コラム

越境学習とは?注目される背景と導入のメリット、方法について解説

企業を取り巻くビジネス環境は常に変化しており、その変化に自社内の知識や経験だけで対応するのは容易ではありません。そのため、多様なスキルと経験を持つ人材の育成が企業にとって重要な課題となっています。本記事では企業や部署の垣根を越えて、新しい学びを得る「越境学習」について詳しく解説します。導入するメリットや方法について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

越境学習とは?

所属する部署や企業を離れ、それまでとは異なる環境で仕事をすることにより、広い視野や新たな視点を得ることを目的とした社員の育成手法です。異なるバックグラウンドをもつ人々と共に働いたり、異なる文化や価値観に触れたりすることで、多角的な視点を養うことができます。

越境学習が注目される背景


越境学習はなぜ今注目を集めているのでしょうか。具体的な理由について見ていきましょう。

VUCA時代に対応するため

VUCA時代において、これまで以上に多様なスキルや知識が求められています。そのため、異なる業界や職種、異文化から学ぶ越境学習を通じて注目されているのです。越境学習を実践することで、企業は予測困難な未来にも柔軟に対応できる力を養うことができます。

自律的なキャリアを形成させるため

時代の変化に伴い、企業主導で社員のキャリア形成を進めることがますます難しくなっています。そのため、社員一人ひとりが自ら学び、自己のキャリアを自ら築いていく自律型のキャリア形成が必要となっているのです。

越境学習を導入するメリット


越境学習を導入するにあたって、どんなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

イノベーションの促進

越境学習を導入することで、社員を通じてさまざまな分野や業界の知識や経験を得ることが可能です。そのため、社内に新しい視点やアイデアがもたらされ、イノベーションが促進されることが期待できます。異なる業界の成功事例や新しい技術を学ぶことで、自社の製品やサービスの改善にも活かすことができるでしょう。

社員のモチベーション向上

社員が異なる分野で学ぶ機会を得ることで、自身の成長を実感しやすくなり、仕事に対するモチベーションも向上します。新しい挑戦や学びがあることで、社員の意欲が高まり、結果的に生産性アップも期待できるようになるでしょう。社員が自己成長できる環境を提供することで、企業の魅力も増すことができます。

社内コミュニケーション強化

越境学習を導入することで、異なる部門や職種の社員が協力し合う機会が増え、社員同士の理解や信頼を深めることができます。結果として、チームワークが向上し、組織全体での協力体制が強化されるでしょう。

ネットワークの構築

越境学習を通じて、社員はこれまで関わることのなかった業界や専門分野のプロフェッショナルと交流する機会を得ます。新しいネットワークは、将来的なビジネスチャンスや協業の可能性を広げるだけでなく、新たな視点や知識を社内にもたらす貴重なリソースとなるでしょう。

越境学習の代表的な手法


越境学習には、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

副業・兼業

本業とは異なる職務や仕事に取り組むことを指します。異なる業界や職種で経験を積むことで、新たなスキルや視点を得ることが可能です。副業や兼業を通じて得られる知識やノウハウは本業にも応用でき、業務の幅を広げるだけでなく、貴重な成長機会となるでしょう。

プロボノ

専門的なスキルや知識を活かし、無償で社会貢献活動を行うことを指します。企業や個人がプロボノ活動に参加することで、通常の業務とは異なる環境で新たな経験を積むことが可能です。社会貢献を通じて得られる知見やネットワークは本業にも活かされ、組織全体の成長やイノベーションにもつながります。

ワーケーション

仕事とバケーションを組み合わせた新しい働き方です。仕事と旅行やリフレッシュを両立するワーケーションでは、異なる環境で新たな視点やアイデアを得ることができます。また、異なる地域や文化に触れることで、広い視野と柔軟な思考が養うことが可能です。

異業種勉強会

異なる業界の人々が集まり、意見や情報を交換する場です。自分の業界とは異なる視点をもつ人々とディスカッションすることで、新たな知識やアイデアを得ることができます。視野を広げ、自分の業務に対する新しいアプローチを見つけられるだけでなく、人脈を広げる絶好の機会です。

留職

自分の会社を一時的に離れて別の企業や団体で働く制度です。違う組織の文化や業務プロセスを体験することで、社員は多様なスキルや知識を習得することが可能です。また、社員の帰任後には経験を活かした活躍を期待することができるでしょう。

ビジネススクール

社会人向けのビジネススクールへの通学も、越境学習の一環です。具体的には、夜間や休日に開講している大学院に通ったり、経営者育成を専門とするスクールで学んだりすることがあげられます。社会人として再び学びの場に身を置くことで、実務に直結する知識を習得することが可能です。

出向

社員が一定期間、他の企業や組織で働くことを指します。特定のプロジェクトや業務に参加し、新たなスキルを習得することが可能です。また、他の企業での勤務を通じて、異なる企業文化や業務プロセスを理解することで新しいアイデアの提案に役立てることができます。

越境学習の効果を高めるポイント


越境学習をうまく成果につなげるためには、どのようなポイントがあるのでしょうか。

目的を明確にする

はじめに、越境学習を実践する目的を明確に設定することが重要です。「なぜこの学習が必要なのか」「どのようなスキルを習得させたいのか」といった具体的な目標を設定することで、方向性をはっきりさせることが可能です。目的が曖昧だと越境学習の効果も薄れてしまうので注意しましょう。

自発的な参加を促す

越境学習を成功させるためには、参加者の自発的な意欲が欠かせません。無理に強制されるとモチベーションも上がらず、学習の質も低下してしまいます。自発的な参加を促すために、越境学習の重要性を分かりやすく伝えることが大切です。また、社員が意見を述べられる環境も整えておくことが必要です。経験を活かせる場があることで、越境学習に取り組むモチベーションを高められるでしょう。

振り返りの場を設ける

学習活動の後に学んだ内容や経験を整理し、内省する機会を設けることも大切です。振り返りの場を設けることで、社員は自身の成長を実感し、得た知識やスキルをどのように実務に活かすかを具体的に考えることが可能になります。

学んだことを社内で共有する

越境学習の効果を最大限に引き出すためには、学んだことを社内で共有することも重要です。学んだ知識やスキルを社内で共有することで、他のメンバーにも情報が伝わり、組織全体のスキルアップにつなげられます。プレゼンテーションや報告書の作成、社内ブログなどを通じて学習の成果を具体的な形で見える化し、組織全体で学びの深化を促進しましょう。

社員の潜在力を引き出し、組織の未来を築こう


越境学習は社員に働く意味を再認識させるための有効な育成手段です。社外でのさまざまな経験を通じて「自分のやりたいこと」や「これまで気づかなかった強み」に気づく機会を提供できるでしょう。社員が得る新しい知識と経験は、自社の未来を形作る大きな鍵にもなるはずです。ぜひ、越境学習を取り入れ、社員の新たな挑戦を支援してください。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

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