コラム

Z世代の特徴は?仕事に求められる価値観や安心感あるフラットな組織をつくる方法

Z世代とは1990年代中頃から2010年頃に生まれた世代の若者のこと。由来はアメリカでの世代の区分を表す「Generation Z」と言われています。彼ら彼女らの特徴はデジタルネイティブであること。幼い頃からインターネットに慣れ親しんでいる世代のため情報感度が高く、昭和世代とは違った価値観を有している傾向にあります。「Z世代のことはよくわからないよ……」と悩んでいる人事担当者やマネジメント職の方も多いかと思いますが、彼ら彼女らの価値観や仕事への姿勢を知ることができれば、効果的な採用や組織づくりを行うことができるでしょう。ぜひこの記事を人事やマネジメントの参考にしていただければ幸いです!

Z世代が職場に求めているのは「安心感」


パスメイクの調査によると、Z世代が仕事に求める要素の上位には「働きやすさ(勤務時間や勤務場所など)」「経済的に安定している」「職場の雰囲気や社内の文化(人間関係がよい、風通しがよいなど)」が挙げられています。Z世代は通勤に過度なストレスがかからない、経済的な不安がない、人間関係で嫌な思いをしない、などのさまざまな側面での「安心感」を求めていることがわかります。
 
日本の経済が右肩上がりだった頃や、ギラギラした起業家が憧れを集めていた時代とは異なり、今は堅実で穏やかな働き方を重視する傾向にあります。そして、上述の3つの要素に次いで、仕事に求める要素として「やりがい・達成感がある」が挙げられています。つまり、安心感を得られる環境であれば、Z世代はスキルアップや、やりがいのある仕事にも挑戦する意欲が高いのです。
 
採用の際には勤務時間や勤務場所の詳細を明記することや、給与面や福利厚生の説明を丁寧に行うことなどが重要でしょう。また、組織の方向性としてはフラットで風通しのよい在り方が好まれます。トップダウン式で中央集権的な組織になっていないか改めて見直してみましょう。
 
なお、Z世代の採用で安心感を与えるためには事前の面接で仕事のよい面も悪い面も包み隠さず伝えるRJP(リアリスティックジョブプレビュー)を行うことも効果的です。なぜなら、よいことばかり書いてある求人票よりも、メリットデメリット含めた職場のリアルを開示してもらえることで、「誠実な企業だ」と信頼できるだけでなく、自分がその企業に合うかどうか的確に判断できます。RJPについては詳しくはこちらの記事もお読みください。
 

Z世代と良好な関係を築くコツは「気軽さ」と「丁寧さ」


パスメイクの調査では、Z世代が理想の上司として挙げている特徴は、「気軽に話しやすい」「丁寧に教えてくれる」「成長をサポートしてくれる」などが上位になっています。その一方で、「必要なときにしっかりと叱ってくれる」要素はあまり支持されていません。これは上述した「安心感」とも大きくつながる特徴でしょう。
 
上司に相談したときに「今忙しいから」とイライラされたり、「話したいことの要点がわからないんだけど」などと高圧的に対応されてしまっては、Z世代でなくとも心を閉ざしてしまいます。部下やメンバーが困っていそうだったら気軽に話しかけたり、様子をうかがうような気遣いが重要です。また、Z世代は成長意欲もあります。一緒に課題やキャリアパスを考えて丁寧に指導してくれる上司の下ではZ世代の社員も意欲高く仕事に取り組むことができるでしょう。
 
ここまで読むと、「Z世代にはいつでも優しくして、手取り足取り教えてあげなくてはいけないのか」と思う人もいるかもしれません。しかし実際に多くのZ世代の社会人と交流してきた筆者は、決してそのようなことはないと考えています。重要なのはコミュニケーションの姿勢です。一方的に意見を押し付けるのではなく、対話に時間を割き、互いの価値観を認め合うことをZ世代は重視しています
 
丁寧なコミュニケーションが基盤にあれば、Z世代は周囲の人を信頼し、安心して自走することも充分にできます。「必要なときにしっかりと叱ってくれる」要素が求められていないのも、「叱る」行為自体が時代遅れなためではないかと思います。「叱る」には感情が多分に含まれる印象がありますが、そうではなく、どの点がよくなかったかを冷静に共有し、その点を伸ばす改善策を一緒に考えるコミュニケーションが今の時代には求められていると感じます。感情論ではなく、理論を元に対話をすることが大切です。
 
また、この点については相性のよさそうなメンバー同士を積極的に同じプロジェクトに配属するなどでも解決できます。Z世代はピリピリした人間関係や社内の雰囲気を何よりも嫌います。気軽に話し合えるメンバー同士の相性をチェックしながら、チーム組みやデスクの配置なども考えてみるとよいでしょう。
 

流動的な働き方を好むZ世代は、転職活動も活発


今の時代、Z世代に限ったことではありませんが「大企業に新卒で入社して一生勤続する」ビジョンを持っている人はほとんどいません。スキルを身につけて起業する人もいますし、経験を積むためなら勤務形態も正社員に拘らない傾向もあります。ライフステージの変化によってライフワークバランスの取れる企業へ転職したり、スキルアップや給与アップを目指して転職する人も多いでしょう。そのため、せっかく採用したZ世代の人材が転職してしまうこともありますが、逆に考えればZ世代は転職活動に積極的なため、中途採用で優秀な人材と出会えることも多々あります。
 
上述のとおり、Z世代は安心感をベースとした対話を求める傾向にあるため、採用方法もリファラル採用やカジュアル面談など、初期から職場のリアルな雰囲気がわかり、待遇などを相談しやすい形を取るとよいでしょう。また、デジタルネイティブでSNSにも慣れている彼ら彼女らは、企業の発信をよくチェックしています。社員のSNSや、企業のオウンドメディア、社員インタビューなどを読み、共感した企業に興味を持つ傾向があるので、中途採用では、リアルな声の発信にも力を入れていく必要があるでしょう。
 

固定観念を持たず、フラットなマネジメントを目指そう

本記事で解説したZ世代の価値観は、世代にかかわらず働く多くの人が共通して持っています。本来は、「この人はZ世代だからこう対応しなくては」「この人はゆとり世代だからこう感じるはずだ」と区分する必要はありません。また、Z世代とひとくちに言ってもさまざまな価値観の人がいます。世代に関わらず、個人個人の考えを汲み取り、こちらの考えを伝え、理解し合うコミュニケーションが大切です。
 
また、筆者は多くの企業を取材していて、今急成長している企業はいずれも、フラットで風通しのよい組織であると感じています。社員一人ひとりが意見を持ちながら、コミュニケーションを盛んに取り合ってそれぞれが自走して結果を出す。そのような組織を実現できるマネジメントや人事・採用がこれからは求められていると思います。ぜひこの記事を参考に、Z世代をはじめとした今の若い世代ともフラットにコミュニケーションを取って、生産性の高い組織づくりを目指してください!

 
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。最近魚の三枚おろしができるようになりました!ゆとり世代のちょい手前生まれです。
 
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