コラム

オンボーディングとは?メリットや具体的な導入プロセス、活用ポイントなどを解説

人手不足や先行きの不透明さから、未経験を一から育てるより即戦力を期待する企業が増えてきた昨今。これまで以上にオンボーディングの重要性が高まってきた。ここでは改めてオンボーディングの目的やメリットについて述べ、すぐに実践可能な導入プロセスや効果的な活用ポイントについて具体的に解説していく。

■目次
オンボーディングとは
 1-1.オンボーディングの概要
 1-2.オンボーディングが注目される背景
 1-3.オンボーディングの目的
2.導入によるメリット
 2-1.従業員の能力発揮による早期戦力化
 2-2.従業員のエンゲージメント向上
3.オンボーディング導入のプロセス
 3-1.入社前の受け入れ体制強化
 3-2.人間関係の徹底フォロー
 3-3.ミッション・期待値の共有
 3-4.教育側の連携
 3-5.目標の設定
4.効果的な活用ポイント
 4-1.プランの作成と見直し
 4-2.アウトプットとフォローバックのサイクル
 4-3.従業員ごとに内容を変化させていく
最後に

1.オンボーディングとは

1-1.オンボーディングの概要

オンボーディングとは、英語の『on-boarding』が語源である。元々は船や飛行機などに乗っていることを意味していた。転じて人事領域では企業などの組織に新しく入る人材が馴染めるように、または早期活躍ができるように企業やチームでサポートする取り組み全般を指すようになった。
 

カスタマーサクセス領域などでは、同じく定着サポートを意味する言葉としてオンボーディングを使用するが、定着の対象は従業員ではなく顧客である。ここで解説するオンボーディングとは、前者の企業に対する従業員の定着や活躍を目的とするものである。
 

1-2.オンボーディングが注目される背景

昨今オンボーディングの重要性が注目を浴びている背景として、早期退職をはじめとした離職率の上昇が挙げられる。離職率上昇の理由として近年の雇用の流動化も挙げることができるが、問題視されている他の理由が大きく分けて2点ある。
 

1点目が、本来の能力が発揮できないことによる意識と実績の乖離である。もう1点は、情報の共有不足や人間関係がうまく構築できていないことによるエンゲージメントや帰属意識の低下である。これらの課題を抱える企業が増えてきたことで、昨今オンボーディングの重要性に注目が集まっている。
 

1-3.オンボーディングの目的

ではオンボーディングの目的とは何だろうか。それは新入社員の早期戦力化と長期定着である。もちろん他に様々な効果を生み出したり、既存社員にも有効な取り組みだ。しかし最大の目的はやはりここである。課題解決に向けて目的をはっきりと意識したうえで、後述するオンボーディングプラン作成に取り組んでいただきたい。
 

2.導入によるメリット

2-1.従業員の能力発揮による早期戦力化

オンボーディングを導入するメリットのひとつとして、前項で述べた新入社員の早期戦力化が挙げられる。環境を整えて、適切な配置や教育を行うことにより、新入社員の能力が正しく発揮できる状況にする。これにより早期退職の原因でもある“意識と実績の乖離”をなくすだけでなく、より早期に新卒社員が企業の戦力として活躍をしてくれる可能性が高くなる。
 

2-2.従業員のエンゲージメント向上

もうひとつ大きなメリットとして挙げることができるのは、従業員のエンゲージメント向上である。適正な能力を発揮できることに伴い、自分の仕事に対するやりがいも向上を図ることができる。さらにオンボーディング導入によるチームパフォーマンス向上から、新卒社員を含めたメンバーの帰属意識を高めることにも繋げることができる。
 

3.オンボーディング導入のプロセス

3-1.入社前の受け入れ体制強化

では実際にオンボーディングの導入プロセスを紹介していく。もちろんここで挙げる内容以外にも多くの取り組みがあるが、すぐに実践可能かつ重要度の高いものをピックアップしている。
 

まず一つ目が入社前の受け入れ体制強化である。社内システムやスケジュールなど、入社当日には全て共有できる状態が望ましい。下記に述べる各プロセスについても同様に入社前に環境を整えておき、入社当日には情報の共有とフォローが適切におこなわれるように準備しておくことがオンボーディングの一歩目である。
 

3-2.人間関係の徹底フォロー

退職理由の上位に常にランクインしている人間関係。特に入社直後に関しては様々な不安払拭やコミュニケーションが重要になる。今ではメンター制度を導入している企業も少なくない。しかし
未だ業務をOJT研修で教える際に、コミュニケーションや悩み相談を兼ねているケースが多い。
 

ここは分けて取り組むべきポイントであると考える。直接仕事を教わる立場では、言いたい悩みも言えないこともある。ではどういった取り組みがあるか。先に述べたメンター制度や1on1の定期的な面談、歓迎会やランチ会などがよく挙げられる。先輩や上司が不在の同期会などについて、会社側が用意するのも有効な手段のひとつと言えるだろう。
 

3-3.ミッション・期待値の共有

入社前に共有できていればベストだが、ミッションや期待値の共有も重要である。会社として今抱えている課題は何か、どの方向に進もうとしているかを正確に言語化して共有することで、会社と従業員の向いている方向を揃えることができる。細かい調整はあったとしても、同じゴールを目指している限り、そこに大きな乖離は生まれにくくなるだろう。
 

また、チームとして、会社として新入社員に期待していることについても正確に名言しておくべきだ。自分が求められていると考えていることと、実際にチームや会社が期待していることに差があることも珍しくない。ここを丁寧にすり合わせることにより、自分が期待されている事とやるべき事がはっきり見えてくる。
 

3-4.教育側の連携

研修担当とOJTをおこなう先輩上司など、新入社員を教育する担当が複数名いる場合はその連携も必須となる。研修の進捗状況の共有はもちろんのこと、業務や作業の教え方・考え方が異なっていることが生じる場合がある。これは新入社員の混乱や不安の原因となるため避けるべきである。
 

ではどのようにしてこのような事態を回避するか。いくつか手段は考えられるが、徹底的なマニュアル作成が一番わかりやすい例だろう。極論を言えば、研修担当や直属の上司以外の人間が研修をおこなったとしても、教える内容・順番・教え方が変わらない状態が理想だ。それと教育する社員が複数いる場合は、情報の共有を適宜正確におこなうこと。この2つが揃っていれば、新入社員は教育内容のズレで不安や混乱することがほぼなくなるだろう。
 

3-5.目標の設定

モチベーション管理にも近い内容になるが、目標の設定はかなり重要になる。それも正確な目標を細かく設定することがミソだ。新入社員が手を伸ばせば届くギリギリのラインで目標を設定することで、目標への意欲と達成感を持つことができる。更にその目標を細かく設定することでモチベーションを維持することができる。
 

話自体は簡単な内容だが、実際には業務内容はもちろんのこと新入社員の業務能力や性格などを正確に把握する能力が求められるので、簡単なことではない。ただここのモチベーションを管理することが、そのままオンボーディングへと繋がるため必須の内容となる。
 

4.効果的な活用ポイント

4-1.効果的な活用ポイント

オンボーディングを正確に取り組もうと考えると、必ずプランの作成が必須となる。新入社員の入社前にはオンボーディングプランを完成させておき、それを実行する。そして効果を見て、都度改善をしていく必要がある。その改善したものを次回の新入社員研修に使用する。さらにそこで課題を見つけ、と繰り返しプランを見直すことでプラン自体がより効果的なものへとなる。
 

4-2.アウトプットとフォローバックのサイクル

実際の研修やOJTで指導していくなかで効果的な方法として、積極的にアウトプットさせるということがある。研修でインプットした内容をすぐに業務でアウトプットさせる。これにより記憶の定着率を上げることができる。そしてその業務のフォローバックをこまめにおこなう。このサイクルを繰り返すことで、より効率的な教育に繋げることができる。
 

OJT研修だけでなく逐一フォローバックをしていくことは、指導する側にとってはかなりのリソースを使うことになる。ここが会社として教育側の他の負担を減らすことなどで、会社全体でチームとして取り組むべき課題ということになる。
 

4-3.従業員ごとに内容を変化させていく

オンボーディングプランを作成・見直しを繰り返し、より良いプランを作り上げていくことはとても重要なことである。しかしそれだけではなく、従業員ごとに内容を変化させていくことで、より効果的なものが出来上がる。改善を加えているとはいえ、テンプレート化したものだけでは万全と言い難い。
 

ひとりひとりの能力や理解度によって、都度適正な教育をおこなう。フォローバック同様、教育する側にとっては大きな負担になる。しかし本当に適した研修・教育をおこなうことで、新入社員の早期戦力化を実現することが可能となる。さらには退職率減少にも繋がり、チームとして、会社としてパフォーマンス向上に直結すると言っても過言ではない。
 

最後に

転職が当たり前のようになった今の時代。新入社員の早期退職や退職率の上昇が大きな課題となっている。ここで解説したオンボーディングの取り組みはあくまで一部ではあるが、すぐに実践可能な内容を取り上げた。繰り返すが、企業としてもリソースをかなり割くことになるので、負担は軽いものではないだろう。しかし長期的な観点で本当に企業の実利となる選択ができるように、今回の内容を参考にしてもらえれば幸いである。

<筆者プロフィール>
寺島弘光(てらしま ひろみつ)
商品先物取引のトップセールスとして3年間勤務後、通信業界や求人業界の営業を経て、30歳を超えて大きな挫折を経験。現在求人広告をはじめとしたライターとして、新たな道を歩み始める。大阪人ながらに年間パスポートを保有していたほどのディズニー好き。趣味はバスケットボールで、自分でクラブチームを作るほど。推しは大阪エヴェッサ。千葉への移住計画を胸に、一児の父親として育児・ライティングともに一から勉強中。