コラム

リスキリングって何?メリット・デメリット・導入のポイントを解説

リスキリングというワードが国内で広まったのはつい最近のことだ。2023年1月、参議院本会議で岸田首相が育休中のリスキリングを推奨したことが各メディアで取り上げられ、SNSでも大炎上。“リスキリング”というワード自体にマイナスなイメージがついてしまった人も多いことだろう。

かくいう筆者もそのひとり。恥ずかしながらこれまでリスキリングというワードに触れる機会がなく、岸田首相による騒動で耳にしたのがはじめてだった。筆者はまだ子育てをした経験はないが、いまや友人は子育て世帯がほとんど。特に乳児期の赤ちゃんのお世話について、その苦労話はイヤというほど聞いている。「赤ちゃんを養育する大切な期間である育休を甘く見すぎでは?」と、世の方々と同様の憤りを感じたものだ。

ただ、最近の私同様に、「そもそもリスキリングについてよくわからない」という方も多いことだろう。そこで今回は、リスキリングについて解説したい。既にリスキリングについて知ってはいるものの、導入について検討段階の経営者や人事の方も、本記事でメリットやデメリットについて紹介していくので、ぜひ参考にしてほしい。

そもそもリスキリングってなに?注目される理由


リスキリングとは、現在の職業や業務に必要なスキルや知識を更新し、新しい職業や業務に必要なスキルや知識を習得することを指す。つまり、自己のキャリアアップや企業の業績向上を目的として自発的、または外的要因によって自らの能力を向上させることを意味している。近年では日本だけではなく欧米諸国やアジア諸国で“リスキリング”に関する取り組みが盛んに行われており、世界中のトレンドといっても過言ではない。では、なぜ今リスキリングが注目されているのか、背景を説明しよう。
 

グローバル化や技術革新による職業の変化

 
グローバル化による競争の激化に加え、人工知能やロボティクス、自動化などの技術革新が急速に進展したことで、従来の仕事が減り、新しい職種が生まれている。事実、「AIに代替される職種ランキング」などについてはたびたびメディアが報じているし、自然な会話ができるAIチャットサービス「ChatGPT」は世の中に大きなインパクトを与えた。
 
良くも悪くも、目まぐるしく技術が進化しているため、従来のスキルだけでは世の中の変化に対応できなくなる恐れがあるのだ。企業側もこれまで通り雇用を維持するためには、従業員の学び直しを推進し、新たな変化に対応するスキルを身につけてもらう必要がある。こうした背景から、リスキリングの必要性が高まっているのだ。
 

新しい働き方

 
リスキリングが注目されるもう1つの背景に、新型コロナウイルスの感染拡大がある。不況によって職を失った人たちが再就職するために、学び直すケースも多い。テレワークなど柔軟な働き方ができる職種にシフトするために、デジタルスキルを身につける人も増えた。生活様式の変化、時代の変化に対応するために、学び直す人たちは増えつつある。


リスキリングを取り入れる5つのメリット


従業員がリスキリングに取り組むことで、さまざまな形でプロフェッショナルとしての発展に寄与することができる。ここでは、リスキリングの顕著なメリットをいくつか紹介していく。
 

パフォーマンスの向上

 
従業員のスキルアップや能力向上に投資することで、従業員が新しい役割を果たすために十分なトレーニングを受けられ、最適なレベルでパフォーマンスを発揮する人材へと成長することができる。
 

士気の向上

 
新しいスキルを学ぶことで自信がつき、「より有能で生産性の高い人材になれた」という自己肯定感の高まりを感じられるようになるため、従業員1人ひとりの士気向上につなげられる。
 

生産性の向上

 
従業員はさまざまな分野に精通することができ、より多才で生産的な人材の確保ができる。
 

仕事の満足度の向上

 
現在の仕事をより効果的に行うためのスキルを持つことで仕事の幅が広がり、仕事のやりがいや充実感が増すことにつながる。従業員はより良い仕事をしようという意欲を持ち、仕事をより楽しみながら取り組むことができる。
 

給与ポテンシャルの向上

 
給与ポテンシャルが向上するため、経済的に安定し、組織で活躍したいという意欲の高まりにつなげることができる。意欲の高まりが社内でのキャリアアップという結果に結び付けられ、更なる収入アップの可能性を狙える良い循環を生み出す。


考慮すべきリスキリングのデメリット


上述したように、リスキリングには多くのメリットがある。一方で導入の前に考慮すべきデメリットもいくつか考えられる。
 

費用がかかる

 
リスキリングは、講習や研修、教育プログラムなど、費用がかかることがある。企業側が費用負担をする場合、予算やコスト管理に課題が生じる可能性を考えなければならない。
 

取り組みの長期化

 
リスキリングは、短期的に効果が出るものではない。スキルを習得するためには時間がかかるため、取り組みをはじめる場合は長期化するものとして考えておく必要がある。このため、企業側が継続的に取り組む意欲を持ち続ける必要は欠かせない。
 

習得したスキルが必ずしも活かせない場合がある

 
新たに習得したスキルが、現場で必ずしも活きるとは限らない。対象のスキルや知識がビジネス戦略や市場の需要にマッチしているかどうか考慮して取り組む必要がある。
 

従業員にストレスを与えるリスクがある

 
リスキリングに向けて従業員は多くの時間や労力を費やす。従業員が負担を感じたり、熱意を持てない可能性もあるため、企業側は従業員のモチベーション維持や負担軽減に配慮する必要がある。
 
以上のように、リスキリングには費用や時間、熱意、スキルの活用など、メリットに反してさまざまな課題も存在することがわかる。企業側がこれらの課題を認識し、適切な取り組みを行うことが重要となってくる。


リスキリング導入のフロー


リスキリングのメリット・デメリットがわかったところで、次は職場でどのように導入すべきかを考えてみる。ここでは実際にリスキリング導入の際に押さえるべきフローを紹介していく。
 

ステップ1:スキルギャップの特定

 
リスキリングの導入にあたり、まず目的と目標を明確にすることが重要だ。従業員が自分自身のスキルを向上させることに興味を持っているかどうかの確認はもちろん、従業員の現在のスキルや知識、将来的なキャリア目標、学習スタイルなどを把握。その内容をもとに企業にとって有益となる分野を特定する。
 

ステップ2:スキル開発の優先順位

 
特定した分野の中から組織の目標達成に最も重要なスキルを特定し、どのスキルを最初に習得すべきかの優先順位をつける。また、それらを装着するための訓練や教育プログラムの設計を行う。
 

ステップ3:進捗の評価

 
目標達成度や従業員のスキル向上度合いなど、測定基準を設定。再スキル化に伴う従業員の成長を追跡し、継続的な評価を通じて改善に向けたフィードバックを行っていく。
 

ステップ4:従業員への報酬

 
最終的なリスキリングの目的は、新しい役割と責任を担える人材に従業員を育成することだ。従業員の努力に報い、ボーナスやインセンティブ、昇進などでその成功を評価することも検討しよう。


リスキリング成功に欠かせないこと


ここまでリスキリングに関するメリット・デメリットを理解し、導入時のフローまで確認をしてきたが、他にも企業におけるリスキリングの取り組み成功に欠かせないポイントがある。それは「管理力による従業員のフォロー」と「テクノロジーの活用」だ。
 

管理職による従業員のフォロー

 
リスキリングを社内で浸透させるにあたって、従業員が新しいスキルや知識を学ぶための時間やリソースを確保できるよう、管理職による支援が必要不可欠となる。上司やマネージャーは必要な時間やリソースを提供し、従業員をサポートしていくことがリスキリング成功への一助となる。
 

テクノロジーの活用

 
リスキリングには、テクノロジーの活用が欠かせない。オンラインコースやウェビナー、オンデマンドのトレーニングプログラムなど、新しいテクノロジーを活用して、従業員が柔軟かつスケーラブルに学習できるようにする必要がある。


“学び”を通じて、生産性の高い組織へ


リスキリングは組織がより有能で生産性の高い従業員を育成する上で、今後重要な役割を担っている。本記事で紹介したポイントなどを理解することで、リスキリングの効果を大きく向上させることができるだろう。経営者や人事担当者には、正しい手順でリスキリングを導入することで、従業員が継続的に学び、成長する組織へと導いてほしい。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。
 
<採用広報に興味がある企業のご担当者さまはこちらをチェック!>