コラム

コンピテンシーについて簡単に解説!注目される背景や活用のメリット・ステップを紹介

現代のビジネスシーンでよく耳にする「コンピテンシー」という言葉。具体的にどのような意味をもつのか、なぜ注目されているのか知らない人事や経営者も多いでしょう。本記事では、組織にとってコンピテンシーがなぜ重要なのか、詳しく解説していきます。

コンピテンシーとは?

コンピテンシーとは仕事のパフォーマンスが高い人に共通している行動特性。英語で「能力」「力量」「技能」「適性」などの意味があり、人材育成や面接、評価などで活用されています。高い成果をあげている従業員の行動や思考を分析することで、コンピテンシーが浮き彫りになっていきます。ただ、業務内容や役割によって期待される成果が異なるので、一般的に職種や役割ごとにコンピテンシーは設定されます。従業員のパフォーマンス評価や適切な人材の選定、育成において重要な指標となり、企業の人材管理や組織の成功にも大きく寄与します。

コンピテンシーが注目される背景


コンピテンシーが注目される背景には、どんな要因があるのでしょうか。

知識基盤社会への移行

現代社会では単なる知識や技術だけでなく、それらを実践的に活用する能力が重要視されるようになりました。コンピテンシーは、知識や技術を実際の場面で適切に発揮できる能力を表す概念として注目されています。

グローバル化の進展

グローバル化が進む中で、国際的に通用する能力が求められるようになりました。コンピテンシーは、言語や文化の違いを超えて、共通の尺度で評価できる能力として注目されています。

人材育成の重要性が高まっているため

企業が持続的な成長を実現するためには、優秀な人材の確保と育成が不可欠です。コンピテンシーは、人材の能力を客観的に評価し、育成するための指標として活用されています。

教育改革の必要性が高まっているため

急速に変化する社会に対応するためには、従来の知識偏重の教育では不十分であり、実践的な能力の育成が求められています。コンピテンシーは、これからの時代に必要な能力を明確化し、教育改革の方向性を示す概念として注目されています。

人工知能の発展

人工知能の発展に伴い、単純作業は機械に代替されつつあります。一方で、高度な判断力や創造力、対人スキルなどの人間ならではの能力の重要性が高まっています。コンピテンシーは、人間の強みを生かせる能力を表す概念として注目されています。

コンピテンシーを活用するメリット


続いて評価や面接にコンピテンシーを活用するするメリットについて詳しく見ていきましょう。

明確な評価基準の設定

コンピテンシーを活用することで、評価基準が明確になります。従業員一人ひとりの行動やスキルが具体的に定義されるため、何を目指して取り組むべきかをはっきりさせることが可能です。従業員も自分の強みや改善点を明確に理解できるため、成長の方向性を見つけやすくなります。

モチベーションの向上

具体的な目標や評価基準があることで、従業員のモチベーション向上にもつながります。自己成長の成果が評価されると感じることで、日常業務に対する意識も変わり、生産性も望めるでしょう。個々の成果が組織全体の目標にどのように貢献しているかが見えやすくなり、チーム全体の士気も高まるはずです。

効果的な人材育成

コンピテンシーを活用することで、どの部分を強化すればよいのかが分かりやすくなるため、より効果的な人材育成が可能です。研修やトレーニングの効果も高められ、短期間でのスキルアップが実現しやすくなるでしょう。

適材適所への配置

コンピテンシーに基づいた評価を通じて各従業員の強みや得意分野が明確になるため、適材適所の人材配置が可能です。各人材を最適なポジションに配置することで、組織全体の効率も上がり、従業員の満足度向上も実現できます。

組織の一体感の向上

共通の評価基準を持つことは、組織全体に一体感を生み出します。全社員が一つの目標に向かって取り組むことで、チームワークが強化できるでしょう。また、コンピテンシーモデルは、社員に対して組織のビジョンやミッションに合致した行動を促すため、ビジネス目標の達成にも大きく寄与します。

コンピテンシー活用のステップ


ではコンピテンシーを活用するにはどうすればいいのでしょうか。具体的なステップについてみていきましょう。

ステップ1:目的の明確化

はじめに、コンピテンシーを活用する目的を明確にしましょう。組織としてどのような成果を期待しているのか、社員にどのような成長を望んでいるのかを具体的に設定します。

ステップ2:必要なコンピテンシーの特定

次に、組織の目標に基づいて必要なコンピテンシーを特定します。例えば、リーダーシップ、問題解決能力、およびコミュニケーションスキルなどがあげられるでしょう。各コンピテンシーを具体的に定義し、評価基準を整備します。

ステップ3:トレーニングと開発

特定したコンピテンシーに基づいて、社員のトレーニングと開発プログラムを設計します。ワークショップやオンラインコース、メンタリングプログラムなど、さまざまな手法を組み合わせることで、効果的な学習を実現できるでしょう。

ステップ4:評価とフィードバック

トレーニングが進んだら、社員のコンピテンシーを評価し、フィードバックを行います。定期的な評価システムを導入し、各社員がどの程度目標に達しているのかを把握しましょう。フィードバックをする際には、具体的で建設的に伝えることが大切です。

ステップ5:継続的な改善

コンピテンシーは活用するだけで完了するものではありません。定期的に評価し、必要に応じて見直しや改善を行うことが大切です。社員からのフィードバックも積極的に取り入れ、より良い制度へと進化させましょう。

コンピテンシーを活用する際の注意点


コンピテンシーを活用する際には、以下の点に注意をしましょう。

職務ごとにカスタマイズする

コンピテンシーを効果的に導入するためには、職務ごとにカスタマイズすることが不可欠です。すべての職務に同じ基準を適用するのではなく、それぞれの役割に必要なスキルや行動を明確にし、具体的な指標を設定することが求められます。

段階的に導入する

コンピテンシーの活用は一度に全社員に対して行うのではなく、段階的に進めることが大切です。最初に小規模なチームや特定の部署で試験的に運用し、結果をみてみましょう。試験的な運用を挟むことで、全体で運用する前に問題点の把握や改善をすることができ、より良い形で全社に展開することができるでしょう。

データの一貫性を保つ

コンピテンシー評価に用いるデータの一貫性を保つことも重要です。同じ基準で評価されたデータが一貫して収集されないと、評価結果の信頼性が低下し、従業員の納得感も得られません。評価者間で基準や方法を統一し、定期的なトレーニングやワークショップを通じて評価の質を向上させることが求められます。

バイアスを避ける

人間の評価には無意識のバイアスが入り込むことが少なくありません。従業員の評価が不公平になると、モチベーションの低下や職場の対立を招く可能性があります。バイアスを避けるためには、評価の透明性を確保し、公正な基準で評価を行うことが必要です。

コンピテンシーの活用で組織の力を引き出そう


コンピテンシーの活用は、個々の従業員の成長を促すとともに、組織全体の生産性向上と一体感の強化にもつながります。明確な評価基準と効果的な人材育成により、組織のパフォーマンスを最大化することができるでしょう。組織としてより高い成果を追求するためには、コンピテンシーの活用をぜひ検討してみてください。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

\オウンドメディア制作、採用広報に興味をお持ちの方はこちらをクリック!/