コラム

心理的安全性とは?メンバー全員がイノベーションを生み出す職場づくりのコツ

心理的安全性(psychological safety)とは、エイミーC. エドモンドソン氏が1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されています。具体的には、チームの中で自分の意見や失敗を恐れずに発言できる環境を指します。職場の心理的安全性を高めることは生産性を高めることともなります。なぜなら、心理的安全性の高い職場ではアイデアが活発に出され、新しい試みに積極的にチャレンジできるからです。また、建設的な批評や意見交換が行われ、失敗から学ぶ機会が生まれます。そうした風通しのよい組織では、イノベーションが生まれやすくなります。

一方で、心理的安全性が低い職場では、発言を控えがちになり、同調圧力が高まります。結果としてリスクを取れず、現状維持に陥りがちです。創造性が失われ、変化への対応力が低下する危険もあります。成長力の高い企業は、心理的安全性が高い職場環境を整備し、社員の創造性を最大限に引き出すことに注力しています。つまり、心理的安全性は組織のイノベーション力を左右する重要な要素なのです。

この記事では心理的安全性の高い職場を作る方法、重要性を解説します。風通しよく、チームメンバー全員が能力を発揮できる職場を作るためにも、企業のマネジメント層の方はぜひ参考にしていただければと思います!

あなたの職場は大丈夫?心理的安全性の低い職場の特徴


まずは自社の心理的安全性を振り返ってみましょう。無意識のうちに心理的安全性が低くなっている可能性もあります。心理的安全性の高い職場をつくるためには、まず下記の点を確認してみてください。
 

ミスを許さない雰囲気

ミスを許さない雰囲気があると、チームメンバーは上司や同僚から過剰な批判を受けるのではないかと恐れ、失敗を隠そうとします。結果として、オープンな議論ができなくなり、問題の掘り起こしや改善案の提案が難しくなります。

上下関係が固定的な組織構造

権威主義的でトップダウン式の硬直した組織では、心理的安全性は保たれません。部下は上司の言うことに従うべきといった価値観が根強く残っていると、自由に発言しづらくなります。

少数派の意見が封じ込められる

会社の主流派と異なる価値観を持つ人の意見は、耳を傾けられずに無視されがちです。結果、組織の多様性が失われ、新しい発想に恵まれない状況に陥りかねません。これはD&I推進にも関わる重要な課題です。
 
こうした要因が複合的に作用すると、メンバーは自由に発言できなくなります。自分の意見を言わずに賛同姿勢に徹するように強いられ、組織の凝り固まった体質が強化されてしまうのです。一人ひとりの創造性が発揮されず、変化へ対応できなくなる危険があります。人材の多様性を尊重し、発言の自由が確保された環境でこそ、創造性は育まれます。組織として心理的安全性の阻害要因を除去し、建設的な議論が行える場を整備することが何より重要です。
 

心理的安全性を高めるリーダーのポイント


では、心理的安全性の高い職場環境を作るためにはどのような働きかけが必要でしょうか。そのためには、リーダーの役割が極めて重要になります。リーダーは、下記の3点を意識した行動を取るように心がけるところからスタートしてください。
 

オープンでフラットな関係性を作る

リーダーは、部下とのオープンなコミュニケーションを心がけ、フラットな関係性を構築する必要があります。上下関係を強調するのではなく、互いに意見を交わせる対等な立場を作り出すことが肝心です。リーダー自らが部下の前で率直に発言し、部下の意見も積極的に求めることで、対話を促進できます。

積極的に意見を求める姿勢

リーダーは会議などで部下に対し、能動的に意見を求める姿勢が不可欠です。質問を投げかけ、意見をもらう機会を設けることで、部下は自身の意見を表明しやすくなります。ここで重要なのは、意見を求めるだけでなく、発言者の意見を否定せずに受け止めること。そして、それをさらに掘り下げていく対話力です。意見を言わせるだけ言わせて、それを頭ごなしに否定していては心理的安全性は高まりません。

失敗を許容する風土作り

ミスや失敗を決して許さず、過剰に責める雰囲気では心理的安全性は決して高まりません。リーダーは、失敗を過度に恐れずに挑戦できる文化を根付かせる必要があります。失敗から学び、次に活かせるようにオープンに振り返りを行う場を設けることが重要です。失敗を許容し、建設的にフィードバックできる関係を部下と構築することがカギとなります。
 
このように、リーダーがオープンでフラットな関係づくり、部下の意見を求め尊重する姿勢、失敗を許容する風土作りに注力することで、心理的に安全な職場環境が生まれます。そうした環境こそが、一人ひとりのイノベーション力を最大限に引き出す土壌となるのです。
 

メンバー一丸となってチームビルディングを進める

リーダーは心理的安全性の高い職場づくりを作る役割を理解すると同時に、チームビルディングをうまく進める事が重要です。リーダーだけが努力するのではなく、チームメンバーにも意識をもってもらい、互いの理解と信頼関係を深め、活発なコミュニケーションと多様性の受容を促しましょう。チームビルディングの際には下記のポイントを重視してください。
 

互いに理解を深め、信頼関係を構築する

チームメンバーが互いの個性や長所、強み、価値観などを理解し合うことが不可欠です。例えば、個人の趣味や経歴、考え方などを共有する機会を設けることで、お互いを深く知ることができます。そうした相互理解を通じて、信頼関係が芽生え、心理的安全性が高まります。

コミュニケーションを活性化する

チームメンバー間のコミュニケーションを密にし、活発化させることも欠かせません。会議や朝会などの公式の場だけでなく、昼食を一緒に取ったり、遠足などの懇親イベントを開催したりと、コミュニケーションの機会を意識的に設ける必要があります。こうした取り組みを通じて、お互いに意見を言いやすい関係性が育まれます。

多様性を受け入れる心構えを育む

チームの中に存在する多様な考え方や価値観を受け入れる寛容さ(D&I)が求められます。民族、国籍、年齢、性別、宗教など様々なバックグラウンドを持つメンバーの意見に耳を傾け、違いを認め合うことが大切です。多様性を尊重する姿勢があれば、発言しづらい立場の人も意見を言いやすくなります。D&I推進については、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
D&Iを推進する方法は?ポイントは女性が活躍しやすい環境づくり
 
このようにチームビルディングを通じて、互いの理解と信頼、活発なコミュニケーション、多様性の受容が進めば、心理的に安全な職場環境が生まれます。メンバー一人ひとりが自由に考えを述べ、建設的な議論ができるようになるでしょう。イノベーションを生み出す土台が整うのです。経営層は、このチームビルディングの重要性を認識し、具体的な施策を実行に移すべきです。
 

心理的安全性を高める取り組みは、は事業成長への投資


心理的安全性が高い組織においては、イノベーションが促進され、変化への対応力が身につきます。また、ミスや失敗を恐れずにリスクを取れるため、新しい試みにチャレンジしやすくなります。このように創造性と挑戦心が育つことで、組織の活力が維持され、競争力の源泉ともなります
 
しかし、心理的安全性の高い職場環境は一朝一夕には作れません。リーダーがいかにリーダーシップを発揮するか、メンバー一丸となってチームビルディングするか、常に模索しながら進めていく必要があります。組織文化や価値観の変革には時間がかかりますが、着実にその実現を目指すことが重要です。心理的安全性への投資は、イノベーション促進の機会でもあります。一人ひとりの創造性を最大限に発揮できる職場をつくり、企業の未来を切り拓いていきましょう!

 
【筆者プロフィール】
伊藤鮎
2023年VALUE WORKS入社の編集・ライター。前職は約10年間書籍編集者として勤務。趣味はHIPHOPとメタルコアとKPOPと料理とお酒。「心理的安全性」の概念が日本に持ち込まれたのは割と前のことのように思いますが、実現できている企業はなかなかまだないですよね。
 
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