人事トラブルを未然に防ぐポイントは?炎上リスクを減らす方法を解説
また、昨今では人事担当者が上から目線で候補者に対する不満をSNSで漏らすことで、炎上しているケースも見受けられます。元従業員からの告発やSNSでの炎上は企業イメージを大きく損ない、経営的にも大きなダメージを被ります。
そこで本記事では、人事トラブルを未然に防ぐポイントや炎上リスクを減らす方法を紹介します。経営者や人事、広報の方はぜひご覧ください。
人事トラブルが炎上する主なケース
人事トラブルのなかでも、とりわけ炎上につながりやすいのが以下のようなケースです。
不当解雇や人事評価への不満
従業員の解雇や人事評価をめぐって、不当な扱いを受けたと主張する告発は後を絶ちません。明確な根拠もないまま解雇したり、恣意的な評価を下したりすれば、不満が爆発するのは必至です。
ハラスメントやパワハラの告発
上司によるセクシャルハラスメントやパワーハラスメントも、炎上の火種になります。被害者が声を上げれば、加害者だけでなく会社の体質も厳しく非難されるでしょう。
個人情報の漏洩や不適切な取り扱い
従業員の個人情報が漏れたり、不適切に利用されたりすれば大問題です。プライバシーの侵害は許されません。情報管理の不備が指摘されれば、会社への信頼は地に落ちます。
人事制度の不備や不平等な運用
人事制度に不備があったり、運用に不平等があったりすることで生じる不公平感も、従業員の不満を募らせます。ルールが整っておらず、場当たり的な対応が横行する職場は危険です。
人事トラブルを防ぐポイント
では、こうした人事トラブルを防ぎ、炎上のリスクを減らすにはどうすればよいでしょうか。ここからは具体的なポイントを解説します。
コンプライアンス遵守の徹底
何よりも大切なのは関連法規を理解し、確実に順守することです。労働基準法をはじめとする労働関連法規に抵触するような行為は論外です。コンプライアンス意識を従業員全員に浸透させなければなりません。加えて、就業規則などの社内ルールを整備し、運用の適正さを担保することも重要です。曖昧なルールのもとで、恣意的な運用が行われるようでは、トラブルの温床となってしまいます。
公平・公正な人事制度の整備
従業員に納得感のある人事制度を整えることも欠かせません。評価基準を明確にし、実力や成果に基づいて賞罰を下すことが求められます。年功序列や属人的な評価に偏ると不公平感が募ります。また、性別、年齢、国籍、障がいの有無などによる差別は厳に慎まねばなりません。機会の平等を保証し、多様性を尊重する組織であることを対外的にもアピールしましょう。
風通しの良い職場環境づくり
従業員の声に耳を傾け、不満や問題を早期に吸い上げる職場環境を整えることも大切です。些細なことでも相談しやすい雰囲気があれば、トラブルが深刻化する前に手を打てます。定期的な面談の実施も有効でしょう。普段は言いづらいことも、1対1で話せば打ち明けやすくなります。コミュニケーションを密にとり、問題の芽を早めに摘むよう心がけましょう。
適切な情報管理
人事情報の適切な管理は言うまでもありません。アクセスできる者を必要最小限に制限し、閲覧・利用の記録を残すことが大原則です。機密情報が漏れたり、不正に使われたりする危険を排除せねばなりません。同時に、情報セキュリティ教育の徹底も忘れてはなりません。誤操作やうっかりミスで情報が流出することのないよう、全従業員に周知徹底を図ります。データの取り扱いに一層の注意を払う必要があります。
トラブル発生時の迅速な対応
万が一、人事トラブルが発生したときは、迅速かつ適切な対応が問われます。そのためにも、普段から相談窓口を設置し、従業員に周知しておくことが大切です。気兼ねなく相談できる環境を整えましょう。トラブルの申告を受けたら、速やかに事実関係を確認します。両当事者から丁寧にヒアリングし、公平に事態の全容を把握することが肝要です。客観的な事実をもとに、適切な対処を施すよう努めねばなりません。
経営層のコミットメント
人事トラブルの防止は人事部門だけの役割ではありません。経営層が率先して取り組む姿勢を見せることが何より重要です。トップ自らが健全な組織文化の醸成に尽力しなければ、現場の意識も高まりません。人事部門には権限を十分に委譲し、トラブル対応に専念できる環境を整備します。経営資源の投入を惜しまず、全社を挙げて問題解決に取り組む体制を築くべきです。
外部専門家の活用
深刻な人事トラブルは、社内の資源だけでは対応が難しいことがあります。法的な側面から助言を得るため、外部の専門家に相談するのも一案です。弁護士などの知見を参考にしつつ、適切な方策を練りましょう。社内の調査だけでは公平性に疑義が生じる場合は、外部の第三者に調査を委ねるのも賢明です。客観的な立場から全容を解明してもらうことで、トラブルの公正な解決につなげられるでしょう。
SNSでの炎上を防ぐポイント
人事トラブルに端を発するSNSでの炎上を防ぐには、前述のポイントに加えて、以下の2点にも留意が必要です。
SNSガイドラインの整備と周知
従業員のSNS利用について、一定のルールを設けることが求められます。業務に関する情報や社内の出来事をむやみに発信しないよう、明確に線引きします。会社に不利益をもたらす恐れのある書き込みは慎むよう、具体的に指示します。そのうえで、ルールを全従業員に周知徹底することが肝要です。SNSの利用は個人の自由だからこそ、業務との線引きを意識させる必要があります。社会人としての自覚を促し、炎上リスクについて注意喚起しましょう。
日頃からの評判モニタリング
自社に関するSNS上の評判を常にチェックし、ネガティブな反応の兆しを見逃さないことも大切です。特に人事トラブルに関する否定的な言及があれば、迅速に調査します。事実無根の誹謗中傷なのか、一理ある指摘なのかを見極めねばなりません。炎上の芽を早期に摘むには、日頃からアンテナを高く張っておく必要があります。社内の問題が外部に発信される前にそれを察知し、適切に対処する機敏さが問われます。SNS時代ならではの危機管理意識が大切だと言えましょう。
人事部門に求められるSNSリテラシー
こうしたSNS炎上のリスクに適切に対処するには、人事部門自身のSNSリテラシーの向上も欠かせません。メディアの特性をよく理解し、炎上の脅威を身をもって認識する必要があります。トラブルの予兆をいち早くキャッチするには、SNSの監視を日常的に行う体制の整備が有効です。クチコミサイトをこまめにチェックしたり、特定のキーワードに反応するよう設定したりするのも一案でしょう。
また、万が一炎上が発生した際の初動対応も準備しておきましょう。透明性を重視し、事実関係を迅速に開示することが基本です。あらかじめシミュレーションを行い、適切な広報体制を整えておく必要があります。ネット炎上の脅威から企業を守るのも、これからの人事部門に課された大きな使命だと言えるでしょう。SNSの動向から目を離さず、先手管理を徹底することで、負のスパイラルを断ち切ることが求められています。
人事部門の役割と心構え
以上のポイントを着実に実行するには、人事部門の役割が重要になります。従業員から信頼される存在であることが何よりも肝要です。日頃から現場に足を運び、生の声に耳を傾ける姿勢が問われます。
加えて、リスクを察知し、先手を打つ意識も大切です。プロアクティブに行動し、トラブルの芽を小さいうちに摘み取るのが理想的です。「杞憂に過ぎない」と楽観視するのは禁物と心得るべきでしょう。そして、人事トラブルの芳しからぬ兆候をつかんだら、一刻も早く経営トップに進言します。人事部門の懸念を真摯に受け止め、組織を健全化する施策の実行を促すことが肝要です。ここで人事リーダーシップの真価が問われます。
リスクへの感度を高め、先手管理に徹しよう
人事トラブルに起因する炎上リスクは、SNSの普及によってますます高まっています。コンプライアンスの徹底や人事制度の整備など従来の備えに加え、SNS特有の留意点にも目配りすることが欠かせません。平時の備えを怠らないことはもちろん、いざ炎上の兆しを察知したときは、迅速かつ丁寧な初動対応が求められます。
当然、事態の矮小化は厳禁です。開示できる情報は可能な限り迅速に開示し、真摯に謝罪する姿勢を示すことが大原則と言えます。SNSをはじめとするネットメディアが世論形成に大きな影響力をもつ時代だからこそ、人事部門には一段高い緊張感が求められています。本稿で示した知見を参考に、リスクへの感度を高め、先手管理に徹していきましょう。
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