コラム

VUCA時代とは?注目されている背景や求められるスキル、今後の組織づくりのポイントについて解説

時代の移り変わりが激しい昨今。物事の不確実性が高く、将来の予想が困難な状況を指す「VUCA時代」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、あまり聞き馴染みがないという方もまだまだ多いでしょう。そこで本記事では、VUCA時代とはなにか、注目されている背景や求められるスキル、組織づくりのポイントについて解説します。VUCA時代とはなにか知りたい経営者は、ぜひ参考にしてください。

VUCA時代とは?

VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。元々は軍事用語でしたが、現在ではビジネスや教育、生活全般で使われる一般的な概念となりました。VUCA時代とは、激しい社会状況の変化や人工知能などの新技術の進展により、今後の社会やビジネス環境の変化を予測することが難しくなっている状況を指します。

VUCAが注目されている背景


VUCAが注目されるようになった背景について、詳しく見ていきましょう。

グローバル化の進展

近年のグローバル化により、企業は多様な市場での競争にさらされています。また、異なる国々の規制や文化、消費者のニーズの違いに対応する必要から、ビジネスにおける変動性や不確実性が高まり、VUCAの重要性が増しているのです。

技術革新の加速

インターネットやAI、ブロックチェーンなどの技術革新が急速に進んでいることも、VUCAが注目されるようになった背景のひとつです。技術革新に伴い、企業は常に新しい技術に対応しなくてはなりませんが、その分複雑性や曖昧性が増すため、VUCAへの対応が求められています。

市場の変動性の増加

SNSの普及により、消費者の嗜好や行動はますます多様化し、予測が困難になっていることも、VUCAが重要視されるようになった理由のひとつです。ライフスタイルの変化やトレンドの移り変わりが速くなるなか、企業は市場の変動に柔軟に対応する能力が求められています。

政治・経済の不安定さ

世界各地での政治的な不安定さや経済的な変動も、企業活動に大きな影響を及ぼしています。昨今の貿易戦争や地政学的リスクなどが企業の経営環境を複雑化させているため、VUCAの概念が企業のリスク管理や戦略立案において重要な役割を果たしています。

パンデミックの影響

新型コロナウイルスの大流行により、多くの企業が突然の市場変動や不確実な未来に直面したことも背景のひとつです。パンデミックは、今までにない規模での変動性や不確実性を生み出し、VUCAの必要性を再確認する結果となりました。パンデミックの経験を通じて、企業には柔軟性や適応力の重要性を意識した経営が求められています。

VUCA時代に求められるスキル


VUCA時代に求められるスキルには、なにがあげられるのでしょうか。

柔軟性と適応力

VUCA時代は、計画通りに進まないことが多いため、新しい状況に迅速に対応する柔軟性と適応力をもつことが重要です。自分の考えや行動に固執せず、柔軟に変えることができる人材が重宝されます。新しい技術やツールを積極的に取り入れる姿勢や、違う考え方を受け入れるオープンな姿勢が求められます。

コミュニケーション能力

不確実で複雑な状況では、チームでの協力が欠かせません。そのため、効果的なコミュニケーション能力が求められます。同僚や上司、部下との間での意見交換が円滑に行われれば、不確実な状況でも迅速な意思決定ができるでしょう。

問題解決能力

VUCA時代には、問題が複雑でどこに原因があるのかわからないことが多いです。そのため、問題を正確に特定し、効率よく解決に導く能力も求められます。クリティカルシンキングやアナリティカルスキルを活かして、問題の本質を見抜き、適切な解決策を見つけ出せる人材になりましょう。

自己管理とストレス耐性

変化の激しい環境では、自己管理能力とストレス耐性があることも大切です。時間管理やタスク管理、ストレスを感じても上手く解消する方法をもっていることで、変化する状況におかれてもスムーズに対応できるようになるはずです。マインドフルネスやリラクゼーションテクニックを身につけ、自分の精神状態を良好に保つ術を知っておきましょう。

VUCA時代に求められるマネジメント・リーダーシップ


VUCA時代に求められるマネジメント・リーダーシップの在り方とは、どのようなものでしょうか。

アジャイルマネジメント

短いサイクルでの繰り返しとフィードバックを重視し、迅速かつ柔軟に対応する方法です。VUCA時代、固定された計画に固執するのではなく、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。アジャイルマネジメントを行えば、プロジェクトの進行状況を常に把握し、必要に応じて迅速な変更を行うことが可能です。

変革型リーダーシップ

ビジョンを共有し、組織全体が一枚岩となって目標に取り組むためのリーダーシップスタイルです。リーダーが明確なビジョンをもち、従業員の自己成長を促すことで、組織全体のパフォーマンスを向上させます。VUCA時代においては、変革の波に乗り遅れないためにも、変革型リーダーシップをとることが重要です。

データ駆動型の意思決定

不確実な時代には、感覚や経験だけに頼るのではなく、データに基づいた意思決定が求められます。データの収集・分析を通じ、より客観的で論理的な判断を可能にするデータ駆動型の意思決定が必要です。ビッグデータやAI技術を活用することで、複雑な問題に対する洞察を深め、適切な行動を迅速に取ることができます。

リスクマネジメント

VUCA時代においては、想定外のリスクが頻繁に発生します。そのため、リスクを予測し、対策を講じるリスクマネジメントも欠かせません。リスクを事前に洗い出し、リスクによる影響を最小限に抑える策を講じることで、予期せぬ事態にも柔軟に対応することができます。

インクルーシブな環境の構築

多様なバックグラウンドをもつメンバーが集まる現代の組織では、全員が意見を出しやすく、協力しやすい環境づくりが重要です。インクルーシブな環境は、従業員のエンゲージメントを高め、創造性やイノベーションを促進します。文化的な多様性を尊重し、異なる視点を受け入れることで、組織全体の強化へが可能です。

VUCAに対応する組織づくりのポイント


VUCAに対応できる組織作りを行うためには、以下の点を意識することが重要です。

文化と価値観の再構築

VUCA時代における組織の礎となるのは、強固な文化と価値観です。価値観が明確になることで、社員一人ひとりが同じ方向を向いて働くことができ、困難な状況でも一貫した行動がとれるようになります。まずは、組織全体で話し合い、共通の価値観を再確認しましょう。その上で、その価値観に基づく行動規範を定め、日常の業務に反映させることが重要です。

OODAループの活用

OODAループは、観察(Observe)、方向づけ(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)の4つのステップで構成される意思決定プロセスです。特に、不確実性が高い状況下で迅速に対応するためには、OODAループが有効といえます。まずは現状を観察し、現状に基づいて迅速に方向性を定め、行動に移しましょう。プロセスを繰り返すことで、柔軟かつ迅速に環境の変化に対応できる組織を目指すことが可能です。

主体性が高い人材の育成

VUCA時代においては、組織の個々のメンバーが主体性をもって行動することが求められます。メンバーの主体性を育てるには、意思決定の権限を分散し、それぞれのメンバーに専門的な役割を与えることで、責任感と自己効力感を育むことができます。また、フィードバックを積極的に提供し、しっかりと成長をサポートすることも大切です。

社内学習の促進

迅速な変化に対応するためには、常に学習に取り組む組織文化も必要です。内部の研修プログラムや外部のセミナーを活用して、新しい知識やスキルを習得する機会を提供しましょう。また、失敗を恐れずにチャレンジすることを奨励する風土をつくります。失敗から学ぶ姿勢がイノベーションの鍵にもなるため、失敗を許容し、次の成功につなげる仕組みを整えましょう。

コミュニケーションの強化

VUCA時代におけるコミュニケーションは、単なる情報共有にとどまりません。対話を通じて、お互いの理解を深め、協力を促進することが求められます。リモートワークが増える中で、オンラインツールを効果的に活用し、定期的なミーティングや1対1の対話を行いましょう。コミュニケーションを強化することで、組織全体が一丸となり、変化に柔軟に対応できる体制を築くことができます。

不確実な未来に備え、しなやかな組織づくりを


予測不可能なVUCA時代において、企業が継続的に成長し生き残るためには、柔軟な対応と持続的な学習が欠かせません。変化の激しい環境に適応するためには、新たな方法を探求し、実践に移すことが成功の鍵となります。持続可能な戦略とリスク管理の強化に努め、長期的なビジョンをもって行動することで、VUCA時代の不確実性にも確実に対応できる企業へと成長できるでしょう。時代に取り残されず、今後も成長を続けたいと考える経営者は、本記事を参考に、VUCA時代に対応した組織づくりをはじめてみてください。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

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