コラム

円満退社を目指そう!退職を引き止められたときの交渉術

転職活動でのひとつの関門、それは「退職の引き止め」です。退職の意を会社に伝えたとき、上司から「待遇を変えるからもう一度検討してくれないか」「人手が足りないから退職しないでほしい」などと言われて退職願がすぐに受け入れられないケースはよくあることです。民法により「退職の自由」が認められているため、いくら会社が退職を認めなくても退職する権利は労働者にはあるのですが、社内での交渉がこじれてしまい、引き継ぎなどに困ることも。そこで今回の記事では退職の引き止めにあった場合、できるだけ円満に退職手続きを進めるためのポイントを解説します。

退職引き止めの主な例と対応策


まずは、よくある退職引き止めの例と、それにどう対応すればよいか紹介しましょう。
 

退職時期の引き延ばしの提案

「このプロジェクトが終わる◯◯月まで待ってもらえないか」「人事異動のある新年度まで待って考え直してくれないか」「新しい人を採用できるまで待ってくれないか」など、退職時期の引き延ばしの提案はよくあります。これにはあらかじめプロジェクトの進行度合いを考えて引き止められにくそうな時期を退職時期に設定するなど、事前の根回しが有効でしょう。
 
ただし、「もうこの職場にはいられない!」と考えて退職願を出している場合は、このような引き止めに対して時期を見直す必要はありません。なぜこの職場ではこれ以上仕事を続けることが困難か、今後のキャリアパスをどのように見据えて退職を願い出ているか明確に伝えましょう。

待遇・部署などの改善の提案

「給与を見直すから考え直してくれないか」「合う部署に異動を手配するから退職しないでくれないか」などの、待遇、配属などの改善による引き止めも多いでしょう。筆者も退職の意志を伝えた際、このパターンで引き止めにあいました。これは、主な退職理由を給与や待遇、配属の不満としている場合にもよく起きる引き止めです。ここで悩む人もいるでしょう。ですが筆者は、たとえその提案を呑んで退職をやめても、自分の臨む働き方、キャリアの積み方ができないだろうと感じて断りました。
 
少なくとも周囲の多くの人は、待遇改善の提案で一度は留まっても結局は退職しています。退職したい意志の根底には「新しい環境でよりよいキャリアを積みたい」気持ちがあることが多いものです。職場からの改善の提案が表面的なものでないかどうかよく考え、自分の転職の方向性と併せて判断するとよいでしょう。

人手が足りない、繁忙期だから辞めるな、などの強引な引き止め

残念ながら今でも少なくない退職の引き止め方が、ハラスメントに近い引き止め方です。「うちを辞めたらどこにも雇ってもらえないよ」「あなたが辞めることでどれだけ周りに迷惑をかけると思っているの?」などとプレッシャーをかけてくることもあります。こういった上司は大抵、退職の意志を何度伝えても無視してきます。その場合、更に上層部に掛け合い、不当なプレッシャーをかけられていることも伝えましょう。「給与を払わない」「有給を消化させない」と脅された場合は、労働基準法の違法の対象となります。そのことを会社に伝え、労働基準監督署に相談することも検討してください。
 

円満に退職するためのポイント


ここまで、よくある退職引き止めの例と対応策を紹介してきました。では、そもそも引き止めができるだけ起こらず、円満に退職するためにはどうしたらよいでしょうか。そのポイントを紹介します。
 

事前に引き継ぎの計画を綿密に立てて退職の意志を伝える

転職先がすでに決まっている場合でもこれから転職先を決める場合も、事前にきちんと引き継ぎの計画を立てていると比較的円満に退職できます。「なぜ退職したいのか」をできるだけ前向きな言葉で伝え、今受け持っている仕事をどのように引き継ぐかの計画を立てておき、その擦り合わせをしました。そうすることで、自分も気持ちに一区切り付けて退職することができますし、会社側も仕事での面倒事が最小限になります。

就業規則に定められた退職願の提出期限を守る

従業員は退職を希望する2週間前までに会社に申し出ることで、退職理由に関係なくいつでも自由に退職できる、と民法で定められています。ですが会社ごとに「退職を希望する時期の◯ヶ月前までに申し出てほしい」といった期限を定めていることも多く、その期間を守らないと、会社と揉める可能性が高まります。稀なケースではありますが、「引き継ぎをきちんとしなかったから」と会社側から損害賠償請求をされる場合もあります。ですので就業規則に定められた期限は守り、そのうえで引き継ぎの相談をしましょう。
 
なお、期限を守っているにも関わらず、無視されたり却下されたりする場合は、人事部や総務部に相談し、必要であれば、退職届を内容証明郵便で会社に送る、労働基準監督署に相談するなどの手段も考えましょう。

事前から「転職したい意志」をそれとなく伝えておく

はっきり退職の意志を伝える前から、「自分、近いうちに転職したいんですよね」「新しい職場で働いてみたくて」などと転職の意志を周囲にそれとなく話しておくことは意外と効果があります。筆者も転職1年くらい前からは「自分の今後のキャリアについては色々考えてますね……」と言っていたので、退職の意志を伝えたときには、会社も引き止めはしたものの、「やっぱりか」といった印象も持ったようです(笑)。このように意志をやんわりと伝えておきながら、同時に自分の中で引き継ぎや転職活動の計画を組み立てておくとよいでしょう。
 

大切なのは自分の中の確固たる退職・転職の意志


ここまで解説してきたように、退職の引き止めは多くの場合一度は起きることで、そこで自分の退職・転職の意志の強さが試されます。どれだけ自分の中に「軸」を持っているかで、引き止めに対しても未練なく断り、引き継ぎを終わらせて円満に退職できるかが変わってきます。引き止められて気持ちが揺らぐ場合は、もう一度自分がなぜ退職・転職したいのか、どのようなキャリアパスを描きたいのかを見直す必要があるでしょう。
 
そして、退職を不当に拒否されたときなどは、迷わず会社の上層部に相談しましょう。それでも取り合ってもらえないなら労働基準監督署や弁護士に相談する、退職代行サービスの利用を検討する、などの手段も考えてください。転職して新しいステップを踏み出すからこそ、退職する会社に変な遺恨は残したくないものです。自分の中の強い「軸」と転職計画を持ち、円満な退職を実現しましょう!
 
転職の「軸」の考え方についてはこちらの記事もぜひお読みください!→まずは転職の「軸」を考えよう〜30代!資格なし!はじめての転職体験記①

 
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。2024年の目標は海釣りに挑戦することです。キャンプにも興味があります。
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