コラム

タレントプールとは?注目される理由とメリット、構築のポイントやツールについて解説

タレントプールという言葉をご存知でしょうか?現代の労働市場において、タレントプールは人材管理の新しいキーコンセプトとして注目されています。本記事では、タレントプールの基本的な概念から注目される背景、実際の構築方法まで丁寧に解説します。これからの人材戦略に役立つ情報を提供いたしますので、人事担当者の方々はぜひご一読ください。

タレントプールとは?

優秀な人材(タレント)の情報を蓄積する仕組みです。採用を辞退した内定者や、何らかの理由で不採用となった候補者など、現時点では採用に至らなかったものの、自社にマッチした人材の情報をデータベース化しておくことで、将来的な採用機会を逃さないようにします。

タレントプールが注目される背景


タレントプールが注目されるようになった詳しい背景について、見ていきましょう。

人材獲得競争の激化

タレントプールが注目される背景には、まず人材獲得競争の激化があげられます。近年、少子高齢化の進行に伴い、労働人口は年々減少しています。企業は限られた候補者の中から最適な人材を確保しなければなりません。一度不採用となった候補者にも再度アプローチする必要が出てきており、タレントプールが重要視されているのです。

ミスマッチによる早期離職

採用された人材が企業や職務に適合せず、短期間で離職するミスマッチが多発していていることも理由のひとつです。ミスマッチが発生すると、再び採用活動をやり直す手間やコストがかかるため、企業にとって大きな損失となります。タレントプールを活用しておけば、候補者のスキルや適性を事前に評価できるため、早期離職のリスクを軽減できるのです。

働き方の多様化

昨今では、リモートワーク、フレックスタイム、副業、契約社員など、従来のフルタイム勤務にとらわれない多様な働き方が広く普及しています。そのため、さまざまな雇用形態やスキルを持つ人材を柔軟に採用する仕組みを整えることが求められていることも理由にあげられます。

プロフェッショナル人材の不足

技術革新や業界の複雑化が進む中で、特に技術職や専門職においてプロフェッショナル人材の不足が深刻化しています。このような人材は市場に出回ることが少なく、競争倍率も高い状況です。そのため、採用のチャンスを増やす方法としてタレントプールへの期待が高まっています。

人的資本経営の浸透

企業が従業員を単なる労働力とは見なさず、戦略的な資産として捉え、人的資本の最大化を目指す「人的資本経営」が普及したことも注目されている理由のひとつでしょう。持続的に価値を生み出す人材を確保し、維持することの重要性が高まる中、将来の人材ニーズに対応するための効果的な戦略として注目されています。

タレントプールを活用するメリット


タレントプールを活用することで得られるメリットには、なにがあげられるのでしょうか。

採用時間の短縮

タレントプールを活用する最も大きなメリットには、採用プロセスの時間を大幅に短縮できることがあげられます。予め選定された候補者がすでにリストアップされているため、急な人材ニーズが発生した際にも迅速に対応することが可能です。

優秀な人材の確保

タレントプールを活用することで、常に優秀な人材と接触できる状態を保つことができます。また、他の企業に人材を先取りされるリスクを回避し、競争力のある組織を維持することが可能です。

採用コストの削減

採用活動には多くのコストがかかりますが、タレントプールを活用することでコストを大幅に削減することができます。広告費用や面接にかかる時間など、さまざまなコストを節約できるため、より効率的な採用を実現できるでしょう。

企業ブランドの強化

タレントプールを通じて定期的に候補者と連絡を取り合うことは、企業のブランドイメージの強化にもつながります。候補者との関係を築き、信頼を得ることで、長期的な採用活動においても有利に働くでしょう。

より適切な人材配置

タレントプールには多くの候補者が登録されているため、企業のニーズに最も適した人材を選定することが容易になります。採用後のミスマッチも減少することから、より効率的で生産的な環境をつくることが可能です。

タレントプールの構築方法


タレントプールを効果的に構築するためには、どうしたら良いのでしょうか。具体的な方法について見ていきましょう。

目標設定とニーズの特定

タレントプールを構築する際には、まず組織の目標を明確にし、目標を達成するために必要なスキルや経験をもつ人材のニーズを特定することが重要です。新しいプロジェクトや将来の事業展開を考慮し、どのような専門知識が必要となるかをリストアップしましょう。

魅力的なオファーを準備する

タレントプールに人材を引き付けるためには、組織の魅力を感じてもらうオファーの準備が欠かせません。これは高い給与だけでなく、柔軟な労働条件やキャリアパスの提供、福利厚生といった要素も含まれます。また、組織のビジョンや価値観を明確に伝えることも重要です。

多様なチャネルを活用する

ターゲットとなる人材にリーチする際は、多様なチャネルを活用しましょう。具体的には、SNSや専門的な求人サイト、業界イベント、学校や大学との連携などが効果的です。また、既存社員のネットワークを活用することも良いでしょう。リーチの範囲が広がれば広がるほど、質の高い人材を集めることができます。

効率的なデータ管理

タレントプールに登録された人材の情報を効率的に管理するためには、適切なデータ管理ツールを導入することが求められます。例えば、CRM(顧客関係管理)システムを活用することで、連絡先情報やスキルセット、過去のコミュニケーション履歴を一元管理することが可能です。効率的なデータ管理を行うことで、採用活動を迅速かつ的確に進めることができるでしょう。

定期的なフォローアップ

タレントプールに登録された人材に対して定期的なフォローアップを行うことも大切です。ニュースレターやイベントへの招待、期間限定の特別なオファーなどを通じて関心を維持し、組織との関係を深められるように工夫をしてください。ターゲットとなる人材の関心を維持することで、スムーズに再アプローチすることができるでしょう。

タレントプール運用の注意点


効果的に運用するためにはいくつか注意点もあります。どんなポイントに気を付けたら良いのでしょうか。

情報の更新を欠かさない

タレントプールの情報は生き物のようなものです。候補者の経歴やスキルは日々変化し、連絡先や希望条件もまた変わるでしょう。そのため、定期的に情報を更新し、最新の状態を保つことが重要です。たとえば、半年に一度程度の頻度で情報を確認し、必要に応じてアップデートする習慣をつけると良いでしょう。

質の高いコンテンツを提供する

候補者に対して質の高いコンテンツを提供することで、企業への興味を引き続けることができます。例えば、業界での最新情報やキャリアアップに役立つリソース、会社の成功事例などを提供するのが良いでしょう。質の高いコンテンツは、候補者が自分のキャリアを前向きに考えるきっかけにもなるため、企業への好感度を高める効果を期待できます。

多様性と透明性の確保

タレントプールの運用では、多様性と透明性の確保が重要です。多様な背景をもつ候補者を含めることで、新しい視点やアイディアが企業にもたらされるでしょう。また、透明性を保つことは、候補者との信頼関係を築くための基盤となります。選考プロセスや評価基準を明示し、公平性を感じてもらうことで、候補者がより安心して応募できる環境を整えましょう。

適切なタイミングでオファーする

適切なタイミングでオファーを出すことも大切です。候補者が転職を考えはじめた時期や企業が新しいプロジェクトを開始するタイミングを見極めてオファーを出すことで、スムーズな採用を実現できるでしょう。

タレントプール運用に役立つツール4選


タレントプールを行ううえでおすすめのツールを紹介します。

MyTalent

日本初の採用マーケティングオートメーション(MA)ツールで、求職者のタレントプールを構築し、自動化されたアプローチで関係管理を実現します。応募者のスコアリングやエンゲージメントの強化により、効率的な採用プロセスをサポートしています。

Talentio Hire

企業の採用プロセスを効率化するための採用管理システムです。求人管理、候補者の選考管理、評価、内定通知、データの集計・分析機能を提供しています。また、リファラル採用やタレントプールの管理も容易に行うことが可能です。柔軟な機能が揃っており、企業の規模やニーズに応じたさまざまなプランがあることが特徴です。

TalentCloud

タレントプール構築に特化した日本初のクラウド採用支援ツールです。求人管理や採用ブランディング、候補者との継続的な関係構築をサポートしています。チャット機能やイベント告知機能で候補者とのコミュニケーション強化もでき、採用コスト削減に役立つツールとして注目されています。

HITO-Link CRM

タレントプール構築に特化したTalent CRMです。求人管理、選考管理、評価、内定通知を効率化し、イベントやSNS、社員紹介などからのタレントデータベースを構築します。自動化されたワークフローでタレントとの関係を維持できるため、転職意欲の変化を随時把握しながら適切なコミュニケーションをとることが可能です。

適切な人材を見逃さず、企業の未来を築こう!


タレントプールが、採用プロセスを効率化し、企業の持続的な成長を促進するために重要な仕組みであることが伝わったでしょうか。タレントプールは、企業の未来を切り開く鍵となるはずです。本記事を機に、自社に適した人材をタイムリーに採用できる仕組みを整えることをおすすめします。これからの人材戦略にぜひ、タレントプールを積極的に活用してください。
 
【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 
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