コラム

内発的動機付けが組織を変える!従業員のモチベーションを高めるコツを紹介

従業員のモチベーションを高めることは、企業の持続的成長において欠かせない要素です。単に報酬や地位といった外的要因だけでなく、従業員自身の内面から湧き出る「内発的動機付け」に着目することが、真の意味でのエンゲージメント向上につながります。内発的動機付けとは、自分自身の興味や価値観に基づいて行動することであり、仕事に対する情熱や自発性の源泉となるものです。本記事では内発的動機付けの概念を深堀りし、それを職場で実践するための具体的方法を探ります。

内発的動機付けとは

外的な報酬や圧力ではなく、自分自身の興味や価値観に基づいて行動することを指します。内発的に動機づけられた人は仕事に対して自発的に取り組み、創造性を発揮し、高いパフォーマンスを維持できます。組織が従業員の内発的動機付けを引き出せるよう自律性を尊重しながら能力開発の機会を提供し、良好な人間関係の構築に努めることが重要です。

外発的動機付けとの違い

外発的動機付けは、金銭的報酬、地位、評価など外部からの要因によって行動を促すものです。一方、内発的動機付けは、自分自身の興味や価値観に基づいて行動することを指します。外発的動機付けは一時的にパフォーマンスを上げることができますが、長期的には効果が持続しにくいという特徴があります。また、外的報酬に依存しすぎると、本来の興味や意欲が損なわれる可能性もあります。
 
対して内発的動機付けは、自発的な行動を引き出すため、長期的に高いパフォーマンスを維持できます。内発的に動機づけられた人は、仕事そのものに喜びを感じ、自己実現の機会と捉えています。外発的動機付けが一時的なブーストとすれば、内発的動機付けは持続的な原動力と言えるでしょう。
 
ただし、外発的動機付けと内発的動機付けは相反するものではなく、状況に応じて適切に組み合わせることが効果的です。外的報酬は内発的動機付けを補強する役割を果たすこともあります。組織は、従業員の内発的動機付けを基盤としつつ、外的報酬を適切に活用することで、モチベーションのバランスを取ることが求められます。

内発的動機付けの3つの要素


内発的動機付けは、以下の3つの心理的欲求の充足によって高まると言われています。

自律性(Autonomy)

自分で選択し、行動をコントロールできる感覚。自律性とは、自分の意思で仕事の進め方を決められる自由度のことです。与えられたタスクをこなすだけでなく、自分の裁量で仕事にアプローチできる環境があると、従業員はより主体的に取り組めます。例えば、フレックスタイム制の導入や、プロジェクトの企画立案に従業員を参加させることで、自律性を高められるでしょう。

有能感(Competence)

自分の能力を発揮し、成長できると感じること。有能感は自分の持つスキルを存分に活用し、新たな挑戦によって成長を実感できる状態を指します。会社が従業員の強みを適切に評価し、それを伸ばす機会を提供することが肝要です。適材適所の人員配置、教育研修の充実、ストレッチ目標の設定などが有能感を高める施策として効果的です。

関係性(Relatedness)

他者とのつながりを感じ、意味のある関係を築くこと。人は社会的な動物であり、他者との良好な関係性が動機付けを高めます。職場において、同僚や上司との信頼関係を構築し、互いを認め合える雰囲気があると、従業員は安心して自分の力を発揮できます。チームビルディング活動や、1on1ミーティングの実施、協働作業の推進などを通じて、関係性を育むことが大切です。

内発的動機付けを高める職場環境づくり


上記の3要素を職場で実現するために、以下のような環境づくりが求められます。

従業員の自主性を尊重し、意思決定に参加させる

トップダウン型の管理ではなく、従業員の意見を積極的に取り入れる風土を作ります。自分の仕事に対して発言権を持ち意思決定プロセスに関われると、当事者意識が芽生え、モチベーションが上がります。自律性を重んじる組織文化を根付かせましょう。

従業員の強みを活かし、スキルアップの機会を提供する

個々人の能力を見極め、その才能が最大限発揮できるポジションにアサインします。また、自己研鑽の機会として、社内外の研修プログラムを用意したり、資格取得支援を行ったりと、成長のチャンスを創出します。有能感を満たすキャリア開発支援が重要です。

チームワークを重視し、互いに認め合う文化を醸成する

部署を超えた交流イベントやプロジェクト単位でのチーム編成など、従業員間の連帯感を高める施策を講じます。上司は部下の成果をきめ細かく評価し、褒めることを忘れずに。信頼と尊重に基づいた人間関係が関係性への欲求を満たし、内発的動機付けにつながります。
 
事例として米国の IT 企業では従業員に対して高い裁量権を与え、失敗を恐れずチャレンジする文化が根付いています。また、同社では24時間のハッカソンイベントを定期開催し、自由な発想でプロダクト開発に取り組む機会を設けています。こうした自律性を重視する取り組みが、同社の革新的な風土を支えています。

内発的動機付けがもたらす効果


内発的動機付けが高まると、以下のようなポジティブな効果が組織にもたらされます。

従業員のエンゲージメントと仕事へのコミットメントの向上

自分の仕事に誇りとやりがいを感じている従業員は会社に対する帰属意識が高く、自発的に高いパフォーマンスを発揮してくれます。内発的動機付けは一人ひとりの能動的な参画を促し、組織と個人の目的を一致させる役割を果たします。

創造性とイノベーションの促進

内発的に動機づけられた従業員は、既存の枠にとらわれない柔軟な発想力を発揮します。自らの興味関心に基づいて新しいアイデアを生み出し、革新的なソリューションを考案する原動力となるのです。内発的動機付けは、組織の変革を加速させるカギと言えるでしょう。

離職率の低下とリテンションの改善

内発的動機付けが満たされた職場では従業員は高いモラルを維持し、長期的に組織への貢献意欲を持ち続けます。自己実現の機会に恵まれ働きがいを実感できる環境があれば、転職を考える理由はなくなります。優秀な人材の定着は、採用コストの削減にもつながります。

企業の業績アップと持続的成長への寄与

モチベーション高く働く従業員は、生産性の向上に直結します。内発的動機付けを基盤とする組織文化は、業績を押し上げる原動力となります。加えて、絶え間ないイノベーションの創出は、競合他社に対する優位性を生み、マーケットにおける企業の存在価値を高めていくでしょう。

従業員の内なる動機を引き出し、組織力を高めよう


内発的動機付けは、従業員のモチベーション向上と組織の発展に不可欠な要素であることが分かりました。自律性、有能感、関係性という3つの要素を満たす職場環境を整備することで、一人ひとりの内なる動機を引き出し、能力を最大限に活かせる状態を作り出せます。
 
あらためて内発的動機付けの重要性を再認識いただき、組織文化の変革に向けた一歩を踏み出していただきたいと思います。トップのコミットメントの下、従業員の声に真摯に耳を傾け、自律性を尊重する風土を醸成してください。能力開発の機会を提供し、良質な人間関係の構築に努めることも肝要です。
 
内発的に動機づけられた従業員が集う組織は活力に満ち溢れ、創造と革新を生み出す源泉となるでしょう。従業員のエンゲージメントを高め、会社の未来を切り拓くために、内発的動機付けを企業文化の中核に据える経営を目指してください。一人ひとりの内なる炎に火をつけ、組織の持続的成長につなげていきましょう。
 
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