コラム

コミュニケーションコストとは?業務に与える影響と原因、効率改善のための方法を紹介

近年、ビジネスの現場では業務効率の向上がますます重要視されています。効率を高めるためには、単に仕事を早くこなすだけでなく、コミュニケーションの質と速度の改善も大切です。特にリモートワークやテレワークの普及により、オンラインでのコミュニケーションが増えたことから、コミュニケーションコストが企業にとって無視できない問題になっています。本記事ではコミュニケーションコストに悩みをもつ人事や経営者向けに、業務に与える影響と原因、コストを削減するための具体的な方法について解説します。業務効率を改善し、生産性を向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。

コミュニケーションコストとは?

情報を伝達したり意思疎通を図ったりする際に必要となる時間や労力のことです。例えば、業務指示が正確に伝わらなかったり、担当者が不明確で誰に相談すべきか分からないような状況では、コミュニケーションに過度な時間や手間がかかってしまいます。このような状況を「コミュニケーションコストが高い」といい、全体の業務効率低下を招く要因となります。

コミュニケーションコストが高い組織の特徴


コミュニケーションコストが高い組織には、どんな特徴があるのでしょうか。

情報伝達に時間がかかる

例えば、業務の指示を出す際に何度も確認作業が必要であったり、メールのやりとりが複雑すぎて迅速な対応ができないなど、情報伝達に時間がかかることは組織にとって大きな問題です。意思決定が遅れ、市場の変化に素早く対応することができないと、変化の早いビジネスの世界では生き残れないでしょう。

情報共有の方法が仕組み化されていない

情報共有の方法が仕組み化されていない場合、誰がどの情報をもっているのかが把握できません。その場合、必要な情報が全体で共有されていないことから、プロジェクトの進行が滞ったり、同じ情報を複数回収集する無駄な作業が発生します。

従業員間にリテラシーギャップがある

従業員間にリテラシーギャップがあると、同じ情報を理解するために時間やコストがかかるため、結果として効率の低下を招きます。例えば、ITツールの使い方に精通している人とそうでない人が同じチームにいる場合、スムーズにコミュニケーションをとることが難しいです。新しいツールを導入した際も余計なコミュニケーションコストを生み出しかねません。

コミュニケーションコストが業務に与える影響


コミュニケーションコストが高いと実際にどんな影響があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

生産性の低下

コミュニケーションコストが高くなると、当然ながら生産性の低下を引き起こします。業務全体が長引く原因にもなるため、結果的に長時間労働の常態化も招きかねません。業務効率が低下すれば、効率アップや長時間労働解消のために必要以上に多くの人員を配置する必要が生じるため、金銭的なコストも増大する恐れがあります。

ミスの増加

コミュニケーションが円滑に行われないことで、情報の伝達ミスも発生しやすくなります。伝達ミスが発生すれば、取り組んでいるプロジェクトの進行が遅れるだけでなく、誤った情報に基づいた決定が行われる事態も発生しかねません。その場合、必ず修正の作業が必要となるため、追加のコストが発生することになります。

ストレスの増加

職場でのコミュニケーションがうまくいかないことは、心理的にも大きなストレスを与えます。指示が曖昧であったり、必要な情報が不足していると、仕事を進める上での不安感やプレッシャーにつながってしまうでしょう。メンタルヘルスにも悪影響を及ぼすことで、モチベーションの低下に直結する可能性が高まります。

サービスの低下

コミュニケーションがうまくいかないことは、サービスの品質にも悪影響を及ぼします。問い合わせやクレームへの対応が遅れたり、正確な情報を顧客に提供できないなど、顧客の信頼を失う事態を引き起こす可能性もあります。

コストの増加

コミュニケーションに伴うコストは、時間だけでなく金銭的な面にも影響を与えます。例えば、会議のたびに会場を借りる費用や、コミュニケーションツールの導入・運用費用が増加する可能性があるでしょう。金銭的なコストがかかることで、企業の経営にも大きな負担となる可能性があります。

コミュニケーションコストが高くなる原因


コミュニケーションコストが高くなる原因には、何があげられるのでしょうか。

リテラリーギャップがある

情報を発信する側と受け取る側の間にベースとなる知識やリテラシーのギャップがあると、説明に時間がかかってしまいます。「1から説明しないと理解してもらえない」「情報の処理に時間がかかる」などの問題が発生し、チーム全体の生産性が低下します。

不要な情報を発信してしまう

相手の求めていない不要な情報を発信することもコミュニケーションコストを高める原因の一つです。複数の人が重複して同じ情報を発信したり、必要以上の詳細な情報を発信したりするのが代表的な例になります。また求められていない情報や自分の話ばかりする人の特徴も、コミュニケーションコストを高める原因になります。

手段が統一されていない

コミュニケーション手段が統一されていないことは、コスト増加を招く要因のひとつです。例えば、メール、チャット、電話、対面会議など、さまざまなツールを使い分けている場合、情報の所在や確認ミスが発生しやすくなります。結果として、重要な情報が見落とされたり、同じ内容のやり取りが繰り返されることになるでしょう。

ツールが不適切

適切なコミュニケーションツールを使っていない場合も、コストが高くなる原因といえます。一般的なチャットツールでなにもかも代用しようとすると情報が散逸するリスクがあるため、業務やシーンに合ったツールを選ばなくてはなりません。最適なツールを使用することで、情報の一元管理や迅速な対応が可能になります。

不要な情報が発信されている

情報の発信量が過多になると、必要な情報が埋もれてしまうことも。特に、雑多な情報や関係のない情報が頻繁に発信されると、受け手は重要な情報を見逃しやすくなります。必要な情報を探すのにコミュニケーションコストがかかってしまうため、情報の整理と優先順位付けが求められます。

情報共有の方法が非効率である

情報共有の方法が非効率である場合も、コミュニケーションにかかる時間と労力が無駄になります。例えば、定例会議で長時間を費やしたり、何度も確認のためのメールをやりとりするといった状況が該当するでしょう。効率的な情報共有のためには、目的に応じた最適な共有方法を取り入れなければなりません。

コミュニケーションスキルの不足

個々のコミュニケーションスキルが不足していると、意思疎通が円滑に行われず、誤解が生じやすくなります。スキル不足によるコミュニケーションの障害は、チーム全体の生産性にも悪影響を及ぼしかねません。定期的な研修やトレーニングを通じて、コミュニケーションスキルを向上させる取り組みが必要です。

コミュニケーションコストを削減するための方法


コミュニケーションコストを削減するためには、どんな方法があるのでしょうか。

情報の一元管理化

情報が散在すると、確認に時間がかかりコストが増大します。そのため、クラウドストレージやプロジェクト管理ツールなどを活用し、情報の一元管理化を進めるべきです。共有ドキュメントやデータベースを活用することで、無駄な確認作業を減らし、コミュニケーションの効率を高めることができるでしょう。

適切なツールを選定する

コミュニケーションコストを削減する方法として、適切なツールの選定も欠かせません。メール、チャット、ビデオ会議、タスク管理ツールなど、目的に応じたツールを使い分けることで、情報の伝達をスムーズにできるはずです。使いやすさ、セキュリティ、チームのニーズなどを考慮して、最適なツールを選びましょう。

会議の効率化

会議は重要なコミュニケーション手段ですが、時間とコストがかかりがちです。会議を効率化するためには、会議の目的とアジェンダを事前に明確にし、必要最小限のメンバーで行うことでコストを削減しましょう。

ベースとなる知識やゴールを共有する研修の実施

土台となるリテラリーや組織全体のゴールを共有するために、定期的な研修や1on1を実施しましょう。その際、ベースとなる個々の知識やスキルに応じて、研修や1on1の内容を変えることがポイントです。パッケージ化された一方的な研修ではなく、個々の理解度に応じて教育すると効果的です。

コミュニケーションの効率化で業務を改善しよう


組織内でのコミュニケーションコストが高くなると、さまざまな問題が発生し、時には業務上のトラブルにつながる可能性があります。社員が自身の能力を最大限に発揮し、高い生産性を維持するためには、不要なコミュニケーションコストを削減することが急務です。現時点で社内のコミュニケーションコストに悩んでいる人事や経営者は、本記事をきっかけに、改善への第一歩を踏み出すことをおすすめします。
 

【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。X(Twitter)
 

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