでなく現場の管理職や経営層との連携が欠かせません。急な欠員が出ていざ配置の見直しが必要になっても、現場の判断だけで異動はできないケースもあるからです。急な欠員や経営・人事戦略に基づいた長期的な人材育成を実現させるためにも、定期的な会議やレポートを通じて、関係部署との情報共有を図りましょう。
目的と活用方法の明確化と共有
人材ポートフォリオの目的を明文化し、戦略的な人材配置や育成への活用を全社に共有する
ことも大切です。各部門での具体的な活用方法を示し、人材情報の見える化による組織力強化を図ります。経営層から現場まで一貫した理解と活用を促進することで、より円滑な人材マネジメントが可能になります。
情報収集・更新プロセスの標準化と効率化
人材情報の収集・更新業務フローを標準化し、担当者の作業負荷を軽減することも重要です。その際、定期的な情報更新サイクルを設定し、最新の人材情報を維持しましょう。社内システムとの連携により、情報の自動更新や一元管理を実現することで、業務効率化と情報精度向上を両立できます。
活用状況のモニタリングと継続的改善
人材ポートフォリオの活用状況を定期的に確認し、運用上の課題を炙り出すことも必要です。その際は、現場からのフィードバックを収集し、システムの使いやすさや情報の有用性を評価します。改善点を抽出し、システムの機能強化やプロセスの見直しを継続的に行うことで、効果的な活用を促進しましょう。
人材マネジメントの成果可視化と経営層報告
人材ポートフォリオを活用した人材マネジメントの成果を定量的に評価し、経営層に報告することも欠かせません。その際、戦略的な人材配置による業績改善や、育成施策の効果など、具体的な成果を可視化し、人材マネジメントの重要性を明示します。経営層の理解と支援を得ることで、人材ポートフォリオの更なる活用と発展を図りましょう。
運用・管理に関する教育・研修の実施
人材ポートフォリオの運用・管理に関する教育・研修を実施し、現場の理解を深める取り組みも重要です。その際、システムの操作方法だけでなく、人材情報の分析・活用方法についても学ぶ機会を提供します。実践的な演習を通じて、人材ポートフォリオの有効性を実感してもらい、現場での積極的な活用を促しましょう。
人材ポートフォリオに関する課題と対策
人材ポートフォリオは人事戦略の実行や最適な人材配置に役立ちますが、導入・運用する上で課題があることも事実です。ここではその課題と対策について解説します。
人材ポートフォリオ導入時の課題と対策
人材ポートフォリオを導入する際の課題としては、従業員の抵抗感や、評価の客観性の担保などが挙げられます。従業員に対しては人材ポートフォリオの目的や活用方法を丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。評価の客観性については、複数の評価者を設定したり評価基準を明確化したりすることで対処しましょう。また、人材ポートフォリオの導入には一定のコストがかかるため、費用対効果を検討し経営層の理解を得ることも必要です。
運用・管理における課題と対策
運用・管理における課題としては、情報の鮮度の維持や人材ポートフォリオの形骸化などが挙げられます。情報の鮮度維持については、定期的な更新プロセスを確立し徹底することが求められます。形骸化を防ぐためには、人材ポートフォリオの活用状況をモニタリングしてPDCAサイクルを回すことが重要です。また、人事部門の業務負荷増大にも注意が必要です。
人材ポートフォリオで、適材適所の人員配置を
人材は組織の最も重要な資産であり、その力を最大限に引き出すことが組織の競争力の源泉となります。人材ポートフォリオはその実現に向けた強力なツールです。人材ポートフォリオを効果的に活用するためには、トップのリーダーシップと現場の理解、そして人事部門の専門性が求められます。人材ポートフォリオを単なるツールではなく、組織文化の一部として定着させることが重要です。
人材ポートフォリオを通じて従業員一人ひとりの可能性を見出し、育み、活かしていくことで、組織の成長が加速するだけでなく従業員のモチベーションもアップするでしょう。ぜひこの記事を参考に、自社に合った人材ポートフォリオの在り方を検討し、実践していただければ幸いです!
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。
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