コラム

アンコンシャス・バイアスとは? 組織の多様性を阻む見えない障壁を克服しよう

人は誰もが、無意識のうちに偏見を持っています。これは「アンコンシャス・バイアス」と呼ばれ、性別、人種、年齢など、さまざまな属性に基づいて人を判断してしまう傾向のこと。アンコンシャス・バイアスは、個人の意思決定や行動に大きな影響を与えるだけでなく、組織全体のダイバーシティとインクルージョンを阻む要因にもなり得ます。本記事では、アンコンシャス・バイアスについて理解を深め、克服するための方法を解説。多様な組織づくりを目指したい方は、ぜひお読みください。

アンコンシャス・バイアスとは?

端的にいうと「無意識の思い込みや偏見」のことをいいます。例えば、「あの人はこうだから」「普通はこうだから」とさまざまな物事を決めつけたり、押しつけたりしてしまうことはありませんか?
 
あるいは、「男性は外で仕事を頑張り、女性は家事をするもの」「自分たちの時代はこうだったのに、最近の若い人は」「新人なんだから、もっと新人らしく振る舞いなさい」など、昭和の価値観を押し付ける人を目の当たりにしたことはありませんか?
 
アンコンシャス・バイアスとは、そういったこれまでの経験や見聞きしたことと照らし合わせて、自分なりに解釈してしまう偏ったものの見方になります。

アンコンシャス・バイアスが注目されるようになった背景


昨今、グローバル化が進み、国境を越えたビジネスが当たり前となりました。多様な人材が同じプロジェクトや組織で働くようになり、無意識の偏見がもたらす悪影響が次第に目立つようになったことが一つのきっかけです。
 
そして、人種や性差別などの社会問題や社会的な公正に対する関心の高まりを受けて、組織におけるダイバーシティ&インクルージョンの重要性が広く認識されるようになりました。こうした社会的背景を受けて、個人や組織がアンコンシャス・バイアスに向き合い、それを克服するための取り組みが求められるようになったのです。

アンコンシャス・バイアスの種類

アンコンシャス・バイアスにはさまざまな種類があり、代表的なものとして、外見バイアスと確証バイアスが挙げられます。外見バイアスとは、容姿や身体的特徴に基づいて人を判断する傾向のこと。例えば、面接官が無意識のうちに、魅力的な容姿の応募者を高く評価してしまうことなどが該当します。
 
一方、確証バイアスとは、自分の信念や仮説を支持する情報ばかりに注目し、それに反する情報を無視または過小評価してしまう傾向を指します。例えば、「女性はリーダーに向いていない」という固定観念を持っている人は、その考えを裏付ける情報ばかりを集め、反例となる情報を無視してしまう恐れも。
 
他にも、
・似た属性を持つ人を好む類似性バイアス
・初めに得た情報に引きずられる アンカリング効果
・特定のグループに対する固定観念を持つステレオタイプバイアス
など、様々な種類のアンコンシャス・バイアスが存在します。

アンコンシャス・バイアスが組織に与える影響


アンコンシャス・バイアスは、組織のあらゆる場面で影響を及ぼします。詳しく見ていきましょう。

採用プロセスへの影響

採用プロセスにおいて応募者の能力や経験よりも、無意識の偏見に基づいて判断が下されるリスクも。無意識の偏見により、多様な人材の獲得機会を逃してしまうかもしれません。

従業員評価への影響

評価や昇進の場面でも、アンコンシャス・バイアスが公正な判断を妨げる可能性があります。特定のグループに対する偏見により、本来認められるべき業績が正当に評価されない恐れがあるのです。

パフォーマンスへの影響

アンコンシャス・バイアスは、イノベーションやパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。多様な視点やアイデアが尊重されない環境では、創造性が抑制され、同調圧力が強まる傾向も。また、偏見に基づく不適切な行動は、従業員のモチベーションを低下させ、生産性の低下につながる恐れもあります。

企業イメージへの影響

ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みが不十分な企業は、社会的信頼を失う恐れがあります。優秀な人材の獲得や顧客の獲得にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。

自分のアンコンシャス・バイアスに気づく方法


アンコンシャス・バイアスを克服するためには、まず自分自身のバイアスに気づくことが重要です。そのためには、自己認識を深めるトレーニングが有効でしょう。例えば、「Implicit Association Test (IAT)」と呼ばれるオンラインテストを受けることで、自分の無意識の偏見を知ることができます。また、日常的な言動を振り返り、ステレオタイプ的な表現や判断をしていないか点検することも大切です。
 
他者からのフィードバックも、自分がどんな偏見を持っているのか気づくためには他社からフィードバックを受けることも重要です。多様なバックグラウンドを持つ同僚や上司から、自分の言動について率直な意見を聞くことで、気づかなかった偏見に気づくことができるかもしれません。
 
また、多様性トレーニングへの参加も効果的です。専門家による講義やワークショップを通じて、アンコンシャス・バイアスについての理解を深め、それを克服するための具体的な方法を学ぶことができます。

アンコンシャス・バイアスを克服する組織的な取り組み

アンコンシャス・バイアスを克服するためには、個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが不可欠です。まず、採用プロセスの見直しが挙げられます。応募書類の匿名化や、面接官の多様化などを通じて、バイアスの影響を最小限に抑える工夫が必要でしょう。また、採用基準を明確化し、客観的な指標に基づいて評価を行うことも重要です。
 
評価制度の改善も欠かせません。業績評価の基準を明確にし、主観的な判断を排除することが求められます。また、評価者に対して、アンコンシャス・バイアスについての教育を行い、公正な評価を行うための意識づけをすることも大切です。
 
さらに、インクルーシブな組織文化の醸成も重要な取り組みの一つです。多様性を尊重し、誰もが自分らしく働ける環境を整備することで、アンコンシャス・バイアスの影響を軽減することができます。具体的には、社内コミュニケーションにおいて、インクルーシブな言葉遣いを推奨したり、多様性を祝福するイベントを開催したりすることなどが考えられます。

偏見を克服し、多様な組織をつくろう


アンコンシャス・バイアスは、誰もが持つ無意識の偏見であり、組織の多様性と包摂性を阻む大きな障壁となり得ます。しかしバイアスに気づき、克服するための努力を重ねることで、偏見を克服できるはずです。個人としての自己認識を深めると同時に、組織全体でダイバーシティ&インクルージョンを推進していくことが重要になるでしょう。
 
アンコンシャス・バイアスへの取り組みは、一朝一夕では成し遂げられません。しかし、継続的な努力により、多様な人材が活躍できる組織を作り上げていくことができるはずです。その結果、イノベーションを生み出し、社会から信頼され、持続的な成長が可能になります。アンコンシャス・バイアスという見えない障壁を乗り越え、真のダイバーシティ&インクルージョンを実現しましょう!
 
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